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zoom RSS 韓国初の仏教映画にして近代文化財指定映画『心の故郷』

<<   作成日時 : 2011/07/20 05:51   >>

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画像 1949年の韓国映画で、韓国の近代文化財に指定されたそうだ。寺に預けられた童僧の母親を恋しく思う心を描いた作品。

 ドソン(ユ・ミン)は3歳の時に母親に捨てられて遠い親戚が住職(ビョン・ギジョン)をしている寺で育てられて当年12歳。母親がいつか迎えに来てくれるのを心待ちにしている。
 ある日、ソウルから息子をはしかで亡くした未亡人(チェ・ウニ)とその母親(ソッ・クムソン)が、息子の49日の法要を行うため、ソウルからわざわざこの山寺にやってきた。ドソンは未亡人の姿を見て、自分の母親もこんなではないのかと想像し、母親を恋しく思う気持ちが強くなり、お経の勉強にも身が入らなくなる。そんなドソンは未亡人がクジャクの羽で作ったうちわを持っているのを見て、自分の母親が迎えに来たら母親に彼女が持っているようなうちわを作ってあげたいと、近所の悪童たちからパチンコを借りて山鳩を捕ろうとする。そして自分の母親像を重ね合わせた未亡人のために、山から花をとってきて花瓶に生けたりする。
 そんなドソンの姿を見て未亡人は彼を不憫に思うとともに、彼が亡くした息子の姿に似ているのを見て、ドソンを自分の養子にしようという気持ちになる。そしてドソンにもその自分の考えを伝える。
 だが、法要の当日、ある女性が影から法要の手伝いをするドソンの姿をじっと見つめていた。それは5年ぶりに彼に会いに来たドソンの実母(キム・ソニョン)だった。ドソンの実母は猟師の男と駆け落ちしてドソンをもうけたものの、別の男に出会って猟師と別れ、ドソンを育てることが出来なくなり寺に捨てたのだった。だが、ドソンの弟を産んだものの、新しい男とも別れしかもドソンの弟を亡くし、寂しさでドソンを引き取ろうと寺にやってきたのだった...

 とにかく母を思って恋しく思う童僧ドソンの切ない母親への思いの表現が良い。そして未亡人のドソンに対する思い、実母のドソンに対する思い、そして彼らの思いの交錯がなかなか一点に交わらないもどかしさ... それらの気持ちの表現が秀逸。これがハン・ヒョンモ撮影監督の日本仕込みの的確なカメラ−ワークに支えられ、今日見ても彼らの思いが十分に伝わる情操豊かな傑作。韓国近代文化財指定もまんざら伊達ではない出来。また若かりしチェ・ウニの清純な姿も注目。
 ただ、韓国最初の仏教映画という触れ込みはちょっとどうかという気が。確かに寺が舞台になっているのは間違いないし、ドソンが母のために、殺生をしないという戒律を破ることが問題にはされているものの、仏教的テーマというよりは、むしろ母親への思いや、ドソンの精神的自立が描かれているように思う。
 当時、映画としては抗日映画、啓蒙映画が大半だった当時、本作は珍しい文芸映画であった。

 本作品は、韓国映画史上初めてフィルム交換で海外で上映された作品で、1949年フランスで上映されている。だが原フィルムは韓国の映画保存の悪さも手伝って失われていた。それがフランス在住の韓国人映画プロデューサーイ・ガンスが、フランス上映版の16mmフィルムを持っていることが1993年に明らかになり、韓国映像資料院に彼の所蔵する16mmフィルムが寄託された。
 さらに、2005年日本の国立フィルムセンターでオリジナルネガフィルムが発見され、それに基づいて作られたマスターポジフィルムが映像資料院に収蔵されることになる。韓国盤DVDはこのマスターポジフィルムをテレシネした素材より作成された。そのような経緯のせいか、韓国盤DVDには日本語字幕がつけられている。
 
 本作品は1949年2月9日封切り。韓国観客動員数は約10万人(KMDBによる)。国内では先も述べたように国立フィルムセンターで所蔵。

 監督のユン・ヨンギュ(尹龍奎)は1913年大邱生まれ。東京俳優学校を卒業後、豊田四郎監督門下に入って「春山潤」という日本名でシナリオ&演出修行に励む。この時代プロデューサーとして『小島の春』他数編の映画の製作に携わる。戦後韓国に戻り1948年には『夢が懐かしい』という新聞記者生活を描いた映画の撮影に入るものの完成できなかった。そして1949年に本作を撮影後、家族を南に残したまま一人北朝鮮に渡り、少なくとも1980年には『春香伝』を北朝鮮で撮ったことが知られている。

 本DVDのテレシネのクオリティ自体は良好でおおむねコントラストが高い。但し、スクラッチノイズは目立たないもののオリジナルネガの埃が結構残っていて、その部分が白い斑点となって目立つ。とはいえせっかくの日本語字幕付き、関心のある方には是非見て頂きたい。

※なお、この後引き続き出る「戦後の風景」DVDボックスも日本語字幕付きの模様。

原題『마음의 교향』英題『A Hometown in Heart』監督:윤용규
1949年 韓国映画 モノクロ

DVD情報
発行・販売Blue Kino 画面: NTSC/4:3(1:1.33) 音声: Dolby1 韓国語 本編:78分 リージョンALL
字幕: 韓/英/日(On/Off可) 片面一層 2011年 6月発行 希望価格W15400

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