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zoom RSS 日仏で評価に大差 仏映画『マイファミリー - 遠い絆』

<<   作成日時 : 2011/11/21 13:01   >>

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 家族の絆を描いた2006年のフランス映画。原題は『Je vais bien, ne t'en fais pas』(元気だから放っておいて[より直訳すると、「私は元気だから、あなたは私に構わないで」)でフランスでは非常に高い評価を得ている作品。国内ではDVDスルー。

 リリ(Mélanie Laurent)がスペインから1ヶ月の語学研修に戻ると、家の中の様子がおかしい。彼女の双子の兄ロイックが家出してしまったというのだ。元々父ポール(Kad Merad)と兄の仲はあまり良くなかったが、部屋が片付かないという理由でけんかして家でしたという父と母イサベル(Isabelle Renauld)の説明に釈然としないものを感じたリリ。
 ロイックに携帯電話で連絡しようとするが、おかしなことに一切出ない。ひょっとしてロイックの身に何かあったのではという予感にとらわれたリリは父に警察に捜索を依頼すべきだと主張するが、父は警察には家出の申告はしたと、冷たい態度。
 元々家の中でもっともロイックと親しく、気持ち的にも依存していたリリは、精神的に不調になり、食事が取れなくなり、高校で倒れたことで精神病院に入院する。だが精神病院の治療方針にリリは反発を感じ、抵抗して食事をとることをあくまで拒否する。父母は家族の面会さえ認めない精神病院のリリの治療方針に不審を感じるがどうにもならない。
 そんな中、家出して旅行に出たロイックから父の悪口を書いたはがきが家に届く。精神病院を何とか説得して彼女にその手紙を見せることで、リリは食事を再びとる元気がわき、数週間で退院することが出来た。その後も兄から数日おきに手紙が届き、それがリリの心の支えになる。
 そんな中、リリは家を出ることを決め、さらに彼女がスペインで知り合った友人であるレア(Aïssa Maïga)の元カレ、トマ(Julien Boisselier)とつきあうようになる。リリがトマを両親に紹介しようと決意した直後、トマは意外な事実を発見する...

 フランスではセザール賞他いくつもの賞を受賞し、非常に評価の高い映画。だが国内ではあまり評判になっていない。国内ではDVDは出たものの早くもすでに絶版。ただレンタルではまだ借りられる。

 フランスのネットでの評を見ると、その高評価はメラニー・ローラン他俳優陣の演技力のすばらしさ、そして、家族間のリアルな台詞と、リアルな家族関係の表現というあたりが評価されているようだ。一方国内で今ひとつ話題に上らないのは、最後の大どんでん返しの謎解きの設定が不自然というのが最大の理由と思われる。フランスのAmazon.frにあがっているネット評でもやはりこの設定が不自然だと指摘している人もいることはいるのだが、大多数は問題視していない。
 このことから考えられるのは、映画で描かれた親子関係がかなりフランスではリアルだということである。日本でも成人した子と親の関係がぎくしゃくしているというのはありがちだとは思うが、どうやらフランスでは日本以上にぎこちなく他人行儀なのが一般的でリアルなようだ。例えば、リリのボーイフレンド、トマはそれなりに好青年だとは思うが、休日に両親とともに食事をすることさえしない。トマがリリの両親に会いに行く直前に家に立ち寄ってリリのことを自分の両親に話すと、両親は「いい子なんでしょうね、自分の両親と休日にともに食事をするくらいなんだから」と、暗に休みの日に親と食事をとろうともしないトマの姿勢を皮肉る。

 そういうぎこちない難しい親子関係の中で、父親が直接自分の娘に対して直接表明することの出来ない愛情を、極めて遠回りな方法で発現することで、逆説的に父の娘に対する愛情の深さを(そして喧嘩ばかりしていて、無理解に思われた息子に対しても、実は理解を示していたという点も)表現した、という部分に、フランスの人々の本作への高評価の要因があるようだ。それと同時になるべくお互いの気持ちに立ち入ろうとしないフランスの家族関係(つまり"Je vais bien, ne t'en fais pas"というような関係のあり方)に対する批判的姿勢も本作には垣間見える。
 だが、このようなフランス的な親子関係にリアリティを感じられないと、設定の不自然さのみが目につくというあたりが、今ひとつ日本で話題にならない(DVDスルーになってしまった)理由であろう。だが最大の問題は、日本の親子関係も実態レベルでかなり「フランス」化が進んでいるにもかかわらず、日本人たちは規範レベル、意識レベルで必ずしもそれを認めていない点なのかもしれない。

 日仏の社会的リアリティの違いについて考えさせらる作品。また『オーケストラ(原題 Concert)』でも活躍していたメラニー・ローランの美しさ・魅力も印象的な作品。

 監督のフィリップ・リオレは1955年生まれ。長らく映画録音の世界で活躍し、かなり多数の映画録音を手がけている。映画監督としては1993年の『Tombés du ciel』以降imdbに12編の記録がある。最近の国内公開作としては『君を想って海をゆく』がある。

 国内盤DVD(レンタル版による評価。ただおそらくレンタル版・販売版ともマスターは同一と推定される)に関しては、コントラストや色彩は問題ないが、おそらくPALからNTSCに変換した際の輪郭ゴーストが多少目立ち、解像度面でもおそらくオリジナルのPALより落ちていると思われる。imdbの上映時間を考慮すると、PAL4%スピードアップになっているようだ(国内盤DVD上映時間は約93分)。しかもなぜか日本語/スペイン語版兼用となっており、リージョンコードは2 & 4(中南米&オセアニア)になっている。日本語字幕の翻訳は高橋晶子(しょうこ)。この方はパリ第8大学映画学科を卒業後フランスに滞在し映画・TV関係のコーディネート・通訳・字幕翻訳及び助監督として活動しているらしく、日本映画の仏語字幕作りにも活躍しているようだが、仏語→日本語字幕の経験は浅いように思われた。

原題『Je vais bien, ne t'en fais pas』英題『Don't Worry, I'm Fine』 監督:Philippe Lioret
2006年 フランス映画 カラー 100分(フランス上映版)


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