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zoom RSS 『冬の蝶』 - 北朝鮮であった凄惨な事件をもとに映画化

<<   作成日時 : 2012/05/17 21:07   >>

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画像 北朝鮮、黄海道で実際にあったという極めて悲劇的かつ凄惨な事件を映画化した作品。監督は脱北者だというキム・ギュミン。

 ジノ(チョン・スンウォン)は母(パク・ソヨン)と二人暮らしの11歳の少年。ジノの家はジノが山へ行き枯れ木を拾ってきて、それを母が闇市で売ることで辛うじて飢えをしのいでいた。父は日本出身で北朝鮮に渡ってきて既に亡く、母もおそらく結核にかかっているのか始終咳が止まらず体が弱い。ジノがもっとも恐れているのは、母が亡くなり、自分が天涯孤独になってしまうこと。
 そんなジノの夢は調理師になること。母は結婚式のときに鶏を食べたことがあるそうで、それがとても美味しかったとか。自分もいつかそんな美味しい食べ物を食べてみたい... それがジノの願いだった。父は生前日本にいたとき、鶏が美味しくて毎日食べていたそうだが、とても信じられない。友人の話では鶏の肉より犬の肉が美味しいそうだが...

 そんなジノには友人がたった一人いた。それがBだ。ただジノにはBにひとつどうしても許せないことがあった。それは毎朝学校に行くときにジノを呼びに来ることだった。彼がジノを呼びに来ると母は必ず「ご飯食べた?」と聞く。そして、彼は必ず口ごもる。すると母は、自分の体が弱いにもかかわらず、必ずBに分け与えるのだった。だが、Bはその食べ物目当てに自分を呼びに来るのは明白だ。弱い母の体を気遣うジノは、そんなBが許せなかった。
 ついに堪忍袋の緒が切れたジノはBに、二度と母さんから食べ物を奪うなと詰め寄る。彼はそうしないと約束したが、翌日再び彼を呼びに来る。頭にきたジノはBと絶交してしまう。

 枯れ木を拾うときにBと助け合ってきたジノは、一人で拾いに行くことになるが、ある日ジノは山で足を滑らしてしまい...

 食糧難にあえぐ北朝鮮の内情を描く作品。非常に悲劇的で凄惨な結末には思わず目を覆いたくなる。ただリアリティあふれる『両江道の子供たち』を見た後では、違和感を感じる側面も。まず、言葉遣いが、完全にソウルのイントネーション。黄海道は北朝鮮の中でも開城と並んでもっとも南の方なので、これは自分の先入見のせいか?
 それから脱北者の証言などを読むと、北朝鮮社会はネガティブに見れば監視社会ともいえるかもしれないが、逆にポジティブに見れば、他人を放っておかない社会で、それに比べ韓国の社会は冷たい、というのが、脱北者の共通認識のようだ。それを考え合わせると、この作品で描かれる家族はほぼ完全に孤立しており、そういうことがありうるのかなぁ、という気もするのだが。あるいは在日朝鮮人出身家族であり、出身成分がよくないと周辺から敬遠されているのかもしれないが、そうだとすればそのあたりの事情も描いていくべきだと思われる。
 ぱっと見では、北朝鮮の実情を知らない韓国の監督が、事件のニュースだけ聞いて観念的に北朝鮮事情はこんなものだろう、と思って描いたのではないかと思いたくもなるが、監督は脱北者とのこと。
 北朝鮮「人民」軍が、その名に拘わらず如何に人民に冷たいかというのも克明に描かれており、確かにこういう事件が起こりかねないほど食糧事情が悪かったということは確かなのだろうけれど、いささか図式的な描かれ方に感じられ、今一つリアリティ面で説得力が弱い気がする。あるいは、そう感じるのは我々の想像力の欠如のためなのだろうか。監督が、助監督として携わった『国境の南側(邦題: 約束)』はとても良かったのだが...

 本作の韓国での劇場封切りは2011年7月7日。韓国での観客動員数は521人。日本未公開。

 監督のキム・ギュミンは1974年北朝鮮生まれ。北朝鮮在住時代から俳優になる夢を持っていた彼は、脱北後、漢陽(ハニャン)大学演劇映画科に入学。しかし漢陽大の教授の、北朝鮮の現状韓国の人々に知ってもらいたいのなら、シナリオに従って演ずる俳優よりも自由度の高い映画監督の方がいいのでは、との助言で、映画監督を目指すことに転向。3年生であった2005年、脱北者を描いた『国境の南側(邦題: 約束)』の助監督経験で映画界に入門。さらに映画『タッチャ(いかさま師)』『砲火の中で(邦題: 戦火の中で)』、ドラマ『カインとアベル』のスタッフとして働き、映画『クロッシング』の助監督を務める。本作が長編デビュー作。本作は監督が実際に黄海道で見聞きした事件を元に描いた作品だという。以上はDaum映画データベースおよび、NK Vision「[Korean Dream]映画『冬の蝶』のキム・ギュミン監督」2011.12.6付け記事( http://www.nkvision.com/read.php?num=226)を参考に執筆。

 なお、本作の韓国盤DVDであるが、元々インディーズ映画中心にDVDを出している刊行元のDS Mediaは、なぜか現在韓国におけるDVDのクオリティリーダー的な存在となっており、本作もかなり高い画像クオリティを保っている。、

原題『겨울 나비』英題『』監督:김규민
2011年 韓国映画 カラー

DVD(韓国盤)情報
発行・販売: DS Media 画面: NTSC/16:9(1:1.85) 音声: Dolby2 韓国語 本編:88分
リージョンALL 字幕: 韓/英(On/Off可) 片面二層 2012年 2月発行 希望価格W25300

韓国における北朝鮮関連映画

『両江道の子供たち』映画評
http://yohnishi.at.webry.info/201204/article_14.html

『茂山日記』映画評
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『豊山犬』映画評
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『クロッシング』映画評
http://yohnishi.at.webry.info/200904/article_11.html

『境界』映画評
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