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zoom RSS 『トゥレソリ (合唱)』

<<   作成日時 : 2013/08/16 23:25   >>

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画像 実在の、国立伝統芸術高等学校の合唱サークル「トゥレソリ」創立エピソード(2009年)を脚色した韓国映画。なおプロの俳優が演じるのではなく、「トゥレソリ」の現役後輩たちや、実在の顧問教師が演じているが、それゆえ、『パリ20区、僕らのクラス』のように、かなりのリアリティを感じさせる。
 なお、サークル名の「トゥレソリ」とは、韓国語版BD収録の日本語字幕では「田植え歌」と訳されていているが、「トゥレ」とは、農村で共同作業を行うための、集落単位の班、組のこと1)。日本における「結(ゆい)」に当たる。「ソリ」は「歌」の意味。

 スルギ(キム・スルギ)とアルム(チョ・アルム)は伝統芸術高校の3年生。スルギは国楽(韓国の伝統芸能)名門一家に生まれ、自身も国楽の道に進むべく父から厳しいパンソリの練習を受ける毎日。一方アルムは同じ高校生ながら、早くに父母を失い、食堂を営む叔母の女手一つで育てられ、彼女の才能を買う叔母から国立大学進学が期待されている。とはいえ家計が厳しく彼女自身も家計を支えるべくアルバイトが欠かせない毎日。その苦しい中でも、学校以外に国楽の先生についてパンソリの練習に励んでいる。

 そんな中、ソウル市から青少年の芸能公演の依頼が学校に舞い込む。「国楽と洋楽の出会い」と称して、伝統芸能と西洋式合唱の公演をやってほしいということだった。とはいえ伝統芸術高校、西洋音楽はほとんど教えられていない。学校の教師たちは合唱が得意な他の高校の助けを借りようと相談するが、校長は伝統芸術高のメンツをかけて「自主解決」しろと厳命。
 とりあえず、新たに新任で洋楽担当として来たハム先生(ハム・ヒョンサン)に合唱指導を担当させることにし、急遽、合唱クラスが結成させられた。生徒の参加は任意とされたが、参加すると内申書の点数が上乗せさせるとされて、大学受験を控えた3年生は、内申点欲しさにしぶしぶ参加。

 ハム先生は、時間がないと勢い込んで生徒たちを指導しようとするが、西洋楽譜が読めず、歌わせても伝統芸能式にこぶしが回ってしまう歌い方をする生徒の前で途方に暮れる。お前たち何もわかってないと、上から目線で指導しようとすると、姉御気質のアルムらはその指導に強く反発。また、アルムらは日ごろから快く思っていなかった、洋楽に挫折して仕方なく国楽に転向してこの高校に進学してきたウネ(チェ・ウネ)が伴奏者に選ばれたことにも、不快感を強めた。

 押しつけでやっても問題解決につながらないと悟ったハム先生は、反省して急がば回れで指導方法を変更、学生の自主性を引き出す指導方法に変えたところ、アルムたちもついてくるように。ようやく手ごたえが感じられるようになるところまでたどり着いた。
 ところが、せっかく生徒たちが目指して熱心に練習していた公演は、新型肺炎流行のため急遽中止に。内申点はもらえることにはなったものの、生徒たちはがっかり。その様子を見ていたハム先生は何とか生徒の努力を水の泡にしてはいけないと、他の公演機会を奔走して探し、ソウル南西部の衿川区文化会館で福祉チャリティ公演の機会を探してくる。公演自体は大好評だったものの、校長からは大学受験を目前にした3年生に余計な時間を取らせたと大目玉を食らい、先生は始末書を書かされ、「トゥレソリ」は活動停止処分に...

 生徒たちが、目の前にぶら下がる大学受験や、父母からの反対といった制約条件、困難にもかかわらず目標を目指して頑張る姿を描いた、生徒たちの青春成長ドラマ。日本で言えば、目指すものは異なるものの、例えば田中麗奈が主演した『がんばっていきまっしょい』あたりに近いイメージ。ただ、韓国の場合、大学受験の重圧が日本と比べ物にならないせいか、恋愛や友情をテーマにした学園ドラマはあっても、皆で力を合わせて何かを成し遂げていく、同好会などを舞台にした学園青春成長ドラマはほとんど見られないように思う。

 弱点としては、やはり実在の先生を出演させたり、演技人ではない現役の高校生を出演させているせいか、やや演出・脚色面で突込みが足らないと思わせる部分がある点。劇的には例えば先生と生徒の対立と和解、あるいはアルムたちやウネの対立と和解をもう少しドラスティックに掘り下げても良いのではないか、とも思わされたが、やはり出演者に対する遠慮もあったのだろう。しかし、それでも、様々な困難にであっても目標に突き進んでいく彼らの姿は結構感動的で、Daum映画でのネティズンの高評価も納得。
 それと、女の子たちの自然な姿。他の韓国映画、ドラマでは美男美女(特に美女)ばかりだが、この作品を見るとそれがいかに不自然かわかる。高校生とあって整形している子はほとんどいないのだろう。必ずしも美人でもない。でも、皆生き生きとして個性的で韓国人らしさが感じられる貴重な作品。

 そういえば、比較の対象に挙げた田中麗奈や、いくつかの映画に主演しながらも残念ながら引退(休業)してしまった真野きりなのデビュー作だった『がんばっていきまっしょい』。この作品も、出た子たちは一応芸能活動をしていたものの演技はほとんど素人同然で、今見ても演技力はかなり低いのだが、それでも青春の一コマをはっきり切り取ってとても印象的で感動的だった。

 本作品は、2012年5月10日韓国封切り。韓国での観客動員数は 人。国内では2012年10月「コリアンシネマウィーク2012」で上映。

 監督のチョ・チョンネは1973年生まれ。中央大学(韓国)映画学科卒業し、多数のTV番組、公演、お祭りの演出で経験を積む。代表作にKBSドキュメンタリー「2002年青年国土大長征」、アニメーション「青ガエル物語」(製作)がある。現在は、伝統的なコンテンツをもとに文化商品を企画開発する、JO エンタテインメント代表。本作が長編劇映画デビュー作。以上Daum映画データベースより。

1) Wikipedia韓国語版「두레」の項参照。

原題『두레소리』英題『DURESORI : The Voice of East』監督: 조정래
2012年 韓国映画 カラー 1:1.85 108分 (韓国公開版)

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