yohnishi's blog (韓国語 映画他)

アクセスカウンタ

zoom RSS アブドラティフ・ケシシュ監督長編デビュー作『La faute a Voltaire』

<<   作成日時 : 2011/11/01 18:40   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

画像 『クスクス粒の秘密』『エスキーヴ(身かわし)』と個人的にお気に入りの作品を発表してきたケシシュ監督の長編デビュー作。原題に邦訳をつければ「ヴォルテールの過ち」。ヴォルテールとはあの歴史的人物のことではなく、彼の名にちなんでつけられたパリのヴォルテール通りもしくはヴォルテール駅を指すようだ。
 ジャレル(Sami Bouajila)は、父親が亡くなり借金も抱えチェニジアから出稼ぎのため無資格のままフランスに渡ってきた。ビザを申請しにのこのこ入国管理事務所に出向き正直に話してビザ申請をしようとすると、周囲の人からおまえはアホか、失業者が500万もいるこの国にそんな理由を正直に話してもビザやレセパッセが出るわけがないと教えられる。
 そしてアルジェリアからの政治亡命者を装えば、旅券がなくても怪しまれず、ついでに自由、博愛、平等、フランス万歳と言えば、優先的にレセパッセが出ると言われ、その通り申請すると、まんまとうまくいく。
 とりあえず難民のための宿泊所の紹介を受けそこを拠点に毎日違法な地下鉄構内での果物売りを始める。そんな中、懐かしいチェニジア音楽の聞こえるカフェを見つけ、入ると魅力的な女性が。彼女はチュニジア出身のチュニジア/フランス人のハーフである美しいナスラ(Aure Atika)。どこの出身と聞かれかれてアルジェと答えるが、すぐに正体がばれてしまう。様々な事件を経てジャレルとナスラは親しくなっていくが、彼女は幼い息子を抱えていることが分かる。
 ところが入管にジャレルの「政治亡命」話が嘘だったことがばれる。窮地に陥ったジャレルに、カフェの常連は信頼できる人と偽装結婚すればいいと勧められる。だがそれには1万フランは必要だという。結局ジャレルは気っぷの良いナスラに3000で受けてもらえることになり、二人は境界で結婚式を挙げることにする。だがその直前、むずかった息子の態度を見てナスラは自分は利己的であったと反省・心変わりをし、失踪する
 フランス滞在計画がパーになったジャレルは精神錯乱状態になり難民宿泊所の仲間の手配で精神病院に入院することになる。
 
 精神病院で落ち着きを取り戻したジャレルは一人のゴロワーズ1)の少女が自分を見つめているのに気づく。皆から相手にしないようにアドバイスを受けるその彼女の名はルーシー(Élodie Bouchez)であった...

 やはりケシシュ監督の原点らしい作品。女性のエロティックな描き方、そして女性のエロティシズムへの賛辞、そして『エスキーブ』にも見られたゴロワーズ女性コンプレックス。あっけなくすぱっと終わらせる中でかえって余韻を残すエンディングなど、ケシシュ・ガジェットにあふれた作品。俳優たちも後のケシシュ作品のあちこちで顔を見る人たちが出演している。
 そしてジャレルの視点を借りながら、難しさやつらさはあっても希望に満ちた新世界フランスへの期待(&女性との出会い、発展)を観客たちは追体験する。そして同じ難民、移民仲間同士の助け合い、結びつきあいの楽しさ、それはゴロワーズの少女であるルーシーの登場によってその意味がさらに深く掘り下げられる。こんな仲間たちに囲まれていたら、大変でも楽しく新世界がスタートできそうなそんな生活の楽しさ(もちろんいがみ合いやけんかも)に満ちあふれている。
 それ故に、エンディングの政治的メッセージの鮮やかさ、厳しさがスパッと際立つのだ。ベネチア国際映画祭新人監督賞(2000年)は伊達ではない。

 なお、本作に出演していたエロディー・ブーシェは、クシシュ監督とアメリカ映画『Sorry Haters』で共演している。

 本作品は国内未公開。

 なお、本作品のDVDは管見ではフランス盤と南米盤しかなく。南米盤はスペイン語字幕のみ。フランス盤はアラビア語台詞のみにハードサブの仏語字幕がつくという、英語しか分からない人には苦しい状況。なお画像クオリティ自
体はフランス盤らしいすばらしさ。

1)ゴロワーズとは、本来のヨーロッパ白人系フランス人女性の意味。原意はガリア(ゴール)人の女の意味。


原題『La faute à Voltaire』英題『It's Voltaire's Fault / Poetical Refugee』
監督: Abdellatif Kechiche
2000年 フランス映画 カラー 上映時間130分

DVD(仏盤) 
発行・発売:One Plus One Video 画面: PAL/16:9(1:1.85) 音声: Dolby2 仏,アラビア語 本編: 130分
リージョン2 字幕: 一部仏(ハードサブ) 片面二層 発行年2006年2月 希望価格 Eur 19.01


『エスキーブ』映画評
http://yohnishi.at.webry.info/201008/article_4.html
『クスクス粒の秘密』映画評
http://yohnishi.at.webry.info/200907/article_4.html

『Sorry, Haters』 映画評
http://yohnishi.at.webry.info/201005/article_9.html

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(1件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
『茂山(ムサン)日記』 - 韓国における脱北者の希望なき日常を描く
 2011年に韓国で『番人』『豆満江』と並び話題となったインディー映画の一角。韓国では無視されがちな韓国における脱北者の日常生活を描く。 ...続きを見る
yohnishi's blog (韓国語...
2012/03/26 15:49

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
URL(任意)
本 文
アブドラティフ・ケシシュ監督長編デビュー作『La faute a Voltaire』 yohnishi's blog (韓国語 映画他)/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる