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zoom RSS 韓国SFオムニバス映画『人類滅亡報告書』

<<   作成日時 : 2013/04/02 20:58   >>

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 韓国映画の不得意な分野にSF映画がある。どうも韓国のSF映画はどこかでオカルトと一緒になったり、微妙に科学的というのと違う(もちろんどんなSFだって空想科学小説なのであり、どこかに空想が入っているのだが、何となくその空想の方向性に違和感が避けられない)と、日本人の立場からは感じる。
 そんななかで、本作は二人の監督による三部のオムニバス作品となっている。以下あらすじはDVDジャケットを引用翻訳する。

第1話 すてきな新世界(イム・ピルソン監督)
 家族が海外旅行に出かけ、一人残った研究員、ユン・ソク(リュ・スンボム)は、デートの約束のため、生ゴミを分別せずに一緒くたに捨てた後、家を出た。彼女(コ・ジュニ)との甘いキスの現場を襲った高校生(マ・ドンソク)たちを怪力で懲らしめたソクの体に異常な変化が現れた。街を覆うゾンビの大群。狂牛病でも鳥インフルエンザでもない怪ウィルスの正体を探るマスコミの動きも空しく、ソウルの街は滅亡へとまっしぐら...

第2話 天上の被造物(キム・ジウン監督)
 ロボットが人間の仕事を担う未来。天上寺のガイドロボット、RU-4(パク・ヘイル[声])が自ら悟りを開いて説法をする程までに至った。これを人類に対する危険だと見なした製造社URは、解体を決定したが、彼をインミョン(人面?)和尚と呼び崇拝する僧侶たちは反対した。解体直前、一触即発の瞬間、URのエンジニア、パク・ドゥオン(キム・ガンウ)が上部の決定にも拘わらず、インミョンの前に、彼を庇おうと立つのだが...

第3話 ハッピーバースデー(イム・ピルソン監督)
 ビリヤード狂のパパの8番球を割ってしまった小学生パク・ミンソ(ジン・ジヒ)は正体不明のサイトに接続、ビリヤード球を注文した。しかし、2年後ビリヤード球状の怪彗星が地球に向かって飛んできて差し迫った滅亡にミンソ一家は、オタクの叔父さん(ソン・セビョク)が設計した地下防空壕へ避難した。そして10年後、非常に明るい光彩に、一人ミンソ(ベ・ドゥナ)は勇敢に地上に向かった...

 この映画はベテラン、キム・ジウン監督が1作、やや年下のイム・ピルソン監督が2作を担当している。率直に言って、やはりキム・ジウン作品に一日の長を認めざるを得ないだろう。
 キム・ジウン作品である「天上の被造物」は、若干テーマ的に『ブレードランナー』とかぶる部分もあるが、ロボット僧侶という奇抜なアイディアで、新しい切り口から迫っており、オリジナリティは高い。またストーリーも社会性、哲学性に、感動的な側面も兼ね備えている。
 イム・ピルソン監督の第1話「すてきな新世界」は、大量の生ゴミを出し、それを飼料に転用しているという、韓国の消費社会(あるいはメディア)の現実を批判的な視点から風刺している点は評価できるが(狂牛病問題なども視野に入っているのだろう)、いささかグロテスクで生々しく、個人的には今ひとつ。このあたりは個々人の趣向によって評価が変わってくるかも知れない。中で、腐ったかじりかけのリンゴが出てくるのだが、これはアップルコンピュータ=アメリカのソフトパワー「侵略」に対する風刺?
 また第3話「ハッピーバースデー」は、ちょっとSFのセンスとしてはどうかという気がする。インターネットのサイトに接続したら、宇宙人のサイトと接続してしまったという発想に、個人的には違和感。所詮地球人のものでしかないインターネットの先に宇宙人がつながっているというのは、余りにもネットに毒された世界観では、という気がする。それだけいまの世代にはネットこそすべてという錯覚に陥っている証拠なのかも知れないが。
 地球最後の日に、人々がどう行動するか、というあたりは笑えるが、取り立ててオリジナルな発想とは言いにくいだろう。

 因みに、イム・ピルソン作品では、カメオ出演で、ポン・ジュノ監督やユン・ジェムン、ベ・ドゥナ、キム・レハなど、ポン・ジュノ監督とのゆかりの深い俳優たちが起用されており、ポン・ジュノ監督とつながりが深いようだ。
 ともあれ、現在の韓国SF映画の水準を示す映画作品として興味深く見られるだろう。

 本作は、2012年4月11日韓国公開。韓国での観客動員数は97,916人(KOBIS2012年データ)。第26回東京国際映画祭(2012)で上映されている。

 監督のキム・ジウンは1964年生まれ。ソウル芸術大学演劇学科卒。既に日本でも長編劇映画デビュー作『クワイエット・ファミリー』(1998)、『反則王』(2000)、『箪笥』(2003)、『甘い人生』(2005)『グッド・バッド・ウィアード』(2008)、『悪魔を見た』(2010)が劇場公開され、韓国映画を代表する監督の一人。

 もう一人の監督、イム・ピルソンは、1972年生まれで、壇国大英文科卒。ソン・ガンホ主演で日本でも公開された『南極日記』(2005)が長編劇映画デビュー。さらに2007年『ヘンゼルトグレーテル』、そして本作。ポン・ジュノ監督の『怪物(グエムル)』では、出演もしている。

 なお、本作は韓国ではDVDがリリースのみだが米国ではBlu-rayリリースもある。韓国盤DVD(刊行元 Candle Media)の画質は、幸いなことに、かつての韓国盤DVDの水準を回復した良好なもの。これは米国盤Blu-rayが出ている影響か、HDマスターから直接変換しているか、あるいはローパスフィルター(いわゆるアンチエイリアス)が盛大にかかっていないせいであろう。最近の韓国盤は、日本盤を真似たのか、ローパスフィルターが盛大にかかり(or 画像の多重エンコーディングのせいか)ぼけぼけ気味の画像が主流だったが、本作がその傾向にストップを掛けることになればありがたい。

原題『인류명망보고서』 英題『Doomsday Book』 監督: 김지운, 임필성
2011年韓国映画 カラー 113分

DVD(韓国盤)情報
発行・販売: Candle Media 画面: NTSC/16:9(1:2.35) 音声: Dolby5.1 韓国語 本編:113分 リージョン3
字幕: 韓/英(On/Off可) 片面二層 2012年 8月発行 希望価格W25300

『人類滅亡報告書』東京国際映画祭Q&A
http://2012.tiff-jp.net/news/ja/?p=12541



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