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zoom RSS 『心臓がときめく』 - 禁断の世界に足を踏み入れる女教授を描く

<<   作成日時 : 2012/07/01 16:46   >>

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画像 2010年製作の韓国インディー映画で、ポルノ(日本で言うところのアダルト・ビデオ)に出演したくなってしまう女大学教授の物語。なお、韓国では非常に似た名前の映画が同年に作られているが、こちらの原題は『심장이 뛰네』もう一本はパク・ヘイルが出演している『심장이 뛴다』。どちらも日本語に訳するとあまり区別が付かなくなってしまうので要注意。あえて訳すなら本作が『心臓が躍る(ときめく)なぁ』、後者が『心臓がときめく(躍る)』だが、「〜なぁ」じゃ女性が主人公なのに... でも「心臓がときめくわね」もちょっとなぁ... でとりあえず上記の表題の訳に。
 ハク・ヘイル主演の後者は文字通り、移植のために心臓をよこせ、よこさない、という話なので、「心臓が跳ねる」や「心臓が飛ぶ」という訳を当てておくのが良いかも。

 映画はまずザクロをむさぼり食う女教授ユ・ジュリの姿から始まる。映画の各章は次のように名付けられている。

第1講 運命に捨てられ世間の支えを受けられぬままあなたは最近何を以て生きているのか?
第2講 心臓が止まった女は希望に満ちた人を羨んで...
第3講 人体観察
第4講 野動分析 - シン・バッ・タ 1)
第5講 野動実習 - セックスは明け方豚を蹴飛ばし上がるヒバリのよう
第6講 試写並びに討論 - 誰とでもヤる旅館の女将
第7講 愛しい人の甘い愛を思えば Future Fucks you...
第8講 ときめきは去り習慣だけ残った オ・バ・カ
第9講 天国の入り口で愛の賛歌を歌う

 今年37歳になるジュリ(ユ・ドンスク)は大学の英文学科の教授。未だに男に縁がなく体は乾ききっている。新たに「フェミニズム映画」という科目を始めることになるのだが、学科会議でジュリがやることになってしまう。その際同僚のヨ教授が「ポルノでやったら学生が喜ぶわよ。『北回帰線(邦題: ヘンリー&ジューン/私が愛した男と女)』とか『チャタレー夫人の恋人』だとか」というアドバイスで、ネット上でエロチックな映画を探し始めるジュリ。
 そこで見た野動(いやらしい動画)に思わずそそられたジュリは、その製作社クレジットにCampion Mediaという文字を見つける。そこの社長、チャ・ミョンスクは彼女の大学時代の親友だったのだ。
 ジュリは思い立って、家に配達されたリンゴ箱に入った桃を持ってミョンスクの会社に10年ぶりに訪ねていく。乾いた日常を変えたくて、彼女の会社の映画に出てみたいと言うのだ。だが、ミョンスクはあんたが出ればエロじゃなくてホラーになると、相手にもしない。それにもかかわらずしつこく何度も彼女の会社を訪ねるジュリ...

 率直に言って周辺社会の倫理観や世間体にもかかわらず自分の欲望に忠実になる、という設定は日本では今更、という感じもしないでもない。しかし大学の教授の社会的威信が高く、大学教授は「大衆交通機関」である電車やバスにもろくに乗らない(乗れない)韓国では、このような設定は未だに衝撃的かつ社会的常識を覆す革新的な意味があるのかも知れない。それに最初は大して魅力的に見えなかったジュリが、自分が生きたいように生きるようになってだんだん可愛らしくなっていくという点もポイントが。

 とはいえ、彼女が次々男を変えながらヤってみたい、という欲望に世間体と戦いながら忠実に生きようとする、というところまでは理解できたとしても、なぜ彼女の欲望がアダルトビデオの出演に収斂しなければならないのか、というところが良くわからない。同僚のヨ教授のように、密かに学生をくわえ込むではなぜいけないのか?もっとも隠れてこそこそやっていることを堂々と白日の下でやる、というあたりが勇気ある行動と、韓国で評価されうるポイントなのかも知れない。おそらくジュリとミョンスクの間に何らかの因縁があったらしい

もっともイ・ハ監督の『女教授の陰密な魅力』という映画もあったが...

 ただ故永沢光雄の労作「AV女優」を読むと、日本女性がAV女優になる動機は、ほぼ貧困か、家族問題に収斂している。それを考えるとやっぱりちょっと浅いな、という気がするのだが。

 本作品は2011年7月28日韓国封切り。韓国での観客動員数は667人。国内未公開。なお世界各地の映画祭に出品されているようだ。

 監督のホ・ウニは女性で1972年生まれ。カルフォルニア・インスティテュート・オブ・アートの映画監督専攻課程で修士。現在釜山、東義(ドンウィ)大学映画学科教授。1999年以降30編以上の短編映画、ドキュメンタリーを発表したほか、演劇の演出や映画のプロデュースなども行っている。本作が長編劇映画デビュー作。以上Daum映画データベースの記述を参考に執筆。
 しかし、監督も主人公と全く同じ境遇。日本だと、東大学長も務めた蓮見重彦がポルノ映画も平気で論じていたりするし、今、映画監督として活躍している人たちのうちにポルノやピンク映画で育てられた人も多いので、今さらどうってことはないだろうけど、韓国ではポルノやピンク上がりの一般映画監督はほとんどいないし、いまだに厳然たる区分が。その中でこういう題材で撮ったのはかなり勇気が要ったのだろう、とは推測できる。ちなみに、韓国ではエロ映画が本番無し、ポルノ映画が本番ありという区分なのだそうだ。

1) 「シンバッタ」とは野生の朝鮮人参採りが、朝鮮人参を見つけたときに出す叫び声。

 なお、韓国盤DVDは片面一層収録で字幕は韓国語のみ。映像クオリティに関しては輪郭強調は多少あるものの、比較的少なくまずまず。ただ105分で片面一層なのでDS Mediaとしてはややクオリティ落ち気味だが、それでも他社よりは解像度が高い。観客動員数が1000人に満たないのでやむを得ないところか。

原題『심장이 뛰네』英題『My Heart Beats』監督:허은희
2010年韓国映画 カラー 105分

DVD(韓国盤)情報
発行・販売: DS Media 画面: NTSC/16:9(1:1.85) 音声: Dolby2 韓国語 本編:105分
リージョンALL 字幕: 韓(On/Off可) 片面一層 2012年 4月発行 希望価格W25300



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