yohnishi's blog (韓国語 映画他)

アクセスカウンタ

zoom RSS 話題の韓国スリラー映画『キム・ボンナム殺人事件の顛末(ビー・デビル)』

<<   作成日時 : 2011/02/20 16:13   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 3 / コメント 2

画像 2010年度の話題スリラー映画。韓国での観客動員数はさほど伸びていないが、韓国内の映画専門家たちには高い評価を受けた作品。キム・ギドク監督作品の助監督だったチョン・チョルス監督作品。

 ソウルの銀行に勤務するヘウォン(ジ・ソンウォン)。彼女はなるべく人と関わらないように、他人に無関心に、不親切に暮らしている典型的な都市的人間。道で女性がレイプされている場面を目撃して、警察から証言を求められても拒絶する... そんな彼女にたびたび、母方の祖父が住んでいた島、ム島から幼馴染のボンナム(ソ・ヨンヒ)から電話や手紙が来ていたが、彼女は適当にあしらっていた。
 だが、彼女の顧客に対する冷たい態度が災いし、銀行からレイオフを宣告される。それを契機に、何度もしつこく島に会いに来てと懇願されていたボンナムの許を訪問することを決意する...
 10数年ぶりに訪れたム島。そこは島民が9名ほどしかいない孤島。本土とは時々運行される小舟だけが頼りだ。ボンナムはそこで夫のマンジュ(パク・ジョンハク)、娘のヨニ(イ・ジウン)や姑と暮らしていた。久しぶりの島の素朴な暮らし、美しい自然、ボンナムと温める旧交に心洗われる思いのヘウォン。
 だが、やがておかしな事態に気づく。ボンナムは、たびたび夫から暴力を振るわれ、そして夫は平気で本土から売春婦を呼んでセックスする。そういった男たちの粗暴なふるまいを、見て見ぬふりをする島の女たち。実はボンナムはその島での奴隷のような生活から、自分と娘を救い出してほしくて、ヘウォンに会いたいと言っていたのだった。だが彼女のその願いを拒絶するヘウォン。仕方なく、ボンナムは売春婦としてきたことのあるミランに船の手配を頼むが、彼女が連れてきた船頭は島の青年トゥクス(オ・ヨン)であった。そのため彼女の試みはすぐ暴露してしまう。
 ボンナムを殴りつけるマンジュ。そのマンジュを止めようとしたヨニはマンジュに殺されてしまう。
 ヨニの死に本土から派遣されるソ巡査(チョ・ドッジェ)。だが巡査の問いに島のだれも証言をしない。そしていつも見て見ぬふりをするヘウォンも。ソ巡査はおかしいと思いながらも島の人々から賄賂をもらい、そのまま帰る。
 ヘウォンも助けてくれず、いよいよ追いつめられたボンナムは...

 韓国映画(というか韓国の伝統的物語)の一つの伝統的物語として、徹底的に恨を溜め込んだ挙句、最後に徹底的に逆襲するというものがある。特にその凄まじさを見せつけて印象に残る映画は『下女』で有名なキム・ギヨン監督の作品群。『下女』もその一つと言えるが、『高麗葬』『陽山道』はさらに凄まじい。
 そして本作品は間違いなく、キム・ギヨン監督に代表されるそのような路線の正統な継承者であると言える。後半、ボンナムの残虐な行為はもちろん恐ろしい。だが、その一方で彼女の心情には十分理解ができ、ある意味、同情というべきか、恨みを晴らすカタルシスがない交ぜになった、不思議な感情を呼び起こするもの。恨を晴らす物語の伝統とホラーの新たな結合というべきか。例えばカン・ウソクの『公共の敵』などとは正反対のベクトルを持った作品だと言える。
 そういった意味ではきわめて韓国的なオリジナリティにあふれた恐怖映画だと評価することができるだろう。

 本作品は2010年11月東京フィルメックスで公開されたほか、本年4月以降、国内一般劇場公開が予定されている。公開邦題は『ビー・デビル』。またカンヌ国際映画祭批評家週間出品、プチョン国際ファンタスティック映画祭3部門受賞、第8回大韓民国映画大賞、主演女優賞、新人監督賞受賞。韓国では2010年9月2日公開。韓国全国観客動員数は16万2666名(KOFIC調べ)。
 なお、オーディオコメンタリーによると、本作は製作後、当初劇場公開さえ危ぶまれていたが、カンヌに招待されて救われたのだという。

