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zoom RSS 『おばあちゃんは一年生』 - 識字に挑むおばあちゃんを描いた感動作

<<   作成日時 : 2013/02/01 08:35   >>

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画像 慶尚北道の田舎を背景に、息子に先立たれ、残された義理の孫が家に来たのを契機に字を学ぶことを決意した頑固なおばあさんが、字を学ぶとともに彼女の世の中が広がっていく模様を描いた感動作。

 オ・ナニ(キム・ジング)は、唐辛子畑が広がる慶尚北道英陽(ヨンヤン)郡で夫に先立たれ一人で住んでいる70歳のおばあさん。一人息子ジェウ(キム・イルグ)はソウルの大学を出てKBSの放送記者として活躍。
 ところがある日、警察から大切な一人息子が交通事故で亡くなったとの連絡が。息子の葬儀を終え呆然として自宅にいるナニのもとに、息子の同僚であるパク記者(チャン・ピョンピョ)が、職場に残された息子の遺品とともに女の子一人を連れてくる。その6歳の女の子、トンイ(シン・チェヨン)は、タルトンネ(韓国における貧民街)で起こった事故のため母親が亡くなり一人残された女の子を、息子がナニの反対を押し切って引き取った子だった。息子が交通事故に巻き込まれたとき、一緒に車に乗っていたが奇跡的にほとんど外傷もなく助かったのだ。
 トンイはとうてい引き取れない、親戚に引き取ってもらえというナニに、パク記者はトンイを連れて帰ろうとするが、父親の死を知らされていないトンイは、お父さんが帰ってくるのをおばあちゃんの家で待つのだと泣いて立ち去ろうとしない。可哀想に思ったナニは仕方なくトンイを、親戚が見つかるまでと、一旦引き取ることにする。
 息子の遺品にはトンイの就学通知書が入っていたが、字の読めないナニは何のことやらさっぱり分からない。トンイを引き取ってはみたものの、血がつながっていないと情がわかず、田舎のトイレに夜行くのを怖がっておねしょするトンイにつらく当たる。

 ある日、家に遊びに来た隣家のヴェトナム人のお嫁さんヌグエンディル(パム・キウトゥ)が、トンイに絵本を読んであげているのみて、ナニは驚く。「アンタ、字が読めるの!?」すると、トンイもハングルが読めるという。ヌグエンディルにどこで習ったのかと問うと、村の中で外国人のお嫁さん対象に識字教室が開かれているという。ナニは、何度か識字教室が開かれている外をうろうろしてためらったあげく、ついに字を学ぶことを決意する。
 字がなんとか読めるようになったナニは息子の遺品にトンイの就学通知書があることに初めて気づく。そしてナニは自分も小学校で学んでみようと、決意する...

 2002年にイ・ジョンヒャン監督の『家へ...(邦題:おばあちゃんの家)』が大ヒットしたが、本作もそれにつながるような心温まる作品。
 テーマ的には単なる農村ノスタルジーに終わるのではなく、高齢女性の識字問題や韓国農村における外国人花嫁問題、そしてこれは最近韓国ドラマでも広く取り上げられているが、血のつながらない養子問題などが前向きに取り上げられ、自然にそつなく消化されている点が良い。
 今まで文盲でかたくなだったナニがハングルを学ぶにつれて徐々に世界が広がっていくとともに、、世の中のあり方に目を見開かれていく様がよく描かれている。例えば、当初血がつながらないと情がわかなかった義理の孫に対する見方も、息子が残した日記が読めるようになることによって、息子のトンイに対する思いを理解し、そして、トンイの自分に寄せる情に素直になれるようになる。隣家で夫からも姑からも冷たくあしらわれるヴェトナム人のお嫁さんに対しても、ともに文字を学ぶことで、同じ仲間としての意識が芽生え、夫からたたき出されるヌグエンディルを自分の家にかくまってあげることができるようになる。そんなおばあさんの精神的成長がこころよい。
 主演のキム・ジングのインタビューを見ると、彼女が住むソウルのマンション街でも、文字の読めない高齢女性がかなりいて、自分宛に来た郵便物をマンションの警備員に読んでもらっている姿をたびたび目にするという。僻地ではなおさらであろう。高齢女性の識字啓蒙映画としての役割も意識されていると思われる。
 なお、台詞は慶尚北道方言満載なので、方言の勉強資料として好適。そういう意味では韓国語字幕付きDVDはありがたい。ただ韓国盤DVDは英語字幕がないので、韓国語が分からない人はもちろん、韓国語初中級者にも厳しい。
 なお、本作はDaumでもCine21でもネティズン評は非常に高評価だが、専門家は誰も見ていない。韓国映画界ではどうもTV界出身の監督の映画作品に対し、根強い偏見、もしくは蔑視意識があるようだ。

 ちなみに、舞台となっている英陽郡は韓国でも陸の孤島として知られる地域。また韓国の基礎自治体中、島しょ部を除くと人口が最も少ない地域として知られる。2004年度には郡内で信号が1か所しかなかったという。

 本作は2012年5月24日韓国封切り。韓国観客動員数は6,558人(2012年末KOBISデータ)。日本国内未公開。

 監督はTV界出身で『ビューティフル・サンデー』『ヨス(旅愁/麗水)』のジン・グァンキョ。また主演のキム・ジングはベテラン俳優らしいが、一般にはあまり知られていない。少なくともDaum映画データベースを見ると映画では助演を中心にここ15年ほどの活動歴があるようである。監督は彼女がポン・ジュノ監督の『マザー』に助演したことで知ったという。

 韓国盤DVDはUnited Entertainment Korea(UEK)より刊行。画質はUEKらしい、解像度の甘いややぼけた画像だが、色彩に関しては鮮明。おそらくローパスフィルターを盛大に掛けているためと思われる。最初にUEKのDVDを見たときはそのぼけぼけぶりに驚いたが、最近他社DVDもUEKに倣って(?)解像度が落ちてきたので、今となっては取り立ててひどいとも言えなくなってきた。既述のように字幕は韓国語のみ。
 なお、韓国盤以外に台湾盤DVDが刊行されている。こちらの方は、英語&中国語字幕らしいので、韓国語に自信のない方はこちらをお勧めする。しかし映画祭等で賞を取った訳でもない本作に気づいて台湾で配給(2012.10台湾封切り)&DVD化したこの台湾メーカー(海鵬影業有限公司)はさすが。因みに台湾盤の中国語タイトルは『阿嬤の小學堂』となぜか、中間にひらがなの「の」が入っている。

原題『할머니는 일학년』英題『Granny is in 1st Grade』監督:진광교
2012年 韓国映画 カラー 102分(Daum映画データベース情報)

DVD(韓国盤)情報
発行・販売: UEK 画面: NTSC/16:9(1:1.85) 音声: Dolby2 韓国語 本編:102分
リージョン3 字幕: 韓(On/Off可) 片面一層 2012年 12月発行 希望価格W25300

『ヨス(旅愁/麗水)』映画評
http://yohnishi.at.webry.info/201207/article_9.html

2012.12韓国盤DVD化 韓国映画評
https://bblog.sso.biglobe.ne.jp/ap/tool/newscaredisplay.do

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コメント(2件)

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この映画は私自身は未見ですが、気になっていました。この記事を読んで、自分のブログ記事で紹介させていただきました。→
http://blog.goo.ne.jp/dalpaengi/e/b87fa4b8324f4473f1f9bb5fc858b2f9
台湾で封切られた等の情報は知りませんでした。日本での公開or日本語版DVDは期待できないでしょうかねー・・・。
ヌルボ
2013/02/12 23:38
記事を読んで下さり有難うございます。
 たぶん韓国映画が日本に入ってくる方法として、1)国際映画祭等で話題になる、2)日本の投資がある、3)韓国の大手映画製作・配給会社が日本のビデオ化権目当てに売り込む、4)専門家がコリアン・シネマ・ウィーク等で紹介する、あたりかと思いますが、本作品の場合、2),3)はあり得ず、1)はこれからどうなるかというところ、そして4)はネットに全く専門家評が上がっていないというのが気になります。なかなか苦しいところでしょうね。
 ま、このブログもそういう隠れた作品の情報を日本語で上げるというのも目的の一つで続けている訳ですが...
 あとは、自力で字幕を翻訳して見るという自力更生路線もあります(^^;) 
yohnishi
2013/02/13 07:57

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