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zoom RSS 『依頼人』 - 韓国最初(?)の法廷ミステリー映画

<<   作成日時 : 2012/04/21 07:22   >>

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画像 DVDのパッケージには「大韓民国最初の法廷スリラー! あなたを陪審員に招待します!」とキャプションが書かれている。本当に韓国で最初の法廷ミステリー映画なのかどうかは良く分からないが(『セブンデイズ』や『イテウォン殺人事件』でも結構法廷シーンはあったように思うが...)、ともあれ最近作られる韓国映画で法廷もの映画が少ないことは確かであろう。

 ある日、アパートで殺人事件らしきものが発見される。ベッドの上には大量の血痕。被害者と思われるのはそのアパートに住む夫婦の妻(ユ・ダイン)。だが死体は見つからない。
 やがて容疑者として逮捕されたのは彼女の夫であるハン・チョルミン(チョン・ヒョク)。周辺から夫婦の間で喧嘩が絶えなかったという証言などの状況証拠がその根拠だった。だが殺人を証明する物証は何一つ見つからない。妻の死体さえもである。そしてハン・チョルミンはあくまでも無罪を主張するのだった。
 ハン・チョルミンの起訴を担当するのは検事アン・ミノ(パク・ヒスン)。父親が法律学の大物大学教授という、エリート検事だ。だが最近彼は別の事件で敗訴を喫し、その雪辱を願っていた。部長検事(チョン・ウォンジュン)からも最近地に落ちた検察の名誉回復を強く期待される。
 また、ハン・チョルミンを捜査した刑事(パク・ヒョックォン)もハン・チョルミンのクロを強く確信し、アン・ミノと協力して何が何でもハン・チョルミンを有罪に持ち込もうと万全の体制を敷く。
 一方、ハン・チョルミンの弁護を担当するのは、依頼を受ければほぼ100発100中勝訴を勝ち取るという、勝訴請負弁護士カン・ソンヒ(ハ・ジョンウ)。当初はこの事件にあまり乗り気ではなかったが、検察と警察側が協力してハン・チョルミンを有罪に追い込むためにおかしな動きを始めたことをかぎつけたことをきっかけに、闘争心を燃やしていく...

 この映画が提起する問題は、非常に重要で難しい問題だ。「疑わしきは被告人の利益に」という法律学上の原則は高校の公民の教科書にも書かれている基本原則である。しかし現実にそれがきちんと適用されていると言えるかというと微妙なところであろう。
 例えば、今、埼玉で裁判員裁判が進行している、結婚詐欺詐欺連続殺人事件。木嶋佳苗被告が結婚する気があるといって大金を騙し取った挙句、相手の男性を次々と殺したとされる事件。状況証拠はたくさんあるし、報道を見聞きする限りはほとんど被告は真っクロという心証を持たざるを得ないが、確実に彼女が殺人を意図的に実行したという確証は見つかっていない。
 あるいは多少古い話では和歌山の毒入りカレー殺人事件。この事件では既に被告に有罪判決が下っているが、しかし被告が確実にカレー鍋に砒素を入れたという証拠はやはり見つかっていない。
 これらをどう判断すべきなのかは非常に難しい問題だということが分かるだろう。

 本作でもハン・チョルミンは心証的には真っクロである。それに対して、ここで被告が有罪にならなければ正義が失われると、手段を選ばず被告を有罪に持ち込もうとする検察側。とはいえ、彼らは正義感から行っているのである。
 一方、そのような検察側の動きに不正義を感じた弁護側もやはり正義感から検察側の失点を暴こうと必死になる。この正義対正義の戦いが見所の一つである。
 だが、本作には、その決着がいったんついたかに見えたその後で、また大どんでん返しがある。ここがもう一点の見所。
 このあたりのシナリオの構成がなかなかうまく、またパク・ヒスン、ハ・ジョンウ、チョン・ヒョクという名優がそのあたりの盛り上げを支えてくれている。

 ただ、個人的な多少の不満を述べれば、最後に映画が、(作り手が考える)これが「正解」だよ、というものを呈示してしまっている点。やはり最後には映画が「正解」を呈示しないで、観客にもう一回、本当はどう考えるべきだと思いますかと、ボールを投げ返して欲しかった、というのが個人的希望。それと、最後の大どんでん返しが、やはりちょっと強引ではないかというのが個人的な感想。とはいえ、なかなかの意欲作であることは間違いなく、一見の価値はあると言えるだろう。脚本はイ・チュニョン、ソン・ヨンソン、監督はソン・ヨンソン。

 本作は2011年月9月29日韓国封切り。韓国での観客動員数は236万7942人(KOBIS 2011年データ)。国内未公開。

 監督のソン・ヨンソンは1973年生まれ。成均館大学哲学科を卒業後、韓国芸術総合学校修士課程終了。韓国人権委員会製作の人権啓蒙オムニバス映画『6つの視線(公開邦題:もし、あなたなら)』の「大陸横断」(ヨ・ギュドン監督)の助監督。さらに2005年ホン。サンス監督の『劇場前』助監督。2002年にパク・ホンリョル監督と共同で監督した『サンサム洞ワールドカップ』がプサン国際映画祭ワイドアングル部門上映。2008年『略奪者たち』そして本作。

原題『의뢰인 』英題『Client』監督:손영성
2011年 韓国映画 カラー 123分

DVD(韓国盤)情報
発行・販売: KD Media 画面: NTSC/16:9(1:1.85) 音声: Dolby5.1 韓国語 本編:分
リージョン3 字幕: 韓/英(On/Off可) 片面二層(2枚組) 2012年 1月発行 希望価格W23100

『セブンデイズ』映画評
http://yohnishi.at.webry.info/200903/article_5.html

『イテウォン殺人事件』映画評
http://yohnishi.at.webry.info/201003/article_2.html

追記
本作は2012.7国内公開予定。公式サイトは下記。
http://client-japan.com/


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2012/06/09 10:11
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