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zoom RSS 日本人意識を撃つ、大島渚の映画作品『帰って来たヨッパライ』

<<   作成日時 : 2010/06/27 00:46   >>

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画像 フォーク・クルセイダーズによるヒット曲『帰って来たヨッパライ』をフィーチャーした1968年の、大島渚監督による、スラップティックというかシュールレアル・コメディ映画。題材はお気楽な歌詞とは対照的に日本人の在日朝鮮人への意識を問い糾すものとなっている。

あらすじは以下を参照
Goo映画 http://movie.goo.ne.jp/movies/PMVWKPD22397/

 本作品を一言で要約すれば、お気楽な大学生三人組が、密航してきた朝鮮(韓国)人によって服を取り替えられてしまう(そして朝鮮人として疑われ追われる身になる)という設定を通し、多くの日本人が持つ、自分は紛れもない日本人、チョーセンジン(外国人)のことなんか知ったこっちゃないよ、という自らの疑いを持たないアイデンティティに安住しつつ、簡単に外国人排除に向かってしまう意識に対し、嫌悪感を表明しつつ糾弾する作品。何の恥じらいもなく「嫌韓論」が大手を振ってまかり通る現代こそ見られて欲しい作品である。

 「嫌韓」を表明する個人のブログのなかには、遺伝子をすれば朝鮮人と日本人は異なるなどと書いているものも多いが、元々縄文人がいた日本列島に朝鮮半島経由で弥生人が入ってきたであろうこと、その後も例えば飛鳥時代を中心に、百済からの大量の亡命人の流入など、朝鮮から多くの渡来人が来たことを考えあわせれば、朝鮮人と日本人との間の遺伝子的な差異がそう大きいと考えるのは無理がある1)。そもそも平均的な日本人と朝鮮人との遺伝子的な差より、むしろ日本国内の地域的な差の方が大きいと考えるのが自然である。そもそも朝鮮人と日本人の間で遺伝子レベルから違う、などと表明する意識自体が、大島渚が糾弾しようとする「日本人意識」なのだ。
 大島が言いたいのは、例え自分をいくら「立派な」日本人だと思っていたとしても、「日本人」のアイデンティティなんぞ、韓国軍軍服を着ていただけで容易に朝鮮人と間違えられる程度の大したアイデンティティじゃないだろ、ということなのだ。だからそこ映画の中盤で、町の雑踏の中で人々に「あなたは何人ですか」と問いかけて「朝鮮人です」と答えさせているのである。所詮外見でも見分けがつかない程度の、間違って服を着ていれば、間違ってアイデンティファイされる程度のアイデンティティでもって、相手を朝鮮人だからという理由で、一切コミュニケーションも、同じ人間としてみることも停止し、排除しようという資格があるのかい、と問うているのである。

 大島の40年前の問題提起が、未だ現代社会においても全く古びていない点が、現代日本の情けない点である。

 ところで、昨年自死した加藤和彦も北山修も端田宣彦(はしだのりひこ)も若い。それとチュー・ノッポを演じた若き北山修を見て、一瞬、『ガキ帝国』などに出ていて早世した在日朝鮮人の名優、趙方豪かと思ってしまった。とはいえ趙方豪はこの当時中学生ぐらいだったはず。それほどそっくりである。北山修も趙方豪も京都の大学の出身なので、あるいはあれは京都が作った顔なのか(生まれは北山は兵庫、趙は大阪)?そう言う意味でも日本人と朝鮮人の差とは何なのか、と思わされる。

 ところで本作をDVDで見る場合、もし海外のリージョンを再生できるDVDプレイヤーをお持ちなら、松竹盤ではなく是非画質のすばらしいクライテリオン盤でご覧になることをおすすめする。42年前の映画が鮮明な画像で甦るので。

1)例えば平成16年版内閣府少子化白書 (http://www8.cao.go.jp/shoushi/whitepaper/w-2004/html-h/html/g1110030.html)では、奈良時代の日本全体の人口を450万としているだとすれば飛鳥時代なら300-400万人程度であろう。そこへ数十万人規模の朝鮮半島からの亡命者が入ったとすれば、今日で言えば数百万〜一千万程度の亡命者が来たのと同様のインパクトがあったということだ。


原題『帰って来たヨッパライ』英題『Three Resurrected Drunkards』監督:大島渚
1968年 日本映画

DVD(US盤)情報
Criterion Eclipse Series 21 "Oshima's Outlaw Sixties"
発行・発売:The Criterion Collection 画面: NTSC/16:9(1:2.35) 音声: Dolby2 日本語
本編: 80分 リージョン1 字幕: 英 (On/Off可) 片面一層(5枚組) 発行年2010年5月 希望価格 $69.95

Criterion Eclipse Series 21 "Oshima's Outlaw Sixties"紹介
http://yohnishi.at.webry.info/201006/article_9.html




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大島渚監督死去
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