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zoom RSS 日韓の狭間で苦しむ在日韓国人の苦悩を描く今井正監督『あれが港の灯だ』

<<   作成日時 : 2010/07/20 23:40   >>

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日韓の狭間で苦しむ在日韓国人の苦悩を描く今井正監督『あれが港の灯だ』

 1961年、まだ日韓国交回復前の段階で日本と韓国との狭間で苦しむ在日韓国人の胸中を描いた希有な映画。監督は戦後民主映画の機種として活躍した今井正。脚本は2003年92歳で亡くなった名脚本家水木洋子。

あらすじにかんしてはこちらを参照
Goo映画 http://movie.goo.ne.jp/movies/PMVWKPD20080/

 とにかく、韓国・朝鮮人の帰国運動が盛んだったり、あるいは日本社会の中でも朝鮮人排斥の傾向が強い当時、李ラインの問題と絡めて、日本と韓国との間で引き裂かれるアイデンティティ・クライシスを取り上げた原作・脚本の水木洋子の先見の明に脱帽。当時韓国・朝鮮人を描くとすると、おそらく、日本側のステレオタイプとしては怪しい「第三国人」として描くか、逆に朝鮮人側からすれば、朝鮮人としてのアイデンティティ、志を高く持って祖国再建のため協力しよう... というあたりがステレオタイプ的な描き方だったのではないかと思う。
 それに対し、日本社会の中でアイデンティティを隠して生きなければならない苦痛、否定しきれない日本への愛着、そして日本社会で一旦自分の国籍を明かすと、一見受け入れてくれるようで、いざとなると朝鮮人への不信感をむき出しにする日本社会のありよう、そして「祖国」側からは「パンジョッパリ(半日本人)」とののしられる現状。いずれも、在日韓国・朝鮮人社会への理解が薄かった当時、水木洋子がここまで脚本に描き込めるには相当綿密な取材と、相手への理解力・共感力がなければ出来なかった仕事だ。
 そして日本人の仲間の救うために、自分の命を危険にさらしても、それは評価されず結局「あいつは韓国人だからな」で終ってしまう日本人社会からの反応。さらに、北朝鮮帰国運動高揚のさなか、一旦は「祖国」への帰国を決意する主人公が、最終的に「祖国」と日本の狭間の中で誰からも理解されずに犬死にしてしまう様など、ひょっとすると水木洋子は「帰国運動」の結末をあの当時既に予見していたのではないかと思わせる凄みがある。

 韓国人役は殆ど日本人がやっているので(因みに主人公[江原真二郎]と格闘する韓国軍兵士役は木村功、朝鮮人売春婦は岸田今日子)、「パルチャ(運命)」が「パルチ」になったりなど言葉上は難ありだが、へたすれば映画やTVで「ハナモゲラ」外国語が通用していた当時としては頑張った方だろう。

 とにかく当時としての取材力のすごさに脱帽せざるを得ない映画。在日の呉徳洙監督が先日のシンポジウム「映画で語る韓日関係の深層」の中で高く評価していたのも納得。また映画に出てくる女の子が可愛いのも良い。

原題『あれが港の灯だ』監督:今井正
1961年 日本映画

朝鮮映画『愛と誓い』映画評
http://yohnishi.at.webry.info/201006/article_11.html




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