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zoom RSS 『トゥルー・マッ(味)・ショー』 - 韓国のTVに横行するやらせ報道告発ドキュ

<<   作成日時 : 2013/02/07 08:03   >>

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画像 2011年に韓国で公開された、韓国グルメ紹介番組に横行する、やらせ・嘘つき報道を告発するドキュメンタリー。Daum映画サイト9.5の高評価も納得の大胆な実験ドキュだ。なお、当然ながら本作品のタイトルは『トゥルーマン・ショー』のもじり。また「マッ(味/맛)」には、グルメ番組で紹介される「味」の意味もあるが、TV局が「狂った(맛이 갔다)」というダジャレでもある。

「私は、テレビで紹介される「おいしいレストラン」がなぜ不味いのか、その理由を知っている」
 実は韓国のグルメ番組で紹介される「おいしい店」が不味かったという苦情は多数寄せられている。その理由を取材してみると...
 そもそも、韓国の全放送局のグルメ番組で紹介される店は週に177店(2010年3月実績)、年間では9200店以上にものぼる計算となり、その全部が本当に美味いはずがない。視聴率重視で安直にグルメ番組が作られている。
 お店側がお金を積めばいくらでも番組で紹介してくれるらしい。実質グルメ番組は報道を装った広告だ。
 視聴率重視で、味は関係なく見た目だけの目先の変わった料理が求められる。そのためキャビアのせサムギョプサル(豚バラ肉の焼き肉)など、味の点ではあり得ない料理紹介が横行。その「キャビア」も実はチョウザメの卵ではなく、北大西洋で食べられるランプフィッシュの卵というひどさ。さらに、TVのためだけに普段出していない見た目だけの「特別料理」を創作し、TV紹介後1ヶ月後にはメニューから消えてしまうこともしばしば。
 これらの中でも依頼者から金をむしり取る「ドラキュラ」番組として特に悪名高いのがSBSの某番組である...
 ...という惨状が分かってくる。

 そこでスタッフはこれらの取材内容が本当なのか、検証のため、ソウル近郊の一山(イルサン)のショッピングモール内に実際に、「マッ(味)」と称するカフェ・レストランを開店し、その悲惨な実態のおとり取材を開始することに。
 インターネットで安直に「TV番組協力代行業者」とキーワードを入れて出てきた業者数カ所に連絡を入れてみると、何カ所から実際に連絡が... これらのグルメ番組の大半は外注業者に発注され、そこと連絡があるのだという。
 そして業者によっては安いところでは、最低500万ウォンで番組内で紹介可能。有名タレントに紹介させる場合は最低900万ウォンからという話である。
 実際にこれら代行業者に来てもらうと、さらにひどい実態が目の前に...

 いやぁ、これはこれは。とにかくおとり取材のために、実際にカフェ・レストランまで開店して、代行業者とのやりとりからTV番組の取材撮影現場まで生々しくカメラに納めるという企画の大胆さだけでも賞賛ものである。
 そして視聴者を飽きさせない、次へと期待を抱かせるスピーディーな展開。それに映画にあふれるブラックなユーモアに失笑の連続。日本でイメージされるきまじめなドキュメンタリーではなく、エンタテインメントとして見せるアメリカ流ドキュメンタリーの手法を上手く消化して、見事エンタテインメント映画としても成立させている。全州国際映画祭観客賞受賞も納得のでき。
 これは日本のドキュメンタリー作家も誰か見習う人が出てもいいのではないか...

 しかし問題は、Daumのネティズン感想欄に指摘されている、この映画が公開されてからしばらくたつのに、相変わらずTVにはグルメ番組が反省なく横行している... という事実だろう。日本のTV界でもこのような実態があるのかどうかは不明だが、ともかく一旦やらせが発覚すれば、一応反省の姿勢が求められるところだが...
 なお、下の韓国PD連合会の記事を見ると、そもそも放送局が番組を外注する際に、十分な制作費を渡しておらず、取材対象からの「協賛金」なしには番組製作不可能という構造的な問題があるようだ。しかも一旦「協賛金」を貰うと、お前は協賛金を取っているだろうとさらに制作費が減らされるという悪循環...
 また韓国日報2011年6月6日の記事では、SBSは外注プロダクションが悪いと、責任転嫁し、それらのプロダクションとの契約を切り、グルメコーナーをなくせば問題なしとの姿勢、KBSも大した問題ではないとの態度。キム・ジェファン監督は、放送局の労働組合も自分の飯の種を守る事ばかりかまけずに、下請け外注プロが、劣悪な労働条件に著作権も与えられないという惨状を、労組が問題提起するべきだと批判している。

 外注先末端プロダクションにろくにカネが渡っていないという問題は、日本にとっても決して他人事ではないのでは?

 また、下のジョイ・ニュース24への監督インタビューで、監督の述べたエピソードは....
 上映前にMBCより本作の上映禁止仮処分提訴がされたが、裁判所で棄却され上映が可能になった。監督はTV局側からの法的措置を予想し、法的対抗準備も事前に十分に行っていたからである。とはいえ、監督としても本当に封切りできるかは未知数であった。
 また、本映画のナレーションを担当したのは監督とMBC同期入社のパク・ナリムアナウンサー。彼も不利益を覚悟して映画に出演した。
 やらせ番組が繰り返される構造を作っているTV局が問題だが、いい加減な番組を受容している視聴者の浅はかさも問題だ。

 本作は2011年6月2日韓国封切り。韓国観客動員数は12,324人(KOBIS2011年データ)。日本国内未公開。

 監督のキム・ジェファンは延世大経営学科卒。1996年MBC入社後番組プロデューサーとして様々な番組制作に携わる。退社後、2002年に独立プロダクションを設立。現在、映像プロダクション B2E代表。本作で注目を浴びる。本作の次に2012年ドキュメンタリー『MBの追憶』を発表。

 なお、本作品の韓国盤DVDは韓国語音声&韓国語字幕のみで、残念ながら、日本語字幕はもちろん、英語字幕も収録されておらず、韓国語のできない方の視聴は苦しいだろう。

原題『트루맛쇼』英題『The True-taste Show』監督:김재환
2011年 韓国映画 カラー 70分

DVD(韓国盤)情報
発行: IndiePlug 販売: Harrison & Company 画面: NTSC/16:9(1:1.85) 音声: Dolby2 韓国語 本編:70分
リージョン3 字幕: 韓(On/Off可) 片面一層 2012年 9月発行 希望価格W25300

「トゥルー・マッ・ショー」論争に独立PDたちが口を開く (韓国PD連合会 2011.5.17)
http://www.pdjournal.com/news/articleView.html?idxno=31414

韓国日報 2011.6.6ニュース
http://news.hankooki.com/lpage/culture/201106/h2011060615532186330.htm

キム・ジェファン監督インタビュー (ジョイニュース24 2011.6.16)
http://joynews.inews24.com/php/news_view.php?g_menu=701100&g_serial=582152

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『MBの追憶』 -MB公約の嘘をドキュメンタリーで見せる
 『トゥルー・マッ・ショー』のキム・ジェファン監督による李明博政権回顧ドキュメンタリー。主として、前々回大統領選時の李明博選挙キャンペーンにおける李明博陣営の主張と、その後政権獲得後のギャップを映像の対比で示す。 ...続きを見る
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2013/07/10 00:58

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