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zoom RSS 心情描写に傾倒した異色の韓国ラブストーリー映画『愛を逃す』

<<   作成日時 : 2010/02/04 11:27   >>

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画像 2005年制作の韓国のラブストーリー映画。韓国映画らしくなく静かで微妙な心情描写に重点の置かれた作品(日本映画では珍しくないが)。主演のソル・ギョングとソン・ユナのコンビは『光復節特赦(邦題:ジェイル・ブレーカー)』でも共演のコンビだが、雰囲気は全く対照的。ソン・ユナの魅力再発見映画とでも言えようか。それに映画さながら実際にソル・ギョングとソン・ユナが結婚したことも話題になった。

 1994年、大学漕艇部員だったウジェは恋人に一方的に振られてしまう。失恋の痛みを酒でまぎらわそうとしても叶わず、結局休学して軍隊に入隊する。そんなウジェの姿を横で見守る女性ヨンス。ある日彼女は思いきって軍隊にウジェに面会に行く。ウジェと一晩共に過ごしたい、そんなヨンスの片思いに、振られた恋人のことを引きずっていたウジェは全く気付かずに彼女をそのままバスターミナルに見送ってしまう。
 それから10年、社会人漕艇部選手として活躍していたウジェは会社の業績不振でリストラに遭い、高校の漕艇部コーチに転職する。そこで他校の生徒と喧嘩沙汰を起こした部員を警察に引き取りに行き、偶然ヨンスと再会する。ヨンスは獣医師になり、その町で動物病院を開いていたのだ。ヨンスが一時帰郷のため、ウジェに病院の留守番を頼んだことを契機に、ウジェとヨンスの間に友達以上恋人未満のつきあいが生まれる。
 そして、ウジェがヨンスとともにヨンスの故郷に遊びに行った帰り、ヨンスの病院のある住まいで二人は勢いで結ばれる。しかしその翌朝、ヨンスが朝ご飯の支度をしている最中、ウジェは煙草を買いに行って来ると行ったまま、ヨンスの家を出てしまう。ヨンスがウジェの態度におかしいものを感じて、その晩、ウジェの下宿の前で彼の帰りを待っていると、ウジェは「ごめん」の一言でそのままヨンスを帰してしまうのだった...

 本作品は2005年、まだシネマサービスのブランドが韓国の良質映画を保証するブランドとしてまだ有効だった頃の作品。考えてみると、韓国映画の凋落は、シネマサービスブランドの凋落と重なるところがある。
 本作品の特徴は、あまり韓国映画らしくなく、ストーリーのダイナミズムよりも主人公たちの静かな心理描写に重点が置かれた点である。その意味では韓国人よりも日本人好みの作品に仕上がっていると言うことが出来るだろう。自分の気持ちへの迷いや、相手を思いながらもなかなか自分の気持ちを正直に吐露できない心情などは多くの日本人の共感を得られそうだ。また映像の雰囲気や音楽のセンスも良く、好感度は高い。冒頭のボートを漕ぐ映像も美しい。

 ただ、残念なのはストーリー上、ウジェが漕艇部である必然性があまり感じられない。従って、ボートを映した美しい映像もストーリー上うまく生かされているとは言えず、とってつけたような印象をぬぐえない。これは推測だが、韓国にも紹介された日本映画『がんばっていきまっしょい』の影響があるのではないだろうか。
 ウジェのヨンスに対する仕打ちも、たしかに20歳前後の男子学生だとすれば、ああいう迷いや行動は十分理解できるものの、しかし、やはり30を越えた男が、女性にあんな恥をかかせてはいけないし、その程度の分別は持つべきだよな、というのが個人的な感想。因みに韓国人観客からの感想の多くは、男性/ウジェの姿はリアルであるが(これは監督の自伝的映画か、という質問も)、女性/ヨンスの姿は男性から見た女性への幻想、ファンタジーではないのかというものであったとか1)。

 ともあれ、ソン・ユナ演じるヨンスがとても可愛らしく、ソン・ユナの魅力再発見映画と言えることは間違いない。そういえばソン・ユナ、竹下景子の若い頃に雰囲気が似ているような...

 監督のチュ・チャンミンは1966年生まれ。大邱大学卒。1998年『殺す話』『太陽はない』で助監督、1999年『幸福な葬儀社』で助監督・脚本を経て、2000年短編映画『4月の末』で監督デビューし国際的な注目を集める。この作品はやはり微妙な心理描写が特色だったようだ。2005年の長編デビュー作『麻婆島』が300万観客を動員する大ヒット。本作が長編第2作。現在は2009年イ・スンジェ主演で撮影した『彼女を愛しています』が公開待機中2)。

 本作品は、福岡アジア映画祭2006で国内上映された。

1)DVD付加映像の監督インタビューより。またシネ21のネティズンの感想にも同様なものが多かった。

2)以上はDaum映画DBより
http://movie.daum.net/movieperson/Biography.do?personId=39703

原題『사랑을 놓치다』英題『Lost in Love』監督:추창민
2005年 韓国映画

DVD(韓国版)情報
発行・販売:ART Service 画面: NTSC/16:9(1:2.35) 音声: Dolby5.1/2 韓国語
本編: 118分 リージョン3 字幕: 韓/英 片面ニ層(2枚組) 2009 年 7月発行(再発盤) 希望価格W
※初発盤は2006年4月 CJ Entertainmentより発売

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タイトル (本文) ブログ名/日時
高齢者の愛情を描く韓国映画『あなたを愛しています』
 2011年公開の韓国映画。高齢者たちのほのぼのとした愛情を描くとともに、彼らの新しい社会関係性の構築の困難さを描いていく作品。原作は2007年に出版されたカン・プルの漫画「あなたを愛しています」(現在3巻まで発刊)で、2008年には演劇化され大学路で公演されて、演劇公演としては異例の12万人の観客を動員したという(DVD付属パンフレットより)。 ...続きを見る
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2011/08/27 06:38

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