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zoom RSS スキージャンプを扱った大ヒット韓国映画『国家代表』

<<   作成日時 : 2010/02/24 00:06   >>

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画像 2009年韓国で大ヒットした笑いと感動を狙ったスポーツコメディ映画。韓国が2002年冬季オリンピックを全羅北道、茂州(ムジュ)へ誘致するために、それまでまったく選手がいなかったスキー・ジャンプチームを即製ででっち上げ、長野オリンピックに出場するまでを描く。

 アメリカ人、ボブ・ジェームスことチャ・ホンテ(ハ・ジョンウ)は元々韓国全州で生まれ、幼いころ妹ともどもアメリカに養子にもらわれていった。そこでスキーのアスリートとして実績を積む。しかし彼は実母に会いたくて韓国にやってきて、養子の実の親を探すTV番組に出演する。
 一方、パン・コーチ(ソン・ドンイル)は韓国五輪委員長(キム・ヨンゴン)から韓国が冬季五輪開催地に立候補するプロモーション活動の一環として大至急スキー・ジャンプチームを結成するよう要請された。というのは韓国の冬季五輪チームの編成に偏りがあり、それが冬季五輪誘致の障害になりかねないと判断されたからである。パン・コーチは番組でボブが韓国に来ることを知り、急遽、選手として有名になれば母親も名乗り出るはずと、彼をスカウトするとともに、かつてスキー競技をしたことがあり、態度不良等で除名処分を受けた元選手たちをかき集め、即製のチームを結成する。
 だが、ろくな練習施設はないは、それにジャンプ競技自体韓国内で知られておらず、選手たちは練習に周囲の理解は得られないはで、さんざん。それでも劣悪な環境を何とかしながら練習を開始する。しかし、ねずみ講にはまっているコーチの娘、スヨン(イ・ウンソン)が選手に怪しげなマットを売りつけようとするは、さらに借金のためやくざに追われたスヨンが軍資金を持ち逃げするは、難題続出。
 それでもボブは自分を捨てた国である韓国に帰化することを決め、チームとしてドイツでのワールドカップになんとか出場して、98年長野五輪参加資格を得るが、その直後、2002年の五輪の開催権はアメリカのソルトレーク・シティにさらわれてしまった。途端に、国内五輪委員長からチーム解散命令が。元々五輪誘致のプロモーションとして作ったチームなので誘致が失敗すれば用無しなのだ... 果たしてチームはどうなる!?

 『キングコングを持ち上げる』に続いて、韓国でほとんど知られていないマイナーなスポーツ選手が苦労して頑張るというパターンの映画。
 韓国は、冬季五輪では、伝統的にスピード・スケートのショートトラックは非常に強いが、スキー・ジャンプはまったくマイナー。最近ではユニバーシアード大会でメダルを取るぐらいまでに成長してきたそうだが、現在でも競技人口8人という超マイナー状態で、この映画に出演した俳優の中でも、映画に出演が決まってはじめて、スキー・ジャンプという競技があると知った、と語っている者がいるほど。本作品のヒットでこんな競技があるということを韓国内に知らしめた効果は大きいだろう。
 韓国映画やドラマのパターンとして、徹底的に恨を溜めた後に、それを最後に晴らすというものがある。例えば、古くは鬼才キム・ギヨンの『陽山道』(但し、本作品の現存のフィルムには恨を晴らす最後の巻が欠落して、徹底的に恨が溜まったところでブチッと切れてしまう)から、それこそキム・ヨンファ監督の前作『美女はつらいよ(邦題:カンナさん大成功です)』、さらに『キングコングを持ち上げる』に至るまで。あるいは『ホジュン』『商道』『大長吟』等の最近のロングラン歴史ドラマは恨が溜まって晴れて、溜まって晴れての繰り返しとも言える。本作品はそれを忠実に踏襲している分、韓国映画のヒットのパターンをきちっと踏まえた作品といえる(ただ、実際には長野オリンピック最下位なので、それをどう観客たちの感情を昇華させる方向に持っていくかが、監督のテクと言えるが)。
 ただ、この恨を晴らす対象領域が、例えば実業家や政治家として成功するなど、社会的メジャー分野での成功ではなく、マイナー・スポーツが立て続けに選ばれたり、あるいはドラマ『ベートーベン・ウィルス』のようなやはりクラシック音楽というマイナーな領域が選ばれ、それがヒットするということに、おそらく何らかの韓国社会の変化の方向を示唆しているように思える。それが社会的多様性を追求する方向に向かっているのか、それともオタッキーになっているのか、あるいは、社会の閉塞感が増して、メジャー領域での成功談がリアリティを持たなくなってきているのか...
 あと、個人的に気になったのは、ジャンプ台が、ドイツも長野も一緒なこと。ジャンプ台周辺の風景を入れずにすむように全部夜間での競技という設定になっているのだが...

