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zoom RSS 長年のお蔵入りから奇跡的に発掘された、李晩煕監督作品 『休日』

<<   作成日時 : 2010/09/24 01:27   >>

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画像 本作品は、1968年に製作されたものの当局の検閲を通らずそのままお蔵入りになって忘れ去られていた。しかし、2005年韓国映像資料院の倉庫から偶然発見されその年の釜山国際映画祭、イ・マニ回顧展で再上映にこぎ着けたもの。本作品は日本未公開作品で、今回韓国映像資料院のDVD-BOXが発売されたことで初めて日本語字幕で見ることが出来るようになった貴重な作品。

以下、あらすじはDVD付属パンフレットより引用(翻訳は筆者)。
 ホウク(シン・ソンイル)とジヨン(チョン・ジヨン)は休日ごとにデートする恋人同士だ。ある日曜日、ホウクはジヨンに会いに行く途中、小鳥占いをした。占い師は、女に注意しろと忠告した。タクシーに乗ったホウクは、タクシー運転手と煙草屋の双方からそれぞれ金を取ろうと詐欺を働いて逃げた。工事現場の人夫に煙草をおごってやった彼は、コーヒー代がなく喫茶店前で待っていたジヨンに会った。
 二人は風吹きすさぶ公園を歩いていた。ホウクはジヨンに何も言わないと責めると、彼女は未来の結婚生活に対して話をする。妊娠6ヶ月目であるジヨンが中絶手術を受けると言い、二人はむせび泣く。
 ホウクはジヨンをベンチに残して金を借りに行く。彼は設計事務所の友人と酒場にいるオクマン(キム・ソンオク)を訪ねていくが金は借りられなかった。暇つぶしに入浴をしていたギュジェ(キム・スンチョル)の家から時計と金を失敬したホウクは再び公園へ急ぐ。ジヨンに食事をさせたホウクは一緒に産婦人科に行く。医者(ソン・ジョン)は妊娠状況が悪いと手術を勧める。
 公園をうろうろしていたホウクはカフェに入り酒を飲んでいたある女に出会う。彼女と酒場を転々としたホウクは工事現場で関係を持つが、教会の鐘の音で我に返って病院に走るのだが...

 DVDのオーディオコメンタリーによると、本作は1968年10-11月に掛けて撮影されその年の内に完成していたが、当時当局の検閲が非常に厳しい折、最後の場面でホウクが軍隊に行くように終らせよとの命令に対して、監督、プロデューサーが断ったためそのままお蔵入りとなり、イ・マニ監督早世後、彼のフィルモグラフィー上からも忘れ去られていたという。

 本作は、イ・マニの遺作となった『森浦へ行く道』や、フィルムは失われてしまったが、日本の斉藤耕一監督によってリメークされた『晩秋』(日本のリメーク作品は『約束』)でもおそらく見られたであろう、叙情性、メランコリズムが強く発揮された作品。
 本来は知識人であったろうが失業状態にあるホウクと、やはり貧しさから抜け出せずジヨンの出口のない閉塞感や刹那主義が広く映画全体を覆いつつも(おそらく軍事政権の独裁的な性格がますます強まる一方、漢江の奇跡直前の経済的に閉塞した状況を象徴している)、やや感傷的な音楽と巧みなカメラワークにより独特の叙情性が印象的な名作。モノクロながらも古くささは全く感じられない。

 なお、DVD付属パンフレットによると、当初のシナリオ(ペク・ギョルがシナリオを担当)ではホウクは死ぬことになっており、最初にホウクの死体が発見されるところから始まり、最後にホウクの死で締めくくられ、その循環的な構造が、出口の見えない韓国社会の閉塞感を象徴するというアイディアだったようだが検閲等を経て、撮影時には変更されたようである。

 当時の韓国を代表するシン・ソンイルもさることながら、ジヨンを演じたチョン・ジヨンのカゲロウのようなか弱さと透明感を兼ね備えた美しさが非常に印象的。ちなみにチョン・ジヨンに関してはDaum映画データベースを検索してみたが、出演作は本作のみのようでプロフィール等も分らなかった。

 わざわざ韓国映像資料院が日本の映画ファンに向けて日本語字幕付き仕様でDVDを発売してくれて大変有り難い。本DVDの収益は韓国古典映画の収集、保存、活用のための費用に充てられるということなので、是非購入してご覧になることをお薦めしたい。

 なお、DVDの画質に関しては、フィルム自体の多少のスクラッチノイズ、埃等は見られるものの古典映画としてはかなり良い水準。そして当然ながらアナモルフィック収録。また日本語字幕に関しては、残念ながらごくわずかなケアレスミスがあるもののかなり高い水準で安心して見られる。とにかく本DVDで初めて日本語字幕で見られる作品を含んでいる価値を考えても、お買い得のDVD-BOXであることは保証する。

原題『휴일』英題『Holiday』監督:이만희
1968年 韓国映画

DVD(韓国盤)情報
発行:Blue Kino 販売:トクスン・メディア画面: NTSC/16:9(1:2.35) 音声: Dolby1 韓国語 本編: 74分(本作)
リージョンALL 字幕: 韓/英/日(On/Off可) 片面二層(4枚組) 2010年 8月発行 希望価格W49500

イ・マニ コレクションDVD-BOX紹介
http://yohnishi.at.webry.info/201009/article_14.html

イ・マニ監督『森浦へ行く道』映画評
http://yohnishi.at.webry.info/201002/article_6.html

ソウル・セレクション イ・マニコレクション販売ページ(英語)
http://www.seoulselection.com/bookstore/index.php?page=shop.product_details&flypage=flypage.tpl&product_id=2969&category_id=2&option=com_virtuemart&Itemid=53

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デジタル修復された李晩煕監督フィルム・ノワール作品 『黒髪』
 前のブログ記事でも触れたが、韓国の毀損映画の代名詞となるほどフィルムの保存状態が悪いことで知られた作品。2009年釜山国際映画祭実行委員会の支援によりデジタル修復され、今回のDVD-BOXに収録された。内容は、ロマンス的な要素を含んだアクション・ノワール。イ・マニ(李晩煕)が撮ったプログラム・ピクチャーの中の代表作に数えられようか。 ...続きを見る
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