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zoom RSS 韓国映画『不当取引 (生き残るための三つの取引)』

<<   作成日時 : 2011/07/12 00:04   >>

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画像 2010年度、最も話題になった韓国映画の一つリュ・スンワン監督の『不当取引(公開邦題: 生き残るための三つの取引)』。国内でも既に4/29より劇場公開が行われた。韓国のネット評では「今年度最高の社会派韓国映画」との評もあったが、その内容は...

あらすじに関してはこちら
http://movie.goo.ne.jp/contents/movies/MOVCSTD18096/

 主立った登場人物が全部ワル。但し、犯人でっち上げに関わるソウル市警の強力捜査班長チェ・チョルギ(ファン・ジョンミン)は、警察の中のエリートコースである警察大学校出身ではなく、実力がありながらも警察の中でも報われない雑草人脈。脱税の大物テギョン建設社長を捕まえるなど、世間の耳目を集める大手柄を立て、今まで何度も強力捜査チーム長(日本で言えば課長相当か)候補に名が上がりながらも、今回も大して手柄のない警察大学出身の別の班長にその座を奪われ掛けていて、悔しい思いをしている。その悔しい思いを上司に上手く使われて、警察の失敗を挽回する犯人でっち上げに荷担することになる。
 そして、チェ・チョルギの犯人でっち上げに協力するヘドン建設社長のチャン・ソック(ユ・ヘジン)はヤクザ上がり。とはいえやはりアウトロー出身ながらも実力で地域再開発高層ビルを手がけるまでにのし上がってきたという点ではチェ・チョルギと共通するものがある。実は大手のテギョン建設社長の逮捕に当たっても、自分を見下し、自分のビル建設を邪魔立てする相手をへこますという意味で、チェ・チョルギに協力したという過去がある。自分のビル建設事業に役立てる意味でチェ・チョルギに協力しながら見返りを求めようという立場。
 そしてワル中の一番のワルが、主要な3人の中で最も安全な立場にいる鼻持ちならないエリートである中央検察検事のチュ・ヤン(リュ・スンボム)。脱税で逮捕されたテギョン建設社長を極力軽い罪に抑えてさっさと釈放させるが、そのことで雑草であるチェ・チョルギの怒りを買い、そのことがチェ・チョルギの犯人でっち上げを追求する立場に。個々に鼻持ちならないエリート対、手段を選ばない雑草との対決図式が発生するとともに、彼らの私的利害追求が、結果的に意図せざる公益である「正義」の実現に資するという皮肉な図式。
 そして結末は、(詳細なネタバレは書かないが)いかにも韓国的にありがちな結末であり(それは結局視聴者の怒りに最も火をつけそうな結末)、それが視聴者に対する公憤を刺激する。

 とにかく最初から最後まで視聴者を引きつける緊張感あふれる展開にはリュ・スンワン監督の着実な手腕が感じられる。ただし、結末はいかにも韓国的な後味の悪さで終るので(その後味の悪さは意図的である)、水戸黄門的なカタルシスを求めると失望する。

 ただ、本作品を見て思ったのはこの映画のテーマ、日本の山本薩夫監督の『金環蝕』(1975)に似ているなという点である。出てくる奴らは皆ワル。そして全員が全員自分の個別の利益を追求しながらも、それらのぶつかり合い、せめぎ合い、足の引っ張り合いの中で、結果的に図らずもある程度正義の追求がなされる(誰一人正義漢がいないにもかかわらず)という皮肉な状況、そしてエリート(特に仲代達矢演じる星野官房長官)対雑草(特に宇野重吉演じる金融王、石原参吉)の対決という図式は、完全に本作と被ってくる。後味の悪い結末という点も共通か(だが『金環蝕』のモデルになった現実の九頭竜ダム汚職疑惑がそういう結末なのだから仕方ない)。ただし本作のアクション的側面は『金環蝕』では皆無であるが。
 しかし、疑惑のスケールの大きさ、一癖も二癖もある登場人物の魅力、ストーリーの自然さ(これは現実の事件がモデルになっているのだから当然か)という点では一枚も二枚も『金環蝕』が上手。『金環蝕』と比べると本作の物語のスケールはいかにもみみっちく感じられてしまう。ネットで本作を「今年度最高の韓国映画」と書いていた韓国のネティズンには、『金環蝕』に韓国語字幕をつけて見せてあげたい気分。いや韓国の映画ファンだけではなく、日本のファンにも日本の古典(もはや...)映画、再発見していただければ...

 韓国では本作は2010年10月28日公開。韓国全国観客動員数2,746,057人(Cine21データベース情報)。日本ではすでに2011年4月29日公開。DVDは10月に刊行予定。

●『不当取引』に出てきた気になる日本語
 日本語字幕版でご覧になった中には気づいた方があるかどうか分らないがいくつか気になる日本語の単語がそのまま出てきている。以下それを紹介。

와이로(ワイロ)
 ファン・ジョンミンが部下たちに、町のヤクザから「ワイロ」もらったのかと問う場面で使われている。中高年中心に広く使われているらしい。韓国語だと正式には뇌물。また特に日本語の「ワイロ」を使う場合は単独で行われるワイロよりも「ワイロ攻勢」というような組織的なワイロの供与を指す時に使われるらしい。

시다(シダ=下)
 部下の意味で使われている。ファン・ジョンミンが妹に「『シダ』を使ったら」(部下or従業員を雇ったら、の意味)という様に使っている。韓国語の正式な単語なら부하(部下)とか종업원(従業員)になるだろう。

시다바리(シタバリ)
 おそらく日本語の「下っ端」が転化したもの。ヤクザなどの下っ端のことや、下っ端がやるような下請け仕事のことを指す。やはり正式な韓国語なら아래사람(下の人)とか심부름(お使い、下請け仕事)になるだろう。ユ・ヘジンがファン・ジョンミンに対して「シタバリやらせて...」というように使っていた。

야지(ヤジ=野次)
 これは日本語の「野次」から。韓国語なら야유(揶揄), 조롱(嘲弄), 훼방(誹謗)하는 말。

이찌반(イチバン=一番)
 これは「最高(최고)」の意味で使われている。ファン・ジョンミンがリュ・スンボムに謝罪の意味で、料亭でおごった後、酔ったリュ・スンボムがファン・ジョンミンに対して「イチバン」と声を掛けている。

 韓国盤について。韓国ではDVDとBlu-rayで出ている。Blu-rayは『殺人の追憶』と同様美しい画面。因みにパッケージにはMade in Koreaと書いているが、中のディスクを見るとMade in Taiwan。因みに『殺人の追憶』を見るとやはり台湾プレスであった。どうやら韓国には現在Blu-rayプレス工場がないらしい。それで台湾だったり米国プレスになるようだ。Blu-ray価格が高め&販売が遅れるのも納得。とはいえ韓国のビデオディスク市場の惨状を見ると、韓国にBlu-rayプレス工場が出来るのはいつのことやら(永久に無理?)。オーサリングはCJ Powercastという韓国内の会社で行われているようなのだが...

原題『부당거래(不当去来)』英題『Unjust』監督: 류승완
2010年 韓国映画 カラー

Blu-ray(韓国盤)情報
発行: CJ Entertainment 販売: ART Service 画面: HD1080p(1:2.56) 音声: DTS5.1 韓国語 本編:119分
リージョンA 字幕: 韓/英(On/Off可) 片面二層 2011年 7月発行 希望価格W33000

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