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zoom RSS チェ・ハウォン監督の代表作 『甕を作る老人』

<<   作成日時 : 2010/12/05 09:25   >>

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画像 1969年に封切りされた韓国映画。文芸映画監督として知られたチェ・ハウォン(崔夏園)監督の代表作として知られ、1970年度韓国演劇映画芸術賞・最優秀男優、女優賞、青龍映画賞・最優秀作品、監督、美術賞などを受賞した作品。

 朝鮮が日本の植民地支配より解放されしばらく経った頃、日本から軍事徴用より朝鮮に戻ったある青年が、山村にある甕窯を訪ねてきた。そこには窯を守る老夫婦がいた。その青年は自分の故郷を訪ねてきたというのだが、その老人にここで窯を守る事由を尋ねた。 その老人の話によると、実はこの窯は元々彼の師匠に当たる人が開いた窯だと言う。彼が語った話は...
 甕を作って数十年。甕作りに没頭するあまり結婚もせず一人窯を守ってきた60歳近くになるソン老人(ファン・ヘ)。彼はある日、近所の雪の中で気絶してる若い女性を発見した。ソン老人は彼女、オクス(ユン・ジョンヒ)を家に連れ、看病を続けた。息を吹き返したオクスはなぜそこにいたのか事情は話さなかったが、行く当てがないようだった。やがて命を救ってくれたソン老人に情を感じたオクスはそのまま老人の家に滞在し、やがてソン老人と結婚して、息子ダンソン(キム・ジョンフン)までできた。
 ダンソンが7歳になったある日、ソン老人の家に、弟子にしてほしいと、30代半ばぐらいの若い男が訪ねてきた。ソン老人は一旦は断るが、男がしつこく頼むので、ソン老人は結局快く受け入れる。若い良い弟子ができたと喜ぶソン老人の脇で、オクスは困惑の表情を浮かべていたが、その様子にソン老人は気がつかなかった。
 じつはその男、ソッキョン(ナムグン・ウォン)はかつてオクスの恋人だった。しかし、オクスの意思とは関係なく別の家に嫁に出されたオクスは、何年か我慢した後ついに我慢しきれずにその家から夜逃げしたのだった。オクスが逃げたことを知ったソッキョンは、彼女を追って全国を7年間放浪した挙句、ようやく彼女の足跡を探し当てたのだった。
 しばらくは何事もなく日々が過ぎていった。だがオクスの心は安らかでなかった。しかしある日、我慢できなくなったソッキョンは、オクスと二人で逃げようと説得にかかる。そしてある日...

 本作を監督したチェ・ハウォン監督は、1937年ソウル生まれ。本名はチェ・スンヨン(崔承容)。延禧大学(現在の延世大学)国文科卒。高等学校時代から映画に関心のあった彼は、大学時代は演劇活動に従事。だが彼の関心は狭い舞台より映画にあり、最初はシナリオ書きからはじめようと雑誌「シナリオ文芸」に応募し当選する。このとき、チェ・ハウォンのペンネームを始めて使う。しかし「シナリオ文芸」の経営が変わったためこのシナリオは日の目を見ない。しばらく「シナリオ文芸」の雑誌記者を経験し、同社と同じ建物に事務所を構えていた東亜映画社でイ・ソング監督やイ・ビョンイル監督と知り合い、彼らの弟子として映画界に入門する。
 そして1968年、朝鮮戦争後の傷跡を描いた『木は斜面に立つ』(原作は1960年に発表されたファン・スンウォンの小説)でデビューし、高い評価を受ける。そして1969年に発表した本作でも高い評価と興行的成功も収める。その後1980年代中盤まで、毎年1〜3作程度の映画を発表していくが、同時代のイム・グォンテクら同僚映画監督と比べて本数は少なかった。娯楽プログラム・ピクチャーの製作にはかかわらず文芸映画中心の活動で、全部で24作を発表した。彼の代表作としては、上記映画以外に1972年の『巫女図』、1979年の『30日間のピクニック』などがあげられる。
 彼の作品の特徴としては、人間の死を扱った作品(特に自殺)が多く(24作中19作。本作も例外ではない)、また宗教(特にカトリックの殉教)を扱った作品も目立つ。
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 『甕を作る老人』は、チェ・ハウォン監督が朝鮮戦争の傷跡を扱ったデビュー作監督後、やはり戦争やその後遺症を扱ったフランス映画『去年マリエンバードで』や『ヒロシマ、モナムール』などを見て、とてもこれらを超えられないと感じ、何かこれらとはまったく別の素材を扱えないかと悩んだ末、韓国的な題材として探し出したのが、やはりファン・スンウォンによる本作の原作小説。
 とにかく伝統的な韓国情緒を盛り込もうと、韓国の伝統的な様式を備えた伝統的草ぶきの家を、全国をロケして探しまくったということだが、すでにセマウル運動が始まって農村の近代化が始まり、結局一箇所だけで理想的なロケ場所を探すことができず、数箇所の無住となった村をロケ場所として合成してひとつの村を再現したということである。また、伝統的情緒を再現するために、映画音楽でもオーケストラと伝統的な国学楽器の合奏を実現するなど、かなり画期的な実験精神が発揮された作品であるようだ。またアクション俳優として知られたファン・ヘを老人役に起用したのも、常識破りの俳優の起用で、彼の芸域を広げるのに役立ったとか(以上の記述はDVD付属パンフレットより)。その結果観客動員数も当時としてはヒットの13万6600名あまり(KMDBのデータによる)。

 若い妻を迎えそして彼女に逃げられてしまう、主人公のソン老人の喜びとその後の絶望感、悲惨な境遇が切実過ぎて、見ていて身を切られるような痛々しさを感じる。監督もパンフレットの中で海外の映画祭に出品したところ、センチメンタリズム過ぎるとの評価を受けたと書いているが、おそらくその痛々しすぎる表現に対する評価なのだろう。ただそのような「センチメンタリズム」と評価された情感こそが、韓国の伝統的な情感なのであって、そこは海外の人々に理解してもらいたい点だと監督は述べているのだが... この情感はイム・グォンテクの『西便制(ソッピョンジェ)』の底流にあるものと共通するかもしれない。ともあれ心に強く訴えかけるもののある作品。ちなみに撮影は、『八月のクリスマス』なども手がけた名撮影監督、ユ・ヨンギル。そしてオクス役には最近イ・チャンドン監督の『詩』の主演にも起用されたユン・ジョンヒ。彼女の若かりし姿を見たい人はぜひ。

 本作は、国内ではフィルムが福岡市立総合図書館福岡市フィルムアーカイブに所蔵されている。

 韓国映像資料院から出されたDVDはデジタル・リストアされたもの。冒頭の1巻目はおそらく、不鮮明な部分を海外に存在するプリントから復元したらしく、部分的に焼きこみの英語字幕が入る。部分的にプリントがあまりよくない部分があるが、おおむね鮮明なカラーで復元されており、スクラッチノイズは一部を除いてほとんど取り除かれている。ただし、フィルム上のごみのようなものはなぜか取りきれておらず、部分的に目立つ部分がある。古いフィルムにしてはがんばってリストアされた方だといえるだろう。また、通常版と拡張版として封切り時にカットされた約6分を追加したバージョンでの視聴が可能。この仕様も親切で気が利いている。そしてもちろんいつもながら韓国語と英語の詳細な解説パンフレットが付属。なお、今回のディスクは残念ながら日本語字幕なし。とはいえ、いつもながら丁寧なつくりに頭が下がる。

原題『독 짓는 늙은이』 英題『The Old Potter』監督:최하원
1969年 韓国映画 カラー作品

DVD(韓国盤)情報
発行: 韓国映像資料院・Blue Kino 販売:Blue Kino 画面: NTSC/16:9(1:2.56) 音声: Dolby1 韓国語 本編:95分
リージョンALL 字幕: 韓/英 (On/Off可) 片面二層 2010年 9月発行 希望価格W15400

ユン・ジョンヒ最新主演作『詩』
http://yohnishi.at.webry.info/201011/article_8.html

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