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zoom RSS まさに少女漫画の世界の映画化『妖術』-韓国映画-

<<   作成日時 : 2011/06/13 00:33   >>

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画像 女優ク・ヘソンが監督&脚本に進出したと話題になった韓国映画。音楽高校に通う3人の男女の三角関係を音楽に包んで描いた作品。映画の製作もク・ヘソンが所属する芸能事務所YGエンタテインメントとCJエンタテインメントが共同で行っている。

 ミョンジン(イム・ジギュ)、ジウン(ソ・ヒョンジン)、ジョンウ(キム・ジョンウク)は寄宿制の音楽高校に通う仲良し三人組。女の子のジウンはピアノ、男の子のミョンジンとジョンウはチェロを専攻。ジウンは性格は良いがチェロの技術は今ひとつ。一方ジョンウはチェロの演奏技術は卓越しているが、アグレッシブな性格。音楽喫茶で下手なチェロを弾いている他の学生に、自分のチェロの技術をひけらかして、精神的に叩きのめしたり... 3人は仲良しではあるが、お互いの思いに正直になれない。ジョンウに、好きな人はいないのと聞かれたジウンは「恋愛なんかしない」と答える。一方ミョンジンはミョンジンで密かにジウンに憧れているものの、自分の演奏技術に自信が持てないこともあって、自分の気持ちを言い出せない。ジウンはジウンで、たまたまミョンジンとジウンが楽器店に入り置いてあったピアノで仲良く連弾するのを、密かに窓の外から羨ましげに眺めているだけだった。自分の気持ちに正直になることが三人の関係を壊す... そのことは皆暗黙のうちに分かっていたのだ。
 その三人は高校のアメリカ留学者を決定するコンクールに応募することになるが、自分の技術に自信が持てず弱気になっているミョンジンはジョンウが演奏するのと同じ韓国人の作曲家の作った「結婚記念日」という曲を自分の応募曲にすることを決め、仲良しのジョンウと一緒に練習する。コンクールのチェロの部は、1番目がジョンウ、ラストがミョンジンに決定。ところがその直前、ジョンウは順番を交代し、お互いに入れ替わって演奏しようと言い出す。初回にジョンウの名前で出たミョンジンは、案の定途中で失敗。そしてラストにミョンジンの名で出たジョンウは、課題曲を演奏せずに、チェロをギター式に持ち替えてアリランを歌い出す。そのため二人は仲良く落選。落選決定後、ジョンウはミョンジンに「技術の差があるのだから俺と同じ曲を選んでどうする」と諭すのだった。
 そして、卒業公演が近づいてくる。その日に演奏するために、ジウンは「妖術」という曲を作曲する。そしてジウンは2番目の楽譜をミョンジンに渡し、1番目の楽譜をジョンウに。しかしその頃からジョンウの様子がおかしい。咳を度々するようになる。実は彼は結核に冒されていたのだった... そして三人の関係は...

 昔、子どもの頃に楳図かずおのマンガ「おろち」を読んだことがある。おろちという何千年も生きている不思議な少女が主人公、というか狂言回しとなって様々な怪奇エピソードを語っていくという作品だが、そのエピソードの一つに、洋館に住む呪われた姉妹の数十年を追っていくというエピソードがあった。それを読んですぐ感じたのは、「これはいつの時代の話なんだ!?」。当時は日本が3,40年間、「終わり無き日常」の時代を経るということは考えられなかった頃、まさにその呪われた少女の3, 40年間に戦争も出てこなければ、戦後の混乱期も出てこない、完全に時代の変化が考慮されていない歴史感覚ゼロの展開だったのだ。今日、まさに「終わりなき日常」が3,40年続いたという事態を迎えて、平和日本のありがたみを感じるべきなのか、あるいは楳図かずおの先駆性を讃えるべきなのか、今となっては複雑な心境である。
 で、本作品を見て「おろち」を読んだ感慨を思い出した。「これは一体いつの時代の話なんだ!?」中年になったミョンジンの回想の形で語られるので、おそらくは1980年頃が想定されているのだろうが(時代を象徴する小道具としてアナログレコードが出てくる)、しかしその頃結核が不治の病だなんてありえない。もちろん貧困で薬が買えないで... というケースはあったろうが、そもそも音楽を学べる学生は、特に当時は、ある程度金持でないと到底学べないはず。薬が買えなくて結核が治らない... などということは到底考えられない。そういう想定が可能なのは、1920-30年代の日本であろう。
 また、建物などの小道具、セットの雰囲気もアンティーク調ではあるが、(美術面では台湾映画の『言えない秘密』を彷彿とさせる面がある)、あくまでも現代から見たアンティーク調であり、歴史・地域性不明。『殺人の追憶』に再現された韓国80年代の雰囲気は微塵にも感じられない。
...と、文句を付け出すときりがないが、要はこれは実在の韓国とは全く関係なく、ファンタジーの世界、少女漫画の世界なのだ(ちょうど「おろち」がそうであったように)。おそらく、堀辰雄の世界あたりに影響を受けた日本の少女漫画の影響と、音楽映画としての『言えない秘密』あたりをミックスして作り上げた、ク・ヘソン流のファンタジックワールドだと割り切れば、それなりに楽しめる。ただ、ラストはすぐ悲劇に走る韓国映画の悪い癖が出たのでは... という気が。だってファンタジー映画なんだもの。もう少し救いがあってもいいのでは?
 あっさり目の美人、ソ・ヒョンジン演じるジウンも可愛いし、女性であればイケメンだがちょっと悪のジョンウ役、キム・ジョンウクも人気が出そうだ。それに主人公のミョンジンには、『銀河解放戦線』や『貯水池から救われたチーター』などのインディー映画から火が付いた「のび太君」的雰囲気を持つイム・ジギュ。いずれも日本ではまだ知られていないだろう。あるいはYGエンタテインメントの新人プロモーションPRビデオの意味も兼ねているのかも知れない。また中年ミョンジン役に、『KT』などで日本でもおなじみのベテラン、チェ・イルファ。

監督のク・ヘソンは女優として既に日本でも知られているだろう。略歴紹介の代わりにWikipediaのURLを挙げておく(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%83%BB%E3%83%98%E3%82%BD%E3%83%B3)。

 本作品の韓国公開は2010年6月24日。観客動員数は6018人と、CJ Entertainmentが配給に付いたにも拘わらず完全にインディーズ映画並みの数字。日本未公開。日本では、少女漫画の世界はなじみがあるし、公開に工夫すればもうちょっと売り上げにつながる数字が出そうな気がする。

 韓国盤DVDの画質は、解像度面に関して言うと最近の韓国盤としては優秀。おそらくこの作品は低予算で最初からHDカムで撮影されているのではないかと思われるが、最近韓国映画のテレシネを真面目にやっていないからか、低予算HD映画のDVDの方がフィルム映画のDVDよりも解像度が高い傾向にある傾向が出てきている(同時にHDカムからSDでのMpegエンコーディングのクオリティが上がってきたのだろうが)が、本DVDもご多分に漏れないようだ。

原題『요술』英題『Magic』監督:구혜선
2010年 韓国映画 カラー

DVD(韓国盤)情報
発行: CJ Entertainment販売: ART Service 画面: NTSC/16:9(1:2.35) 音声: Dolby5.1/2 韓国語 本編:95分 
リージョン3 字幕: 韓/英(On/Off可) 片面二層 2010年 10月発行 希望価格W22000

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