yohnishi's blog (韓国語 映画他)

アクセスカウンタ

zoom RSS アラブ系青年とフランス人女性の奇妙なロマンスを描く『Lila dit ca (リラは語る)』

<<   作成日時 : 2010/12/09 21:52   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

画像 フランスを拠点に活躍するレバノン人映画監督、ジアド・ドゥエイリ(Ziad Doueiri)の2004年映画作品。内気なアラブ系青年と奔放で美しいヨーロッパ系フランス人の女の子との間のロマンスを描くと共に、アラブ系フランス人のフランス社会に対する疎外感をアラブ系青年のフランス人女性へに対する気後れに象徴させて描いた作品。l

 フランス・マルセイユ郊外のアラブ(マグレブ)人街。そこに住むチモ(Mohammed Khouas)は知的だがちょっと内気な高校生。高校の先生はチモの文学的センスを発見して、大学で文学を学んで作家の道を志してはどうかと勧められているが、アラブ系の彼にとってフランス社会において自分の将来の希望が見い出しがたく、父親が亡く母子家庭であることによる経済的困窮も加わり、先生の提案にも乗り気になれない。彼には、三人の悪友、ムールー(Karim Ben Haddou)、バカリ(Lotfi Chakri)、ビッグ・ジョー(Hamid Dkhissi)がいるが、彼らと共につるみ、時に彼らの盗みも手伝ったりする。
 そんなアラブ人街に突然、一人のゴロワーズ(ヨーロッパ系フランス人)の女の子、リラ(Vahina Giocante)が叔母(Edmonde Franchi)と共に越してくる。原付を乗り回す色白でブロンドの美しい彼女は、アラブ系ばかりの町中で異彩を放って目についた。早速、悪友三人は彼女をナンパしようとしつこく声をかけるが、常に一切無視。だがチモは、三人と揃って声をかけることはなかったものの、内心彼女の美しさに胸をわしづかみにされていた。
 ある日、チモが一人で公園に足を踏み入れると、そこにいたリラから突然声をかけられる。「私のアソコ、見たくない?」
 そんなことがきっかけで、悪友三人には内緒のリラとチモのつきあいが始まる。リラはチモにいつもエロチックな話しをしかけて、内気なチモを翻弄する。曰く、「以前アメリカにいたときに、干し草の上でセックスしたことがある」「つきあっていた男の子以外とも浮気したことがある」「私とあなたがセックスしているところをビデオで撮ってほしいの」etc.そしてチモと言えば、彼女を抱きしめることさえままならず、ひたすら彼女が話す奔放な話しを戸惑いながら聞くばかり。彼女への思いと奔放な眩しい彼女への距離との間を測りかねていた。だが、彼はそんな彼女の話を聞くことが決して嫌いではなかった。
 だが、チモの彼女への気後れは、単に彼女の奔放さのためばかりではなかった。チモがリラと一緒にいるところを見かけたチモの母親からは、フランス人の女の子とつきあってもうまくいくはずがないと毒づかれもする。つまり、チモがアラブ系であることからくる、フランス人やフランス社会に対する気後れもダブっていたのだ。
 それでも、悪友三人がリラを見かけるたびに何度もナンパしようとするのを見て、チモは彼らを引き留めるようになる。そんなチモの態度に、チモとリラとの間に何かあるのではないかと疑い始める彼ら。
 そんなある日、ある事件が...

 原作はチモ(主人公の名に同じ。尚本名非公表)の同名の小説。テーマ的には先日紹介した、アブドラティフ・クシシュ監督の『L'Esquive』と重なってくる作品。製作年もかぶる。アラブ系フランス人のフランス社会に対する疎外感がフランス人女性に対する気後れに象徴されて描かれているという点も共通。ただ、ケシュシュ監督の方はかなりシニカルな視線が感じられるのに対し(そういえばやはり彼が監督した『クスクス粒の秘密』もシニシズムがどこかに潜んでいる)、原作のせいなのか、あるいはドゥエリ監督がレバノン国籍である(つまりフランス社会から距離をおける?)ということがきいているせいか、悲劇的側面はあるもののより素直で肯定的側面が感じられる。主人公のチモは、いろいろあるものの、最終的に勇気を持って殻を突き破りフランス社会に船出していくことを決意していくし、フランス人の女の子の描き方もエキセントリックでありながらも、その存在に肯定的である。
 そして何よりもヴァイナ・ジョカントが演ずるリラが魅力的。男性視聴者であれば、主人公のチモと同様にリラのエキセントリックで美しいバストショットで描かれる表情に心奪われることは必定。チモと同様リラをいつまでも見ていたいという気持ちになるだろう。そしてさらに彼女の真情を知れば...
 なお、扇情的台詞は続くが、映像自体はさほど扇情的ではないので誤解のないように。

 監督のジアド・ドゥエイリは1963年レバノンのベイルート生まれ。1983年アメリカに渡り、カリフォルニア大学サンディエゴ校の映画学科に入学。卒業後はクエンティン・タランティーノ監督の全作品、ロバート・ロドリゲスの「フロム・ダスク・ティル・ドーン」などの撮影助手をつとめる。1998年の1975年レバノン内戦を描いた『西ベイルート(原題:l'abri d'enfants)』で監督デビューし国際的な注目を集めるとともに、「アラブのタランティーノ」とのニックネームも。本作が第二作。なお『西ベイルート』は国内では2000年地中海映画祭で上映されると共に、シネフィル・イマジカでも放映された。本作の方は国内未公開。

 また、非常に魅力的なヒロインを演じたヴァイナ・ジョカンテは1981年、フランス・オルレアン生まれ。コルシカ島出身の父とアンダルシア出身の母から生まれる。またヴァイナという名前はマダガスカル語で「いらっしゃい」という意味。1996-98年、マルセイユ・オペラ座でエマニュエル・ベアールらと踊る。映画デビューは1995年『Marie, Baie des anges』。1998年以降コンスタントに映画に出演している(以上はWikipedia フランス版より http://fr.wikipedia.org/wiki/Vahina_Giocante)。

 なお、筆者が入手したDVDは英語字幕付きのイギリス盤。片面一層ながらもフランスマスターとおぼしき、シャープでクリアで解像度の高い画像は申し分ない。

原題『Lila dit ça』英題『Lila Says』監督:Ziad Doueiri (زياد دويري)
2004年 フランス=イギリス=イタリア映画

DVD(UK盤) 
発行・発売:Lion Gate UK 画面: PAL/16:9(1:1.78) 音声: Dolby5.1 仏語 本編: 86分
リージョン2 字幕: 英(On/Off可) 片面一層 発行年2007年9月 希望価格 £19.99


『L'Esquive』 映画評
http://yohnishi.at.webry.info/201008/article_4.html

シネフィル・イマジカ『西ベイルート』
http://cinefilimagica.com/movie/m9/009197.html

ジアド・ドゥエイリ監督インタビュー(Salon.com 英語, 1999)
http://www.salon.com/entertainment/movies/int/1999/09/09/ziad

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(1件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
レバノン映画『西ベイルート』
 『Lila dit &#231;a(リラは語る)』のジアド・ドウエイリ監督の長編デビュー作品。1975年のレバノン内戦の模様を西ベイルートに暮らす少年の目=生活者の視点から描いた作品。 ...続きを見る
yohnishi's blog (韓国語...
2011/05/27 07:37

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
URL(任意)
本 文
アラブ系青年とフランス人女性の奇妙なロマンスを描く『Lila dit ca (リラは語る)』 yohnishi's blog (韓国語 映画他)/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる