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zoom RSS 韓国人の琴線に触れる家族メロドラマ 『世界で一番美しい別れ』

<<   作成日時 : 2011/08/17 07:41   >>

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画像 本年度公開された韓国映画。末期がんに侵された母親とそれを取り巻く家族関係を描く。典型的な、涙腺を刺激する、韓国でいうところの「新派」メロドラマ。

 主婦キム・イニ(ペ・ジョンオク)は医者である夫、チョン・チョル(キム・ガプス)、会社員の娘ヨンス(パク・ハソン)、医大を目指して浪人中の息子ジョンス(リュ・ドックァン)、義母(キム・ジヨン)と暮らしていた。傍目からは、経済的にも心配がなく幸せに暮らしているように見えた家族だったが、イム・イニは痴呆状態の義母の世話にエネルギーを取られ、夫は仕事で忙しく妻の状況を顧みることはなく、娘は会社の同僚と不毛な不倫関係にあり、浪人2年目の息子は勉強に身が入らず友達と酒を飲んだり、ガールフレンドのジェヨン(イ・ソム)と遊んでいてだれもイニを思いやろうとしなかった。そのうえ、イニの実の弟キム・グントク(ユ・ジュンサン)はギャンブル狂いで妻のシン・シネ(ソ・ヨンヒ)から金をむしり取るばかりではなく、姉にも金の無心をしていた。
 その中で誰にも知れず、イニは体の痛みに耐えていたが、医師の夫は薬局で薬も買ってこいとつれなかった。
 だが、ついに体の痛みに耐えきれず、夫の勤務する病院へ行き、夫の同僚医師の診察を受ける。だがその結果は末期の子宮がん。その結果に驚いた夫チョルは別の同僚チャン(イ・デヨン)にも再検査を頼むが結果は同じ。手術は無理だという同僚をチョルは泣き落として手術をさせるが、やはり手の施しようがなく開腹後そのまま閉じるしかなかった。
 チョルは、イニが癌になったことを本人並びに子供たちに入院前には告げていた。しかし、末期であることは家族のだれにも、そして、イニ本人に対しても告げまいとしていた。だが、最後の頼みの綱の抗癌剤にも拒否反応が出、抗癌剤の投与を中止せざるを得なくなる。そういったなか、イニ自身徐々に自分の症状に疑問を持つようになっていった。なぜか減らされる薬の投与、一向に改善しないむかつき... そしてイニは...

 本作品は、典型的な難病メロドラマであり、その結末も題名に示唆されている。そういう意味では全く期待も予想も裏切るような作品ではなく、取り立てて目新しい要素はないと言ってよい。とはいえ、空気の様に当たり前に思っていた母親の存在や愛情の大きさを、母親が癌になることを通じて改めて認識し直させ、母親に何の思いやりも感謝の思いも持ってこなかったことに反省を迫り、そして、いかにもありがちな荒廃した家族を、危機を通じて再生させるというテーマに、急激に家族関係の在り方が変化しつつある韓国において、韓国人の琴線を大きく揺さぶるものがあることは指摘できるだろう。そのためDaumなどのネット評でも非常に高い評点がついている。
 現代韓国人の心の底に共有されているいささか伝統的(だと思われている)な母親像、家族像を逆説的にうまく描いているという点で、現代韓国人の家族像、家族観を知りたいという人にはお薦めの作品。但し、伝統的(とされている)家族関係にあり方に対する疑問提起等は含まれていない。そのためネティズン評よりも専門家評は低めに出ている。
 日本人の多くの人にも共感を持って見られる作品であろう。

 本作品は、韓国では2011年4月20日に封切りされ、韓国での観客動員数はネット評の高さに比べ意外と伸びず25万5123名(2011年5月現在。Cine21データベースデータ)。日本国内未公開。

 監督のミン・ギュドンは1970年生まれ。パリ第8大学大学院映画学修士課程修了。韓国映画アカデミー第13期生。1996年アカデミー在学当時同性愛を題材とした短編『Her Story』を撮り、97年、同期のキム・デヨンと共同でやはり同性愛少年の日常を衝撃的に描いた『15歳』を撮る。この作品が釜山国際映画祭で上映され注目を集める。以後キム・デヨンと共同で作業することが多く、99年『メメント・モリ(女高怪談2番目の物語)』で商業長編デビュー。その後オムニバス『異共』(2003)、『わが人生で最も美しい一週間』(2005)、『西洋骨董洋菓子店 アンティーク』(2008)、オムニバス『五感図』(2009)と発表してきて本作。(以上Daum映画データベースを参考に執筆)

 なお、本作品のDVDは初回盤は本編+付加映像+サントラCDがついた豪華三枚組。但し画質の方は、輪郭強調は少ないものの、滲んだような印象で、今一つメリハリを欠いた眠い画像。ただ解像度そのものはまぁまぁ。韓国の電子掲示板では、KD Mediaのマスタリングクオリティを監督していた担当者が退社してしまったため、画像のクオリティコントロールのレベルが落ちたのではないか、というような話が上がっている。

原題『세상에서 가장 아름다운 이별』英題『The Last Blossom』監督:민규동
2011年 韓国映画 カラー

DVD(韓国盤)情報
発行・販売: KD Media 画面: NTSC/16:9(1:2.35) 音声: Dolby5.1 韓国語 本編:125分リージョン3
字幕: 韓/英(On/Off可) 片面二層(付加映像+サントラCD付き3枚組) 2011年 7月発行 希望価格W23100

2012.9 国内盤DVD発売

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高齢者の愛情を描く韓国映画『あなたを愛しています』
 2011年公開の韓国映画。高齢者たちのほのぼのとした愛情を描くとともに、彼らの新しい社会関係性の構築の困難さを描いていく作品。原作は2007年に出版されたカン・プルの漫画「あなたを愛しています」(現在3巻まで発刊)で、2008年には演劇化され大学路で公演されて、演劇公演としては異例の12万人の観客を動員したという(DVD付属パンフレットより)。 ...続きを見る
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