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zoom RSS デジタル修復された韓国映画の古典『血脈』

<<   作成日時 : 2012/07/25 23:48   >>

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画像 キム・スヨン監督1963年の作品。第2次世界大戦直後の荒廃したソウルの市民生活の一端が垣間見られる作品。「戦後の風景」DVD-BOXに収録されていてもおかしくない作品だが、こちらは朝鮮戦争後ではなく、第2次世界大戦後、という点で収録されなかったのだろう。

あらすじ(DVD収録パンフレットより引用翻訳)
 1946年、ソウルのある貧民窟。防空壕につなげて作ったバラック街に3家族が住んでいる。毛もくじゃらのキム・ドクサン(キム・スンホ)は息子コブク(シン・ソンイル)を米軍に就職させようとし、カントンじいさん(チェ・ナミョン)の後妻、オクメ(ファン・ジョンスン)はボクスン(オム・エンナン)に歌を教え料亭に売り払おうとしていた。一方、ウォンパル(シン・ヨンギュン)は、金を稼ごうとして爆弾を分解して負傷した後、病院にも行けない妻と不具になった娘、ミジャ、日本で大学まで出たが職がない弟、ウォンチル(チェ・ムリョン)そして老母と一緒に住んでいた。
 肉体労働を始めたウォンチルは、ともに南に渡ってきたオッキ(キム・ジミ)がパンパンであるという事実を知り、彼女を拒絶する。酒場に売られるのが嫌なポクスンは、コブクとともに家を出、オクメとドクサンは互いに非難し合って胸ぐらをつかむ。一方ドクサンはファサン・テクの仲人で寡婦チョンジン・テクを家に入れたが、全財産を盗まれる。ウォンパルの妻が亡くなった後、オッキはミジャを学校にやる。ウォンパル、ウォンチル二人の兄弟がバラックを直している最中に、コブクとオクメから手紙が来る。紡績工場へ招待されたドクサンとカントンじいさんは子供たちを訪ね、互いに姻戚関係を結ぶ。

 第二次大戦後、日本の植民地支配から解放されたとはいえ、今までの体制が崩れて目標を失い虚脱状態になって刹那主義に走る大人たちの世代の荒廃した姿を生々しく描く。カントンじいさんとその妻オクメは娘を売り払って金を稼ぐことしか考えず、ドクサンは息子を米軍に就職させ、物資の横流しをさせて儲けようと考えるなど、ろくなことを考えていない。ウォンチルは妻が瀕死の状態にあっても十分な治療を受けさせることができず、何の展望も見えないし、ウォンチルはオッキに金をせびることで生計を立てている。
 彼らの虚脱ぶり、刹那主義ぶりは情けないが、実は彼らはいずれも失郷民なのだ。漢字の読み書きのできない不動産プローカー、キム・ドクサンは、戦争末期に強制連行で北海道の炭鉱に徴用され帰って来た。「北海道」帰りの「強者」というのが、時おり日本語でぶつくさ悪態をつく彼の唯一の売りである。そして他の家族は、米ソで朝鮮半島の分割占領が決まり、ソ連が進駐してきたときに、彼らから逃れるために北の土地を捨ててきたのである。いずれも生活基盤から切り離されてしまった人々である。だからこそ彼らの絶望も深いのだ。

 その一方でその子どもの世代(コブクとオッキ)は、大人たちよりもより倫理的、建設的に生きようとするが、それを邪魔するのは刹那主義に走った大人たちである。

 このような荒廃しながらも、一方で希望の芽も芽生え始めた第2次大戦後の光景を生々しく描いた貴重な作品。とはいえ、その4年後に朝鮮戦争が勃発し、さらに大きな混乱のるつぼに朝鮮半島全体が投げ込まれることを考えると複雑な思いにとらわれる。

 本作品は1963年10月3日封切り。全国8都市同時封切りされた。さらに1963年第1回青龍賞で作品賞など5部門受賞。1964年第3回大鐘賞、作品賞など4部門受賞。おそらく本作品は国内未公開。
 なお本作品の原版は大幅に毀損していたものを、韓国映像資料院にてデジタル修復で昨年復元したものである。青龍賞を総なめにし、10万人以上の観客を呼び込み当時としては大ヒットを記録した本作品の毀損ぶりはかなりひどかったようだ。そのフィルム復元の苦労ぶりは、DVD付属パンフレットに詳述されている。ともあれこの幻だった名作が今日DVDにて手軽に日本語字幕付きで見られるようになった幸運を喜びたい。

原題『혈맥』英題『Bloodline』監督:김수용
1963年 韓国映画 モノクロ

DVD(韓国盤)情報
発行・発売 Blue Kino 画面: NTSC/16:9(1:2.35) 音声: Dolby1 韓国語 本編:83分(本作) リージョンALL
字幕: 韓/英/日(On/Off可) 片面二層 2012年 6月発行 希望価格W16800



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