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zoom RSS 大衆プログラムピクチャーの王道を行く韓国大ヒット映画『義兄弟』

<<   作成日時 : 2010/07/05 17:09   >>

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画像 現在のところ今年度の韓国映画で最大のヒットとなっていると思われる『義兄弟』。作戦の失敗の責任を問われて国家情報員を首になった男と、北朝鮮の対南工作員でありながらも本国から見捨てられた男の、互いの腹を探り合いながらの協力関係を描く。

 2000年の金大中、金正日南北トップ会談の直前、ソウルの白昼で銃撃事件が起こる。この頃元北側の人間で国家情報院(国情院)の協力者となった人間が次々と無残に殺される事件が起こる。国情院はその犯人、コードネーム「影」を必死に追っていたところ、ターゲットに動きが... 当時作戦の担当だったイ・ハンギュ(ソン・ガンホ)は、信頼関係のなかった上司の許可を得ずに、自分のチームを動かして追跡に当たるが、被害者家族を救えなかったばかりか、スタッフにも死者を出したうえに犯人を取り逃がしてしまう。
 そして、緊張緩和の波に乗って国情院にリストラ計画が持ち上がると、事件の責任を問われてハンギュは真っ先に首になってしまう。
 その6年後、ハンギュはベトナムから嫁いできて逃亡したベトナム嫁を探し出して強制的に連れ戻す探偵社を運営していた。ところが仕事中にベトナム嫁の逃亡を手助けしていたベトナム人ブローカーに半殺しの目に遭わされかける。すると突然その場にベトナム語を操る韓国人が現れ、ハンギュを助けてくれる。その男ソン・ジウォン(カン・ドンウォン)にハンギュは見覚えがあった。6年前に現場にいた男だ!
 ハンギュは何食わぬ顔で、ジウォンに自分の会社で部下として働かないかと誘う。最初はためらうジウォンだったが、マンションを買う金が必要だと結局応じる。こうして元敵同士だった二人は、同居・協力関係に入る。ジウォンを犯人だと疑うハンギュは、彼の存在を国情院の元部下に知らせ、もしはっきりした証拠がつかめれば国情院復帰のネタにしようと監視を続ける。その一方ジウォンはジウォンで、やはりハンギュの行動を密かに探り、彼の動向をインターネットを通してどこかに報告する。
 その一方ジウォンは、ハンギュが無理矢理ベトナム嫁を力尽くで取り戻そうとするのに対し、そう言った非人間的な扱いをすることに反対し、嫁を説得してソフトに帰宅を促そうとするのだった。
 やがてお互いがお互いを探っている内に、ジウォンはハンギュが国情院を首になったこと、妻子と離婚し、妻子は英国に去ってしまったことなどを知る。ハンギュはハンギュで、ジウォンがはやり妻子を北に残しながらも、北に戻るに戻れない状態にあることを知り、互いに情がわいてくる。
 そんなある日...

 『シュリ』、『JSA』以来、韓国映画で度々描かれる南−北分断をテーマに描かれる娯楽ブロックバスター映画の一作で、監督は『映画は映画だ』のチャン・フン。
 映画は痛快なテンポで冒頭から一気にラストまで見せる映像の力があり、時に手持ち撮影なども駆使して効果的に観客を引きつける。娯楽性という点では、先行する『シュリ』やアメリカの娯楽アクション映画に匹敵する水準で、韓国で大ヒットしたのも十分に頷ける。その一方でテーマ性という点では疑問が残る。南北対立を一応背景としているものの、実は必ずしも本作品においては南北対立を背景にする必然性は感じられない。南北分断の悲劇が語られる訳でも、その歴史的意味が問われる訳でもない。ジウォンのバックについているのが北朝鮮ではなく、例えばヤクザやマフィアであっても完全に成立する話である(マフィアが警察に内通した裏切り者を殺していく... というような)。そう考えると、ドラマ的には『インファイナル・アフェアー』に韓国式義理人情+アメリカ式ポジティブシンキングソースを掛けて成立した作品と言うことができるだろう。南北関係は完全にダシにされているだけである。
 確かにここのところ韓国の対北姿勢が揺れている。融和の方向だったものが一転して対立の方向に、さらにここへ来て対立の激化の方向に対して国民感情がブレーキをかけ始めているという状況の中で、南北関係のあり方に何らかの問題提起を投げかけるような作品を製作すると、その姿勢を支持しない勢力から反感を買ってしまう... それで毒にも薬にもならない設定にしたのであろうが、だったらそもそも南北関係をバックグラウンドにしなくても良いのでは... と思ってしまう。

 チャン・フンの作風も『映画は映画だ』ではキム・ギドクがプロデュースしていたせいか、毒気を含んでいたが、本作品ではすっかりあくが抜けた感じでホワイトアスパラガスのよう。本来こちらの方が彼の持ち味なのかもしれない1)。映画の緊張感自体も『インファイナル・アフェアー』には及ばないので、韓国式義理人情+アメリカ式ポジティブシンキングテイストが気に入るかどうかが評価の分岐点になるかと思う。

 ともかく、アメリカ娯楽アクション映画的カタルシスのみ求める人には、本作品は十分楽しめると思うし、お薦めできる。しかし、南北関係から来るテーマ性を映画に求める人には不満の残る作品であろう。
 日本では公開権をSPOが購入したようだ2)。韓流ブームを支えるコア層から十分な支持が得られるかどうかは分らないが、日本でもマーケッティング次第では、韓流層を超えてそこそこヒットする作品であると思われる。

1)付加映像のインタビューで、監督はああいうエンディングが自分の好みに合っていると語っている。

2)http://contents.innolife.net/news/list.php?ac_id=6&ai_id=114681


原題『의형제』英題『Blood Brothers』監督:장훈
2010年 韓国映画

DVD(韓国盤)情報
発行・販売:KD Media 画面: NTSC/16:9(1:2.35) 音声: Dolby5.1 韓国語 
本編: 136分 リージョン3 字幕: 韓/英 片面二層(2枚組) 2010年 6月発行 希望価格W23100
※イ・ミョンセ監督の『M』とのセットのお買い得カン・ドンウォンセットあり。

追記
『義兄弟』日本公式サイト
http://gikyodai.com/

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『高地戦』 - 「帰らざる海兵」への21世紀版答状 [韓国映画]
 2011年韓国で朝鮮戦争をテーマにヒットした作品。本年8月14日現在で2,809,089人の観客動員を記録している1)。監督は『義兄弟』のチャン・フン、脚本は『JSA』のパク・サンヨンとくれば期待がもたれるのも当然であろう。 ...続きを見る
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『赤い家族 (レッド・ファミリー)』 - まもなく公開 北朝鮮スパイ偽装家族を題材にした韓国映画
 キム・ギドクフィルムで製作された北朝鮮スパイ一家を描いた作品。監督はイ・ジュヒョンで長編劇映画デビュー作。脚本はキム・ギドク自身。基本的には、やはりキム・ギドクフィルムで製作された『豊山犬』の延長上にある作品で、映画の中でも『豊山犬』の場面の引用が見られる。 ...続きを見る
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2014/09/08 08:17

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