 チャン・チョルス監督は1974年生まれ。弘益大学視覚デザイン学科卒業。2000年に日本に語学研修のため留学。その時見たキム・ギドク監督の『島』で衝撃を受け、直ちに帰国、キム・ギドク門下に入門。キム・ギドク監督の助監督を経験後、『神父修行』で商業映画界も経験。2008年韓国シナリオマーケットで本作品シナリオで最優秀賞を受賞する。初長編監督作である本作で国内外の注目を集める。(以上Daum映画データベースを参考に記述)
 主演のソ・ヨンヒは東国大学卒業後『嫉妬はわが力』でスクリーンデビュー。最近作には『清潭菩薩』がある。またジ・ソンウォンも東国大学出身。2002年SBSタレント選抜大会を経由し女優デビュー。

 なお、韓国盤DVDの画質だがDS MEDIAとしてはかなり頑張った画質だが、韓国盤のベスト水準と比較すると多少甘め。だが一般的な環境では問題なく見られる水準である。しかもDTSまで収録(おそらくDS MEDIAとしては初?)とおごっている。特典として、監督・女優コメンタリー収録&予告編、メーキング収録。

原題『김복남 살인 사건의 전말』英題『Be Devilled』監督:정철수
2010年 韓国映画

DVD(韓国盤)情報
発行販売: DS MEDIA 画面: NTSC/16:9(1:2.35) 音声: Dolby5.1/DTS 韓国語 本編:115分
リージョンALL 字幕: 韓/英(On/Off可) 片面二層 2011年 1月発行 希望価格W25300


日本国内公式サイト(キングレコード)
http://www.kingrecords.co.jp/bedevil/

ビー・デビル [DVD]
キングレコード
2011-10-05

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by ビー・デビル [DVD] の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル


テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(3件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
チャン・チョルス監督インタビュー:映画『ビー・デビル』について
今作も上映されたFilmexの開催前に映画会社から「日本での語学研修中にキム・ギドク監督の『魚と寝る女』を観て直ちに帰国。ひたすらキム・ギドク監督のもとを訪ねて『コースト・ガード』(01)の演出部として映画界でのキャリアをスタートさせた」という文章に魅かれた。そして、今作でチャン・チョルス監督は長編デビューしたわけだが、この行動力と映画資金を集めるのが困難になってきていると「TOKYO」の撮影中に取材したポン・ジュノ監督も言っていたのに、「チェイサー」「映画は映画だ」「息もできない」などの新人監... ...続きを見る
INTRO
2011/03/30 16:59
映画「ビー・デビル」のどかな小島の鮮血ドバッ!の惨劇
「ビー・デビル 」★★★ ソ・ヨンヒ、チ・ソンウォン 出演 ...続きを見る
soramove
2011/05/27 00:25
『隠密に偉大に』 -またまた北朝鮮スパイもの 韓国映画
 最近韓国映画で散見される(『ベルリン』『義兄弟』など)北朝鮮スパイものの一つ。原作は非常に人気のある同名のWeb連載漫画。前半はコメディタッチだが、後半はシリアスになる。一部の韓流ファンに人気の、ドラマ「海を抱いた月」に出演していたキム・スヒョンの初主演映画。国内で配給会社が買ったらしく、何らかの形で国内リリースされるであろう。 ...続きを見る
yohnishi's blog (韓国語...
2014/02/26 07:38

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
 東京フィルメックスで観ました。前評判が高かったせいか満席で、四方田犬彦氏や崔監督の姿も。
 残虐ものに弱いのですが、これは何故か素直に受け入れてしまえる説得力のある作品でした。最後のところでマンジュが“おまえは一度も心を開いてくれなかった”と言ったのが引っかかっています。わたしはずっとこれは革命だ!と思って観ていたんです。
 監督は最初ソ・ヨンヒさんにオファーを出したところすぐOKだったのに、出資者たちが初作品なので彼女では不足、もっと大物女優を探すようにと言ったため何人かに打診したけれどもみんなに断られたと話していました。でも彼女はこの作品で受賞し、止めようかとも考えていた女優業に精進するとのことですので分らないものですね。
ishii
2011/02/20 17:37
ishii様、早速のコメントありがとうございます。ソ・ヨンヒは『清潭菩薩』でも見ました。正直その時はそんなに魅力的だとは思いませんでしたが、これはブレークしましたね。
もっとも本作品韓国での観客動員数は16万余りだったので、はたして大物を起用してうまくいったのかどうか... もっともリメーク版『下女』は韓国のネットの評価があまり高くないにもかかわらず230万以上動員していますし...
私は、ヘウォンの立ち位置がやはり心に引っかかっています。
yohnishi
2011/02/20 20:05

コメントする help

ニックネーム
URL(任意)
本 文
話題の韓国スリラー映画『キム・ボンナム殺人事件の顛末(ビー・デビル)』 yohnishi's blog (韓国語 映画他)/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる