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zoom RSS 女囚合唱団を描いた韓国映画『ハーモニー』

<<   作成日時 : 2010/09/11 00:01   >>

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画像 『デュエリスト』『海雲台』の助監督を務めていたカン・デギュ監督の長編デビュー作品。女性刑務所に服役する女囚たちが合唱団を結成するという音楽映画で、清州女子矯導所が舞台になっている。

 DVを受けていた夫を殺した罪で服役することになったチョンヘ(キム・ユンジン)は収監時に妊娠しており、収監後刑務所でひとり息子ミヌを出産した。彼女の同房には、夫と愛人を自動車で轢殺して死刑判決を受け、家族からも面会を拒否されている元音楽教師ムノク(ナ・ムニ)、元プロレス選手ヨンシル(パク・チュンミョン)らがいた。そこへ新入りとして入ってきた最も若いカン・ユミ(カン・イェウォン)。彼女は母親にも同房の誰とも心を開こうとしなかった。
 そこへ原州市立合唱団が慰問講演にやってくる。そこで合唱を聴いて非常に感動したチョンヘは、刑務所内に合唱団を作りたいと所長に直訴する。丁度、受刑囚の更正のため何か活動をさせたいと考えていた所長はチョンヘの望みを許可する。だが彼女自身は音痴で音楽のことは何も知らない。同房の受刑者から「お前は馬鹿か」と言われながらも、子育てをしながら、何とか人集めをしようとポスターを貼る。
 たまたま同房のムノクが音楽に造詣が深いことを知り、いやがる彼女を何とか指導者役に仕立てて、本格的に人を集め始めるがソプラノが足りない。たまたま仲間とトラブルを起こしてひとり懲罰房二入れられていたユミが、美しい声で歌っているのを聞き、説得して合唱団が発足する。だが、団員同士喧嘩をしたりトラブル続き。所長からは半年以内に成果を見せなければ解散だと最後通牒を突きつけられる。
 だが受刑囚に協力的なコン刑務官(イ・ダヒ)の協力も得ながら何とか団員をまとめ上げ6ヶ月後、見事に歌って見せ、合唱団の存続が認められる。その褒美として彼女に特別外泊が許されるが、同時にその日に、18ヶ月の養育期限が近づいた息子のミヌを養子に出すことが刑務所側から求められる。私の元にいてもろくに育たないと、気丈にそれを受け入れるチョンヘ。だが心の底では違っていたのだ。
 それから4年。刑務所の合唱団は実績が認められ、ソウルで開かれる全国合唱コンクールに出場が認められた上、その場で家族との面会も認められることになる。だがその一方で凶悪事件も相次ぎ、刑法犯への世間の視線が厳しくなる中、法務部では長らく執行が停止されていた死刑の執行再開の検討も始まる状況。その中での、所長の外部公演の参加許可の決断はかなり思い切ったものだった。
 公演当日、果たしてソウルにやってきた合唱団にトラブルが降りかかる...

 舞台となった清州女子矯導所(忠清北道)、ならびに合唱団は実在し、毎年外部公演を行っているそうである。ただし物語は全面的にフィクション。また実在の清州女子矯導所を、法務部の許可を得て一部実際にロケに使っている。なお、映画ではチョンヘは一般雑居房で育児をするが、実際は養育育児房が存在し、母親は他の囚人とは別の房に収容される(DVD音声コメンタリーより)。

 DVDのメーキング映像によれば、元々のシナリオではキム・ユンジンが演ずる主人公チョンヘは歌や音楽が得意なキャラクターに設定されていたが、キャスティングの際、彼女自身が音痴であるという事実が分って、チョンヘのキャラクター設定が、キム・ユンジンに合わせて大幅に書き換えられたという。そのせいか、チョンヘひとりが主人公の映画、というよりは囚人たち、そしてその家族たちを含めた群像劇という色彩が強い。それがむしろ好結果を産んでいるようだ。
 クライマックスやテーマも、チョンヘと息子の離別、合唱団の悪戦苦闘、ムノクの家族との和解、ユミの母との確執 etc...と盛りだくさんで、ちょっとした連続ドラマを短縮して一本の映画に仕上げたといった感のあるシナリオ。一見雑多、ごった煮に見えながらも、群像劇として上手くハーモニー良くまとめている。
 監督や出演者はあまりにも「新派(=お涙頂戴: 語源は日本語)」映画になっているのではないかと心配しているが、個人的には決して悪くない感動映画に仕上がっていると思う。
 なお、死刑囚のムノクが出てくるなど、映画のメッセージとして先日紹介した『執行者』と被る部分があるように思えるが、メーキングにおける監督インタビュー映像では、メッセージ映画を目指したのではなく、余韻のある作品にしたくてあのような設定を入れたと述べていた。

 いずれにせよ、ドラマ演出上一部実際の韓国の刑務行政と異なるフィクションが導入されている点は留意されたい。ただ過去韓国映画で表現された男子刑務所に比べ女子刑務所の方が明るく柔らかい印象に描かれている点は、実際の女子刑務所もあのような雰囲気なのだという。

 本作品は韓国で本(2010)年1月封切り。以後KOFIC統計では304万5千余りの韓国観客動員数を記録している。国内未公開だが、コリアン・シネマウィーク2010での上映が予定されている。なお、韓国盤DVDの画質は良好、安心してみられる。

原題『하모니』英題『Harmony』監督:강대규
2009年 韓国映画

DVD(韓国盤)情報
発行・販売:BEAR Entertainment 画面: NTSC/16:9(1:2.35) 音声: Dolby5.1 韓国語 本編: 115分
リージョン3 字幕: 韓/英(On/Off可) 片面二層(付加映像付き2枚組) 2010年 7月発行 希望価格W25300

『執行者』映画評
http://yohnishi.at.webry.info/201005/article_6.html
『海雲台 (公開邦題: TSUNAMI)』映画評
http://yohnishi.at.webry.info/201003/article_18.html

参考サイト
「オーマイニュース」清州女子矯導所を行く 2006.12.11.(韓国語)
http://www.ohmynews.com/NWS_Web/view/at_pg.aspx?CNTN_CD=A0000379286

コリアン・シネマウィーク2010 (韓国文化院サイト)
http://www.koreanculture.jp/info_news_view.php?number=1269

清州女子矯導所 (Wikipedia 韓国版)
http://ko.wikipedia.org/wiki/%EC%B2%AD%EC%A3%BC%EC%97%AC%EC%9E%90%EA%B5%90%EB%8F%84%EC%86%8C

付記:
本作品は2011年国内劇場公開予定 公式サイト▼
http://www.harmony-movie.com/


2011.4付記
2011.7 国内版DVD発売予定

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