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zoom RSS 破綻している読売新聞の所得増税反対論

<<   作成日時 : 2010/06/29 23:42   >>

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 読売新聞ははっきり所得増税反対(→消費税増税賛成)の立場に立っている。6月29日の一面の記事では、菅首相が演説で、カルロス・ゴーンを例に挙げて、このような人にはしっかり税金を払って貰いたい、と述べたことを取り上げて、所得税最高税率引き上げ論は大衆迎合だと断じている。
 
 さらに、同日の経済面で中央大大学院の森信茂樹教授に、なぜ所得税最高税率引き上げではダメなのかを解説させている。守信氏の主張によるとその大きな理由は1.先進国の哲学である、2.金持ちの資産が海外に流出する、3.金持ちの資産が、ワンルームマンション投資を中心とする節税策に流れる、の3つをあげ、税率を上げても効果的な税収増はもたらさないとし、所得再配分のための増税は所得控除の見直しで増税を図る方が効果的と主張させている。

 だがこれらの主張には以下の様な反論が可能だ。
1.所得税を上げないことは先進国の哲学だ、という主張は、所得税最高税率を上げるなというのは合理性の問題ではなく、価値観・信念の問題だ、ということだ。逆に言えば、そういう価値観には反対だと言えばお終いの話である。
 さらに欧米にはキリスト教文化に基づく寄付の文化が根付いており、一般に金持ちは例え税金の税率が高くなくてもかなりの部分を教会やNPO,NGOに寄付することが通例であり、これらの団体が非営利公共サービスの一部を担っているため、政府の役割を小さくしても直ちに公共サービスがその分小さくなるとは限らない。
 しかし、日本の場合寄付文化が根付いていないため、政府を小さくすることは直ちに公共サービスの縮小に直結する。従ってキリスト教文化に基づく欧米先進国と日本を同一視することはできない。欧米の金持ちでも、多くの場合、その収入の大半を自分のためだけに使っている訳ではない。

2.確かに所得増税をすれば、金持ちの資産が海外流出する可能性は高い。しかしだからといってすべての資産が流出する訳でもなく、流出する可能性があるからと言って全く所得増税をしないことが正しいとは思われない。
 とくに資産といったものは数学で言うジフ分布にあることが知られている1)。つまりごく少数の者がその大半を持つという状況にある。この持てる少数の者に対する最高税率が、80年代中頃には70%以上であったものを、小泉政権時までに30%台に引き下げたことにより、財政は構造的に大幅かつ慢性的な赤字体質に陥ってしまったのである。

3.所得税の最高税率の引き上げにより、ワンルームマンション投資が活況を呈するとすれば、それこそ願ったり叶ったりの政策ではないか。つまり増税をした上に、一銭も税金を使うことなく、建設業界が潤い、公共投資と同様の効果が上がるという一石二鳥のまさに打ち出の小槌の様な妙策である。そうだとすればそれこそ日本の景気回復のため一刻も早く所得税最高税率の引き上げを実施すべきである。

 さらに森信教授は所得再分配のため、より効果的な税収の見込める所得控除の見直しをと訴えているが、これは逆に言えば、所得再分配のために所得税増税が必要だと認めているのである。

 このように考えると、読売新聞の所得税増税、最高税率の引き上げは単なる大衆迎合との主張は、完全に破綻していると言える。

 また、現在配当などで収益を上げられる人は、経済成長が望めない中、多くの場合価値創造によって収益を上げているのではなく、結局他人の賃金を減らしたり、首切りをすることで、つまり他人の犠牲において収益を上げているのである。そのように考えれば、高収入者に高い税率を課すことは、決して合理性を欠くことではないと考える。

1) ジフ分布については例えば日置弘一郎(1998)『「出世」のメカニズム - <ジフ構造>で読む競争社会』. 講談社 を参照

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