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zoom RSS アメリカで自分を見失う母娘を描いた『彷徨の日々』

<<   作成日時 : 2010/03/30 07:52   >>

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画像 韓国本土よりも海外での評価が高いキム・ソヨン監督の作品。以前紹介した『楽しい人生』(イ・ジュニク監督)では、子供の勉強のため妻子を海外にやり、一人韓国に残る父親「キロギ・アッパ」が出てきていたが、本作では、その海外に渡った妻子の側を描く。

 アメリカ、おそらく東海岸北部の冬。10代の韓国人女性エイミー(キム・ジソン)は母親(キム・ボクジャ)と共に英語を学ぶためにアメリカでの「移民地獄」に住んでいる。母親はエイミーの足りない教育費を稼ぐため朝早くから夜遅くまで仕事をしているが、エイミーは英語の勉強にちっとも身が入らず、授業を聴きながらノートにはいたずら書きばかり書いている。夜、自宅の自分の部屋にいると、娘が勉強しているかチェックしに来る母親に、慌てていたずら書きだらけのノートを閉じて、勉強しているふりをするエイミー。
 そんな中、同じ語学学校に通う韓国人の青年トラン(テグ・アンディ・カン)に出逢う。最初は勉強に関心がなく、碌に出来ないエイミーの宿題を手助けしてくれる存在に過ぎなかったが、トランがガールフレンドと別れたと聞いて、それは自分のせいだと思ってしまうエイミー。段々自分の中でトランの存在が大きくなってきたエイミーは、彼とあちらこちらデートしたり、パーティーに連れて行って貰ったりする関係に。
 やがてトランから何の気なしに、クッキーを貰った彼女は、それがトランの愛の告白だと錯覚して、彼に高価な銀のブレスレットをプレゼントしたいと思う。母親にそのためのお小遣いをねだるが、母からは「余裕がないの分かっているでしょう」との一言だけ。結局、語学学校を中退して、払い戻しを受けた授業料でブレスレットを買ってしまうのだった。
 それからは、朝、学校に行くふりをしてトランとファストフード店でだべったり、遊びに行ったりする日々が続く。だが、母親はそんなエイミーの変化に全く気付かないし、最近では勉強チェックもせず、「エイミーが熱心に勉強してくれて嬉しいわ」などと言う始末。それもその筈、母親にはこの地に新しい恋人が出来ていたのだった。そして、挙げ句の果てに彼と結婚したいんだけどどう思うと問いかける母親に、「私には父さんがいる」と一言答えるエイミー。「父さんは別れたじゃない」と言う母親に、「それって私のせい?」と問いただすエイミー。
 やがてトランの様子がおかしいのにエイミーは気付く。自分の知らない女の子と英語でなにやら親しげに話したり、何日も電話で連絡が付かないことも...
 そうして、見知らぬ土地にやってきた韓国人の母子の魂は、当初の目標を見失ってどんどん彷徨っていくのだった...

 クローズアップを多用しながら、ミニマリスティックな視点で心の変化を丁寧に追っていく作品。緩やかに変化していく日常と心を淡々とした筆致で描いていく。従って映画にドラマチックなものを期待する人には向かないだろう。しかし、ずるずると目標を見失い、どんどん流れ、流されていってしまう人間の心理を非常にリアルかつ生々しく、しかも冷徹に描き出す力は非常に大きい。

 しかし、韓国のキロギアッパたち、妻子が海外に行った挙げ句、妻には浮気され、子供は海外で目標を見失いでは、韓国でせっせと働いて必死に送金している努力がつくづく報われない。

 キム・ソヨン監督は釜山出身。12歳の時ロサンジェルスへ移住し、シカゴ芸術大学修士。ビデオアーティストとしてアメリカ、ヨーロッパ、日本などでビデオ・インスタレーション展示会などを開く。本作が長編映画デビュー作。本作はLA批評家協会賞、独立映画賞を受賞。さらに2008年『木のない山』を製作。

なお、本作は日本未公開。

原題『In Between Days』 韓国語題『방황의 날들』 監督:김소영
2006年 アメリカ映画

DVD(韓国盤)情報
発行・販売:SY Comad 画面: NTSC/16:9(1:1.85) 音声: Dolby2 韓国語 本編: 81分 リージョンALL
字幕: 英(ハードサブ)/韓(On/Off可) 片面一層 2010 年 1月発行 希望価格W17600
※韓国盤以外に米国盤あり (下参照)




『楽しい人生』映画評
http://yohnishi.at.webry.info/200810/article_9.html

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母親に捨てられた子供の痛みが伝わってくる映画 『木のない山』
 キム・ソヨン監督の長編第2作。本作の方は昨年東京フィルメックスで国内上映され、審査員特別賞を受賞している。母親に捨てられた二人の子供の心の漂流を描く。 ...続きを見る
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2010/04/29 00:08

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