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zoom RSS 『天使の息づかい』 - 韓国男性の涙腺に炸裂弾! 異色監督によるインディー映画

<<   作成日時 : 2012/06/19 05:37   >>

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画像 芸能人志望の息子とそれを応援する母子関係を描いた催涙系韓国インディー映画。観客動員数は決して多くはないが、韓国のネティズン評では非常に高得点が出ている。監督兼主演はハン・ジウォン。

 南大門の食堂で働くヨンナン(キム・ヨンソン)は、ぜんそくの持病を持ち、発作の際には吸入薬が手放せない(これが後の事件への伏線になる)暮らしながらも女手一つで息子を育てている。その息子、ジェミン(ハン・ジウォン)は芸能人志望のフリーター。ヨンナンはそんな高校を出てもなかなか物心つかない息子に物足りなさを感じつつ、表では息子を叱り飛ばしても、内心実は息子を応援をしている。
 息子はあちらこちらの芸能プロダクションのオーディションに応募しているものの落ち続けている。あるプロダクションでオーディションに落ちたものの、何とかして下さいと泣き落として、そこの室長(ユン・テカン)から他人の心が分かる方法を考えろ、と宿題を出される。
 そのため、やはり芸能人志望仲間のジハン(ジョン・ジハン)とともにソウル駅前でホームレス生活を始めてみるのだが、他のホームレスとトラブルを起こしては母親に怒られる。仕方なくヨンナンは食堂の主人ソンファ(チェ・ヨンジュ)を通じて彼女の知り合いの演技指導の先生ジョンフン(キム・ソングク)に息子がジハンとともに指導を受けられるよう、息子に隠れて手配する。
 何とか順調に演技学習生活を始めたジェミン。そんなジェミンはiPhoneがほしいと母親にねだるが、彼女が息子に買ってやれるのは携帯用小型ラジカセがせいぜい。そんな中、ある日ジェミンはあるミュージックビデオ撮影の演技者のオファーを受ける。大喜びで現場に向かうジェミン。だがそこでジェミンは取り返しの付かない大きな失敗を犯してしまい、芸能人志望を放棄する寸前までに追い詰められてしまった...

 息子に対して深い愛情をもつ母親と、貧しいながらも、母親が愛情で大幅にカバーしてくれているおかげで、決定的な壁にぶつからずにすんできた、まさに親の心子知らずを地で行く世間知らずの息子。だが、その世間知らずの息子が、母親に足して取り返しの付かない罪を犯してしまうことを通じて、初めて自分の世間知らずぶりを痛感し、そして自分がいかに母親の愛情の大きさに気づいていなかったかを決定的に知らしめられるそんな瞬間がやってくる。
 その母親の愛情の大きさを描いて(おそらく、これこそ韓国男性から見た理想の母親像)、決定的に視聴者の心を揺さぶる映画であることは間違いないし、韓国のネティズンからの好評ぶりもよく理解できる。
 ただ日本人の私としては、確かに心を大きく揺さぶられたものの、母親の息子への思いの、あまりの強さにちょっと引いてしまうところはあるし、また、息子の世間知らずぶり、母親に対する余りにもの配慮不足ぶりに腹立たしくもあり、いくら何でもこれはないよな、と思わざるを得ない側面も。ここまで母親をして息子に没頭させてしまう、韓国の社会とは何なのかを、改めて考えさせられてしまう。それに、日本人である私から言わせると、「天使」である人物が違うだろ、とつい言いたくなってしまう。

 ともあれネティズンからの好評ぶり(たぶんその評を書いている大半は男性であろう)を考え合わせると、韓国男性は一般にママボーイ(日本で言う「マザコン」)と言われるその背景を確実に示してくれる映画であることは間違いない。まさに本作は韓国男性の母親に対する思いの琴線をわしづかみし、彼らの涙腺を炸裂させてしまう映画作品。

 韓国人の情緒について知りたい方、あるいは韓国人男性の攻略法を考えている方には資料価値からお勧め。でもシオモニに対抗するのは大変だぞ... と思ってしまうが。

 本作は、韓国では2012年2月23日封切り。上映館は6館のみ、観客動員数は1,873人(KOBIS 6月までのデータ)しかなかったにもかかわらず、ネット評点ではネイバー、ダウムの映画サイトで非常に高い点数をマーク。国内未公開。

 監督・脚本兼主演のハン・ジウォンは1983年8月生まれ。元々はストリートダンサーで、2001年から4年にかけてストリートダンスの全国大会のいくつかの部門で7回優勝、映画経験は2009年に製作された『オーディション』(劇場未公開)で助演と振り付けを担当しただけ。ダンスは2005年に肉体的経済的理由でやめ、それ以降はダンス公演の企画書をいくつも書き、支援を受けてダンス公演の演出に回る。それを契機に2007年にはMBC主催の海洋文化祝祭にて「ビーボーイ・オールスターズ」の舞台演出を担当。さらに2008年にはキノドラマ『残響』の演出・製作。そして2009年には上記『オーディション』の助演・振り付けを担当し、そして本作が初長編監督デビュー作に。映画の勉強は全くしたことがないという、最近の韓国では異色の監督。その映画とは縁遠い学歴から映画の出資を募るのに相当苦労したそうだ。
 なまじ変に映画製作に対して理論武装していない分、ストレートに韓国人男性の情感を直撃する映画作りが可能だったのかもしれない。その一方、本作がたった6館でしか公開されなかったのも、監督に「学」がないということが偏見として作用した結果なのでは?おそらくもっと多くの映画館で公開されれば、数十万単位の観客動員は可能だったように思われる。その一方で監督の学歴にもかかわらずちゃんと支援したKOFICの見識も評価すべきだろう。
 監督は、既に次回作の準備に入っており、題名は『ポップコーン』。1998年のIMFで経済的に苦しい時期、全国大会での優勝に挑戦するストリートダンサーチームの物語になる予定。
 以上は、次の記事を内容を参考に執筆。「独立映画監督ハン・ジウォン『一人多役で苦労...次回作は演出だけに』」スポーツ京郷2012.3.1記事(http://sports.khan.co.kr/news/sk_index.html?art_id=201203012107483&sec_id=540401)。
 なお、本作に専門家が全く評点をつけていないというのも、監督が元々は映画門外漢だったからか。こういったあたりに韓国の事大主義が感じられてしまう(あと一般の映画専門家が古典映画をあまり見ていない点も問題)。

 なお韓国盤DVDの画質は、最近のART Serviceの標準で、ローパスフィルターが盛大にかかっているせいか輪郭のゴースト・ぼやけが強く、解像度が今ひとつな相変わらずのもの。

原題『천사의 숨소리』英題『The Angel's Breath』監督:한지원
2012年 韓国映画 カラー 93分

DVD(韓国盤)情報
発行・販売: ART Service 画面: NTSC/16:9(1:1.85) 音声: Dolby2 韓国語 本編:93分
リージョン3 字幕: 韓/英(On/Off可) 片面二層 2012年 5月発行 希望価格W25300






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催涙系だが類型に必ずしも陥らない - 韓国映画『ママ』
 三組の母子の愛情と葛藤を描いた作品。催涙系の映画であることは間違いないが、必ずしも説教調でも、単純に母親の愛は偉大だと礼賛する訳でもない点は評価できる。そのあたりが題名が「オンマ」ではなく「ママ」であるゆえんであろう。 ...続きを見る
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2012/09/25 07:55

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