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zoom RSS ホン・サンス監督の実験的野心作『オッキの映画』

<<   作成日時 : 2011/02/25 07:30   >>

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画像 長編第2作の『オー! スジョン』以降、利己的でちょっと僻みっぽい周辺文化人の男と女のずるずるべったりの模様をずっと描いてきた、偉大なるマンネリスト監督、ホン・サンス。ところで、今回は、ただずるずるべったりだけではなく、ちょっと実験的精神にあふれた作品になっている。もっとも今までのホン・サンス・マンネリズムも実験精神の発露だったかもしれないのだが。

映画は4部のエピソードに分かれ、それがつかず離れずの関係を保っている。

第1部 呪文を覚える日
 ここでは、ある大学の映画学科非常勤講師を務めるインディーズ映画監督ジング(イ・ソンギュン)と上司(映画学科長)であるソン教授(ムン・ソングン)との微妙な関係が描かれる。ジングには妻(ペク・ジョンニム)がいるが、彼女とは不仲。ジングはおそらくソン教授とは学生時代の師弟関係。今は彼の引きで大学の講師を務めている。そんな中で、学科内で懇親のための会食をしようという話が持ち上がる。しかしたまたま学内で出会った映画学科のオ教授(ソン・ギヒョン)は、ソン教授は金に汚いから会食で同席なんかできるかと拒否し、そしてイ・ソンギュンに対し、彼はかなり金を取って、同僚のパン(チョ・ソントク)を専任に引き上げたと言い捨てていく。
 会食の席で酔っぱらったイ・ソンギュンはソン教授に対し、先ほど聞いた噂を糾してしまい、教授と気まずい関係になってしまう。
 その後、自分の作品の上映会で、今度は逆に、ある女性(ソ・ヨンファ)から、彼が彼女の友達をもてあそんだのではないかと糾弾する質問を受ける立場に立つことになる。

第2部 キス王
 20代、映画学科学生時代のジング。彼の作った作品がソン教授の称賛を受け、友人の間でも学科の賞を彼がとるのではないかと噂になる。そのジングは同じ学科の女学生オッキ(チョン・ユミ)に惚れて、アチャ山までついて行って、愛の告白をするが、反応がいまいち。実は、オッキはソン教授と秘密の関係にあるようなのだがジングは知らなかった。結局、ジングは賞を取れなかった。その衝撃を抱えながらジングはオッキの下宿に向かうのだが...

第3部 大雪の後
 50代の映画監督ソンは大学の非常勤講師を務めている。冬学期のある日、いくら大雪とはいえ自分の講義に学生が一人も現れない。気を悪くして同僚教授に、今学期限りでの退任したいと口走る。ところがしばらくするとオッキが走ってくるのが見え、さらにしばらくしてジングもやってきた...

第4部 オッキの映画
 これは映画学科学生オッキが作った映画。彼女は、映画の中では、映画学科教授ソンと、同じ学科学生のジングとに、二股がけでつきあっている。彼女はソンとは大晦日に、ジングとは正月にアチャ山にいっしょに登る。その二人の行動の違いを映画の中で提示していく...

 4つの設定は似ているが微妙に異なっている。時系列的に並べられるとも見られるし、このうちのどれかがジングやオッキが作った映画だとも解釈することができる。3人の登場人物(ソン、ジング、オッキ)は同一人物だとみることもできるし、まったく別々のエピソードの別人物だとも見ることができよう。もし時系列に並べるなら第3部→第2部→第4部→第2部という関係になりそうだし、あるいは第4部は文字通りオッキが作った映画、第1部はジングが作った映画、第2,3部は現実、という解釈もできそうだ。おそらくその解釈は視聴者に任されているのだろう。
 ただ、いずれも社会関係のどこかに齟齬や亀裂が生じ、体面を失ったり、気まずくなる場面がミニマリスティックかつ笑い引き起こすような形で延々と描写されているのが特徴だ。そのことで、社会関係の中に暗黙に潜む決まりきったコードの存在を浮き彫りにし、笑いを呼び起こすという、ある意味エスノメソドロジックな映画だと言うことができるだろう。

 本作品は韓国では2010年8月12日公開。KOFICデータによれば観客動員数は全国36143人。ベネチア国際映画祭競争部門正式出品。日本国内未公開。観客動員数だけを見ると完全にマイナー・インディーズ映画並みの数字だが、これで映画を続けて撮れるのもホン・サンス監督の才能か。

原題『옥희의 영환』英題『Oki"s Movie』監督: 홍상수
2010年 韓国映画 カラー

DVD(韓国盤)情報
発行販売: DS MEDIA 画面: NTSC/16:9(1:1.85) 音声: Dolby5.1 韓国語 本編:80分
リージョンALL 字幕: 韓/英(On/Off可) 片面二層 2011年 1月発行 希望価格W25300

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