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zoom RSS 韓国国家人権委員会長編映画『飛べ、ペンギン』

<<   作成日時 : 2010/08/08 17:03   >>

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画像 『六つの視線(公開邦題、もしあなたなら)』以来複数監督によるオムニバスの人権広報映画を製作してきた韓国国家人権委員会。本作は初めて一人の監督に任せた長編映画で、監督は『六つの視線』のうち「彼女の重さ」を撮ったイム・スルレ。

 監督インタビューによると国家人権委員会製作映画中、最もたくさん観客が入ったのが最初の『六つの視線』でそれが3万人強だという。そこでもう少したくさんの人に見て貰えないかと言うことで、長編映画として企画したのが本作だったというが、韓国映画振興委員会の資料によれば結局観客数は1万9千あまりに留まったようだ。

 とはいえ、そこは『私たち生涯最高の瞬間』の監督、決してつまらない映画ではない。むしろ、何よりも韓国の日常の家庭生活や職場生活の一コマ一コマが、生々しく切り取られており、それだけでも興味深いが、その中に潜む、無意識の中での人権侵害が説得力を持って描かれている。
 距離を置いて撮ったようなショットは少なく、主として腰から上のショット、もしくはバストショットよりも近い絵作りが中心なのはテレビドラマ的な印象を与えるが、同時に、その人々の輪の中に入ったような感覚を伝えてくれる。まさに韓国の家庭の中、職場の中に一緒にいるような錯覚を与え、しかもその描写が非常にリアル。こういう状況があるだろうな... と説得力を持って思わせてくれる。

 全体は4つのエピソードに分けられる。
 最初のエピソードは息子の教育に狂奔する区役所社会福祉課職員ソン・ヘジョン(ムン・ソリ)。親の持つイメージをそのまま息子スンユンに押しつけるべく、子供をあちこちの塾に通わせ疲弊していく子の姿を通して、子供の主体性や人格が尊重されているかどうかを問いかける。
 二番目のエピソードは菜食主義者で酒が飲めない菜食主義者の、彼女の通う社会福祉課新入職員イ・ジュフン(チェ・ギュファン)の物語。他人と少し違う習慣を持ったり、他の人々と多少合わせることが出来ないことで職場から阻害され、いじめに近い状態になる人権侵害状況をそれとなく描く。
 三番目のエピソードは同じ社会福祉課のクォン課長(ソン・ビョンホ)。彼はキロギ・アッパーならぬペンギン・アッパーとして登場する。キロギ(雁)・アッパーとは子供の勉強のため妻子をアメリカなどに送って一人韓国であくせく働くお父さんのことだが、キロギ(雁)なら、まだ1年に1,2度アメリカに通うことが出来る。しかしお金がなくて韓国にいたままのお父さんは飛ぶことも出来ずペンギン・アッパーだというのである。
 そして離れて暮らしていることで夫婦、親子間の情も失っていながら、妻子が夫を単なる金づるとしてしか扱わない問題を扱っている。
 四番目のエピソードはそのクォン課長の父母の物語。伝統的な家父長主義者であるクォン課長の父(パク・イナン)は、妻をあごで使うような生活。妻が免許を取りたいと言っては馬鹿にし、妻が友達と旅行に行きたいと言っても反対するような人物。だがついに妻も堪忍袋の緒が切れる...

 ともかくクスクス笑わせられながらも、改めて身近な日常生活の一コマの中にある人権問題について考えさせられる好作品に仕上がっている。国家人権委員会の作品なので啓蒙を目的としているとはいえ、全く啓蒙くさくなく自然に見られるのも好感が持てる。

 本作品は国内ではシネマスコーレ、シネマコリアにより国内配給上映されているが、DVD、ビデオは出ていない。

原題『날아라 펭귄 』英題『Fly! Penguin』監督: 임순례
2009年 韓国映画

DVD(韓国盤)情報
発行・販売:EIN'S M&M 画面: NTSC/16:9(1:1.85) 音声: Dolby5.1/2 韓国語 
本編: 99分 リージョン3 字幕: 韓/英(On/Off可) 片面二層 2010年 6月発行 希望価格W16500

真! 韓国映画祭 作品紹介ページ
http://cinemakorea.org/rkcf/lineup.html

国内盤DVD 2011.4.8発売

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『南へ高飛びしろ』 - イム・スルレ監督の日本原作ポリティカル・コメディ
 非国民を自認する男の、リゾート開発との対決を描いた作品。実はこの作品原作は日本の小説、奥田英朗の「サウスバウンド」。脚色はイ・ゲボクとナ・ヒョン。撮影はチョ・ヨンギュ。ちなみにこの小説、日本でも森田芳光の手によって映画化されている(2007年)。 ...続きを見る
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2013/10/10 00:01

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