yohnishi's blog (韓国語 映画他)

アクセスカウンタ

zoom RSS カトリーヌ・ドヌーブが戦禍後のレバノンを行く 『Je Veux voir (私は見たい)』

<<   作成日時 : 2011/09/20 07:27   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 0

画像 一言で本作品の内容を言えば、カトリーヌ・ドヌーブが空爆後のレバノンを行くセミ・ドキュメンタリー。

 以前紹介した『戦禍の下で』でも描かれた、2006年8月のイスラエル軍によるレバノン南部の空爆の後、フランスの大女優、カトリーヌ・ドヌーブは、空爆後のレバノンを見たいと言い出す。周辺の人々は、あなたのようなVIPが行くには危険すぎる、ボディーガードを用意しなければ... と口々に反対するが、彼女は頑として譲らず、彼女のレバノン行が決定する。
 彼女がレバノンに到着すると、彼女の運転手兼案内役として現れたのは、ラビ・ムルエという青年。彼が運転する車にカトリーヌ・ドヌーブは乗り、さらにボディガードと撮影隊を乗せた車で一行は出発する。まずベイルート郊外へ車を向ける中心街を過ぎると次々に空爆の後の廃墟が現れる。一部はまだ被災したまま残っているものの、多くはかなり取り壊しが進んでおり、盛んに重機が動いている。ただ、撮影隊が撮影しようとすると地元の官憲からすぐ撮影禁止の指示が。
 やむを得ずそこは引き上げて、ラビ青年の父母の故郷でだという南部に向かう。彼自身はベイルートで生まれているが、祖父母がずっと住んでいて、彼も幼いころしばらくそこで過ごしていたことがあるという。現在祖母は爆撃を逃れてベイルートに来ているものの、彼自身は爆撃以降そこを訪れていないという。訪れたいような訪れたくないような気分だという。
 実際に行ってみると、がれきだらけでもはやどこに家があったのか、正確に知ることはできない状況であった。そんな中、ラビ青年は、ドヌーブが出演した映画のセリフの一節をそらんじ始める。彼の記憶力に驚嘆するドヌーブ。
 だが、その二人の時間はうっかり彼が道を間違えたことで中断される。彼が行こうとする方向には地雷が敷設されているかもしれないというのだった。あわててクラクションを鳴らし、急停止を指示する後続車。急ブレーキをかけたラビたちの車を、慎重に引き戻そうと作業するスタッフたち... 戦争はいまだ完全には終わっていないのだ...

 バラエティ誌の記事によると1) レバノン出身でフランス在住の映画製作者夫妻であるKhalil Joreige と Joana Hadjithomas は、同自分の出身国で起きた出来事をフィルムに撮るかと悩んでいたが、世界的なスターを起用しようというアイディアが浮かんだそうだ。ドヌーブは彼らの申し出を快諾し、一週間、無償で出演すると言ってくれた。
 結局事前にはっきりした台本もなく、この映画が短編になるのか、長編になるのかも定かでないまま、ドヌーブを連れて空爆の跡地をあちらこちら見て回ることに。総予算の60万ドルはフランスのテレビ局や財団とレバノンの個人投資家からかき集め、映画として仕上げたそうである。

 まず、フランスを代表する大女優であるカトリーヌ・ドヌーブと個人的に旅しているような感覚が楽しい。ドヌーブ自身はTVでしか見なかった空爆の跡地に、実際に共に立つことによって、それが単なる映像や情報ではなく、リアルであり、間違いなく殺戮が行われた現場として実感する。それを見る我々は、やはりその部分を含めて、所詮映像メディアを通して見ているという矛盾があるのだが、しかし、我々の側にいるドヌーブの驚きや感情を通して、「客観的」な報道映像を見るのとは異なって、我々にも伝わってくる(or 我々にも伝えようとする)。
 ちょうどこれは、3.11を経験した我々にとって、3.11の「客観的」なニュース報道映像と、実際に現地に立って見てその被害を追体験することの落差に近いのではないだろうか。ただ我々にとってせめてもの慰めは3.11で引き起こされた津波が人為的なものでなかった点だろう。

 ただ、カトリーヌ・ドヌーブって誰? と思う人や、2006年のレバノンに対するイスラエルの空爆について良く知らない、という人にとっては、この映画って何の意味があるの、という反応に終わってしまうかもしれない。そういう方には、本作を見る前にとりあえず、以前レビューした『戦禍の下で』を見ておくことを勧めておきたい。

 本作品は2008年11月、第9回東京フィルメックスにて国内上映されている。

 なお、筆者はイギリス盤DVDで鑑賞したが、解像度的には今一つで、輪郭のゴーストもあり、遠景シーンはきつい。元々素材はDVではないかと思われ、素材から解像度が今一つなのかもしれないが、ひょっとしてMpeg素材を(おそらく原盤は仏ピラミッド)再エンコードし直したのではないかという気も。

'1)"I Want to See' responds to attacks -Catherine Deneuve stars in Lebanese film-"
http://www.variety.com/article/VR1117988247?refCatId=13 (2008.6.27)

原題『Je Veux Voir』英題『I want to see』
監督:Joana Hadjithomas, Khalil Joreige
2008年 フランス=レバノン映画

DVD(UK盤) 
発行・発売:Soda pictures 画面: PAL/16:9(1:1.85) 音声: Dolby2 仏語(一部アラビア語) 本編: 69分
リージョン2 字幕: 英(On/Off可) 片面二層 発行年2010年 2月 希望価格 £5.79


『戦禍の下で』映画評
http://yohnishi.at.webry.info/200905/article_1.html

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
URL(任意)
本 文
カトリーヌ・ドヌーブが戦禍後のレバノンを行く 『Je Veux voir (私は見たい)』 yohnishi's blog (韓国語 映画他)/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる