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zoom RSS 朝鮮戦争60周年を期に、パク・サンホ監督『非武装地帯』DVD化

<<   作成日時 : 2010/07/02 00:01   >>

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画像 本年6月25日に朝鮮戦争勃発60周年を迎えた。朝鮮戦争は韓国では「韓国戦争」もしくは「625(ユギオ)戦争」と言われている。これを記念して韓国映像資料院からパク・サンホ監督の映画『非武装地帯』(1965年)がDVD化された。本作品は第13回アジア太平洋映画祭グランプリを受賞している。

 1953年、朝鮮戦争休戦が実現したその夏、韓国=北朝鮮の軍事境界線付近を親とはぐれた小学生程の子供が、親の姿を求めて彷徨っていた。ヨンアという少女は川にはまっておぼれかけているところを、たまたま通りかかった少年に助けられる。偶然にも少年の、母と共にはぐれた妹もヨンアという名前だという。それ以来二人は、兄ちゃん、ヨンアと呼びながら行動を共にして、米軍の保存用食料や野生化したジャガイモ、スイカなどを拾って食べながら親を捜して南側へと彷徨を始める。
 少年は北朝鮮軍の破れた軍服となぜかMPのヘルメット、それに拳銃まで持っている。二人は互いにはぐれたりけんかしたりしながら南を目指す。しかしある日、たまたま北朝鮮人民軍ゲリラの男に出会い、北に連れて行かれそうになる。少年は故障していると思った拳銃の引き金を引くと銃弾が男の方を貫く。怒った男はナイフで少年を刺したのだった...

 イタリアのネオ・リアリズモ映画を彷彿とさせる、リアリティあふれる非武装地帯描写は、セットを一切使用せず、国連軍の協力を得ながらすべて、実際の非武装地帯にて撮影されたもの。そして子供たちが非武装地帯で繰り広げる遊びには、南北で土地を奪い合うばかばかしさや離散家族の悲劇などが象徴的に込められている。叙情性高い映画表現の中に、声高にメッセージを叫ぶことなく、戦争の悲劇を象徴的に伝える格調高い作品。第13回アジア太平洋映画祭最優秀も十分納得の出来。
 監督が実際の現地ロケにこだわったのは、DVD付属映像によると、やはり一般民間人に一切知らされることがないにも拘わらず、海外の映画人からは強く関心を持たれ、度々どうなっているのか尋ねられる非武装地帯の実態を、韓国の一般の人たちに知らせたいということが、本作製作の大きな動機の一つになっているためだそうである。そのため、当時戦争映画=反共映画であって、如何に南が立派で北がダメかという表現に腐心するあまり、単純化され稚拙な表現があふれていた作品群とは一線を画した、セミドキュメンタリータッチの作品作りを目指したということである。
 しかし、本作品は海外での高い評価とは裏腹に国内では興行的には惨憺たる結果であったようである。リアリズムあふれる作りが、戦争のことを思い出したくない人々の拒否反応にあってしまったとのことである。

 なお、本DVDに収録されているのは当時アジア太平洋映画祭出品用に6巻に編集し直された短縮バージョン。2004年11月に韓国政策放送院KTVにて発見され収集されたベータ-SPテープが元になっている。本来国内劇場では12巻90分のロングバージョンで上映されたが、現在では失われてしまったようである。但し、付属パンフレットによれば、短縮バージョンは必ずしも監督の意図を反映せずして作られた訳ではないという。、ロングバージョンは一般観客を意識して、職業俳優を起用し説明的作劇部分を挿入したもの。それに対しショートバージョンはそのような部分を極力カットし、セミドキュメンタリー的色彩を強めたものであり、いわばプロ向けのアート志向のバージョンだったようだ。板門店での南北会談場面などかなり唐突な感じで挿入されるのもそのためのようだ。
 なお、本作品は、当時ワールドセールス権を、シン・サンオク監督率いる申フィルムに譲渡したことで、ネガフィルムは申フィルム香港支社で保管された。ところがシン・サンオク監督の越北騒動でネガフィルムは紛失。ただし、2002年、本作品短縮版のマスターポジフィルムが国家記録院に保管されていることが分る。しかし国家記録院はマスターフィルムの貸出を一切拒否。このため本DVDは上記ベータテープを元に起こされるようになったとのこと。

 本映画を監督したパク・サンホ監督は1931年、仁川生まれ。慶熙大学商科中退。子供のころから映画作りに携わりたいと強い願いを持ち続けていたパク・サンホ監督は、映画を作りたいならまず演劇を勉強しろとのアドバイスを受け、解放後〜1950年代前半まで演劇俳優、演出などのキャリアを積む。1954年シン・サンオク監督の映画『コリア』の現場で初めて映画作りの現場に携わり、その後シン・サンオク監督下で演出の勉強を続ける。この現場でのちにずっとパートナーを組む撮影のカン・ボムグとプロデューサーのチョン・ギョンファに出会う。
 そして1956年『海情』で監督デビューを果たすが、これは今日で言うインディベンデント映画の走りだった。結局映画社の下で映画作りをすると、上部からいろいろと介入が入ってきて思うような映画作りが出来ず、思うような映画作りのために既存の映画システムを飛び出して製作したという。資金面では難航し撮影中断も経験したが、幸い興行的には好評で、映画作りを続けることが出来た。
 ただ、彼の作風は時流や流行には乗らない独特な姿勢を貫いたため、時には大ヒットするものもあったが、興行的には芳しくない作品も多かった。本作もその一つである。結局1971年の『藁靴履いて来たね』の興業失敗を契機に、20余本を製作して来た商業映画の世界から足を洗い、1973年世宗文化公社を設立して代表理事に就任して、文化映画の世界に転身、その後26本の文化映画を撮影した。
 上記経歴はDVD付属パンフレットの記載を元に記述。

 DVDに関しては、本編の他に韓国映像資料院で製作したパク・サンホ監督自身のインタビューを含む監督の業績紹介の資料ビデオが収録されている。本編の画質は、やはりオリジナルフィルムからマスターを起こし直した訳ではないのでくっきり鮮明という訳にはいかないが、フィルムの傷や不鮮明な部分がある訳ではなく、通常のTVで見るには十分な画質。なお焼き込みの英語字幕が部分的に見られる。付属の資料映像にも英語字幕がついている点が親切。


原題『非武装地帯』英題『The DMZ』監督:
1965年 韓国映画

DVD(韓国盤)情報
発行:韓国映像資料院 販売:Blue Kino 画面: NTSC/16:9(1:2.35) 音声: Dolby1 韓国語 
本編: 62分 リージョンALL 字幕: 韓/英(On/Off可) 片面一層 2010年 5月発行 希望価格W15400

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