yohnishi's blog (韓国語 映画他)

アクセスカウンタ

zoom RSS 地域対立感情コメディ『危険な結婚挨拶』

<<   作成日時 : 2012/04/23 01:02   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 1 / コメント 0

画像 韓国では伝統的に地域感情対立がある。特に韓国南部の慶尚道と全羅道との地域対立感情は有名であるが、それを題材にしたラブコメディ。原題を直訳すると「危険な相見礼」であるが相見礼(サンギョルレ)とは、お互いに公式に会って交わす礼(挨拶)もしくは、立ってお互いに向かい合って行う礼の意味で、この映画の場合は結婚を申し込むために正式に相手の両親と会って挨拶することを指す(小学館の朝鮮語辞典では「(結婚式で)新郎と新婦が向かい合って礼を交わすこと」とあるが、必ずしも結婚式での挨拶とは限らないようだ)。

 時は1980年代末。ヒョンジュン(スン・セビョク)は全羅南道、光州出身。父は実業家であるが、彼は少女漫画家志望で、ヒョンジというペンネームで、既に、自分のあとを継いでくれることを期待している父に隠れて漫画本も出版しているほど。彼には兵役時代から文通しているペンパル、ダホン(イ・シヨン)がいて、お互いに愛を育んでいる。だが問題は彼女の出身地は全羅道と感情的対立のある慶尚道の釜山であること。
 ダホンの父、ヨングァン(ペク・ユンシク)は娘に良い男と結婚させようと何度も見合いさせているが、彼女はまったく結婚する気がない。そしてヒョンジュンに、父に無理やり見合いさせられていると伝えると、ヒョンジュンもその気になっていた。
 ヨングァンは、ダホンの結婚したい人がいる、との言葉を喜んでくれたが、彼は娘にこのように告げる。「相手に多くを望むつもりはないが、ただ全羅道男だけはだめだ」
 ダホンの父に結婚挨拶に行くつもりだったヒョンジュンは、その話を聞いてさぁ大変。ともあれ全羅道出身だとばれるとまずいと、一旦ソウルに出て、ソウルにいる友人からソウル弁を習ってから挨拶に行こうと作戦を立てる。
 一方ヒョンジュンの父、セドン(キム・ウンス)も最近息子の様子がおかしいと、ソウルに出かけるという息子の後を、腹心の部下であるデシク(パク・チョルミン)につけさせる。
 一方、ダホンはまず母チュンジャ(キム・スミ)を味方につけようと、父より先に母にヒョンジュンを引き合わせるのだが、チュンジャは、ヒョンジュンに対してあるテストを仕掛ける...

 慶尚道と全羅道の地域対立感情は、特に戦後、慶尚道は代々大統領を排出してきたにもかかわらず、全羅道では出すことが出来ず、地域開発も常に慶尚道優先、全羅道では遅れたまま放置されてきたことで強化されていた。また1981年の光州事件では、慶尚道出身の軍事政権大統領によって多くの市民が弾圧されたことも手伝って、1980年代の地域対立感情は極めて悪化していた。
 それがようやく緩和したのは、全羅道出身の金大中が大統領に当選してから。これにより大統領が出せないという全羅道の長年の恨が解けはじめ、さらに慶尚南道金海(キメ)出身の蘆 ノ・ムヒョンが金大中の後継の形で全羅道を基盤とする政党から地域対立感情の解消を公約のひとつに掲げて出馬し当選、遅れていた全羅道地域開発も進んだことが、地域対立感情の緩和に大きく役立った。
 本作品はこのような地域感情対立最悪の時代を背景に描かれている。

 全羅道出身のヒョンジュンが、ダホンの親にばれないように、懸命に慣れないソウル弁を真似してソウル出身者に見せかける場面は、地方出身者の都会コンプレックスを揶揄した笑いであるし、韓国でも歴代軍事政権を生んできた大邸の娘が、全羅道出身の少女漫画家青年と結婚する(あるいは、実業家の父親が「軟弱な」職業に就こうとする息子を認めていく)という設定は、マッチョで家父長的な伝統的固定観念から、新世代への価値観への転換をシンボライズしている。
 地域のコンプレックス感情や、地域感情対立を笑いの種にしつつも、全般的には、韓国社会の中で差別的な扱いを受けてきた全羅道の地方価値感の復権を描くことで、差別感情の克服や新しい価値観への転換を肯定的に描いており、後味は悪くない。

 韓国の人にとってはいまさら地域感情対立なんて、という思いもあるかもしれないが、日本人である我々にとって、韓国社会における地域感情対立の一端を笑いながら知るには、うってつけの一作といえるだろう。

 本作は、2011.3.31韓国封切り。観客動員数は2,595,625人(KOBIS 2011年データ)。国内未公開。

 監督のクォン・ジニョンは、1967年生まれ。監督作は『赤ちゃんと僕』(2008)『清譚菩薩』を経て本作。また『ドンテル・パパ』(2003)『息子』(2007)『麻婆島2』(2007)『味噌』(2010)のプロデューサーもつとめている。

 なお、韓国盤DVDの画質だが、輪郭のゴーストが目立ち解像度がやや落ちる。遠景場面が少ないので、解像度の低下はあまり気にならないかもしれないが、韓国盤Blu-rayも最近出たので、画質のこだわる方はBlu-rayを求めたほうが良いだろう。

原題『위험한 상견례』 英題『Meet the In-laws』 監督:김진영
2011年 韓国映画 カラー 118分(韓国上映時間)

DVD(韓国盤)情報
発行・販売: Candle Media 画面: NTSC/16:9(1:2.35) 音声: Dolby5.1 韓国語 本編:118分
リージョンALL 字幕: 韓/英(On/Off可) 片面二層(2枚組) 2011年 8月発行 希望価格W25300
※Blu-rayは2012年2月刊行

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 1
なるほど(納得、参考になった、ヘー)

トラックバック(1件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
『パーフェクトゲーム』 - 釜山 vs. 光州 伝説の野球試合を描く韓国映画
 1987年5月、実在の伝説的野球試合(ジャイアンツ vs. タイガース)をモチーフにした作品。 ...続きを見る
yohnishi's blog (韓国語...
2012/11/13 00:11

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
地域対立感情コメディ『危険な結婚挨拶』 yohnishi's blog (韓国語 映画他)/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる