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zoom RSS 書籍「光州 五月の記憶  尹祥源・評伝」

<<   作成日時 : 2011/07/09 16:50   >>

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 光州事件の指導者、尹祥源(ユン・サンウォン)の伝記。著者は光州事件の際、彼の側近として活動していた林洛平(イム・ナッピョン)。現在は光州市民団体協議会代表を務めているようだ。

 日本で公開された、光州事件を描いた韓国映画『華麗なる休暇(邦題: 光州5.18)』は、個々の戦闘場面等は事実に基づくものの、ストーリー全体は全くのフィクションというよく分らない構成をとっていた。光州事件の民衆側の指導者とされる尹祥源、朴南宣(パク・ナムソン)らの名前も全く出てこないし、民衆内部でも事態収拾委員会とあくまでも抗戦を主張したとされる尹祥源らの対立の事情も分らない。むしろこの点では韓国ドラマ『第五共和国』を見た方がより良く分るという、存在意義のよく分らない映画であった。敢えて言うならば、キム・サンギョンが演じていた役が朴南宣をモデルにしていたようにも思えたが...

 というわけで、光州事件の真相により迫るのではないかと本書を手に取ってみた。

 なお、原著は1991年に初版が出された『野火の肖像 尹祥源・評伝』。それを2007年に改訂新版として出されたもの(『윤상원 평전』박호재,임낙평共著、풀빛刊、ISBN978-89-74743268)が底本となっている。著者は尹祥源の側近として活躍していただけあって、彼の生い立ちや家族との関係、個人としての思いに関してはさすがに詳しい。

 ただ、光州事件それ自体に関して分ったのは、そもそも光州事件における民衆側の動きは組織化されたものでは全くなく、尹祥源側が把握していたのはおそらくその動きの1/3程度。おそらく更に1/3は朴南宣が、そして残りの1/3は事態収拾委が(掌握していたと敢えて言えるならば)掌握していたのであって、従って尹祥源側から描ける光州事件の姿はどうやらその1/3に過ぎない、ということである。
 もちろん、光州事件において「野火夜学(들불야학)」や緑豆書店の果たしていた役割の重要性は否定できない。が、光州事件を突き動かしたのはそれだけではなかったということだし、尹祥源ら「野火夜学」サイドが把握していないところで事態が動いた部分も大きかったらしいということだ。そのような寄り合い所帯であったからこそ全羅南道道庁内で市民の間の「毒針事件」の影響がかなり大きなものだったことが伺える。

 映画『華麗なる休暇』が光州事件の真相を覆い隠そうという悪意を持って作られたのかどうかは分らない。ただ、悪意を持って作られたのでないとすれば、光州事件は北朝鮮と手を結ぼうとする一派によって引き起こされたという外部からの論外の評価はともかく、同じ光州の民衆の中でもおそらく3つに割れてしまうであろう光州事件の評価を巡って、一定の視点に立つことによる批判を避けようと、主要ストーリーの完全フィクション化の道を突き進んだのではないか、と推察される。それが良かったのか、悪かったのかは微妙なところであるが...

林洛平, 2007=2010, 高橋邦輔訳, 光州 五月の記憶 -尹祥源・評伝-, 社会評論社

『華麗なる休暇(光州5.18)』 映画評
http://yohnishi.at.webry.info/200804/article_5.html

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