 因みに映画の冒頭に、本作品は実話を元に作っていると書かれているので、一体どこまでが実話なのかと気になる方も多いだろう。国家代表公式サイト(http://cafe.naver.com/jump2009)の掲示板の書き込みを見る限りではほとんどフィクションと見たほうが良いようだ。事実と合う部分は、国家代表チームが、映画に見るような劣悪な環境で練習をしたということ、長野五輪で団体13位(最下位)だったこと、選手のうち1名が実際アルバイトしながら練習をしていること、選手の1名の実家が実際に食堂を経営していること程度で、養子の話や、コーチの家庭環境等、主だったストーリーは完全にフィクションのようだ。選手名もカン・チルグ選手のみ実在の現在の代表選手(但し98年にはいなかった選手)と一致するが、他は全くフィクションである。そもそも長野五輪に出てくる外国選手名もすべてフィクションであるし... ただDVDの付加映像に現在の実在のジャンプチームの顔写真の紹介はある。
 主人公のチャ・ホンテのモデルは、下記長野五輪個人最高位のチェ・フンチョル選手であると思われるが、彼はかつての五輪候補地であり、現在韓国唯一のスキージャンプ台のある茂州出身で、アメリカに養子に行ったという事実は全くない。そもそも選手の大半が茂州出身。やはり利のある地で長年暮らしていない限り、そもそもジャンプに接する機会がないということだろう。おそらく2006年トリノオリンピック、スキーモーグル銅メダリストのアメリカ選手、トビー・ドーソンの話(韓国からアメリカに養子に行った)にヒントを得たのだろうが。

 なお、現在の実際のスキージャンプ代表選手は、3名が98年当時のまま残り、1名が交代し、98年に出場した残りの1名はコーチになっているようだ。但し今回のバンクーバーオリンピックでは98年当時からのメンバー3名のみでの参加になったようである。12年も世代交代なし...と思うのだが、選手たちはまだ20代。つまり長野五輪の時は高校生か大学1, 2年生程度の年齢で参加していたのだ。

 なお、参考までに、実際の韓国チームの長野五輪の記録を下に掲げる。

ノーマルヒル個人
1位 Soininen, Jani フィンランド 90.0/89.0m
2位 舟木和喜 日本 87.5/90.5m
3位 Widhoelzl, Andreas オーストリア 88.0/90.5m

46位 Choi, Heung Chul (최흥철/崔興) 韓国 73.0m
53位 Choi, Yong jik (최용직/崔鎔直) 韓国 69.0m
59位 Kim, Hyun-Ki (김현기/金鉉起) 韓国 65.5m
61位 Kim, Heung-Soo (김흥수/金興洙 現在コーチ)韓国 64.5m
(全62選手)

ラージヒル個人
1位 舟木和喜 日本 126.5/132.5m
2位 Soininen, Jani フィンランド 129.5/126.5m
3位 原田雅彦 日本 120.0/136.0m

40位 Choi, Heung Chul 韓国 107.0m
51位 Kim, Hyun-Ki 韓国 98.0m
53位 Choi, Yong jik 韓国 94.5m
62位 Kim, Heung-Soo 韓国 70.5m
(全62選手)

団体
1位 日本 933点
2位 ドイツ 897.4点
3位 オーストリア 881.5点

13位 韓国 373.8点
(全13チーム)

以上 "The XVIII Olympic Winter Games Official Report"(The Organizing Comittie for The XVIII Olympic Winter Games, Nagano, 1998)より


 今のところ日本では未公開だが、韓国で大ヒットしたということで、最低でも日本のレンタル市場を当て込んだDVDリリースはあるだろう。

 なお、DVDはディレクターズカットを含む版と含まない版が販売されており、含む版は3枚組で、劇場公開本編、ディレクターカット版本編、付加映像の3枚となっている。含まないものは2枚組。

原題『국가대표』英題『Take Off』監督:김용화
2009年 韓国映画

DVD(韓国版)情報
発行・販売:BUZZ Pictures 画面: NTSC/16:9(1:2.35) 音声: Dolby5.1 韓国語
本編: 137/145(ディレクターカット版)分 リージョン3 字幕: 韓/英 片面ニ層(3/2枚組) 2010 年 1月発行 希望価格W29000(3枚組)/27500(2枚組)

実在 韓国スキージャンプ代表選手のプロフィール

チェ・フンチョル (Wikipedia 韓国語版)
http://ko.wikipedia.org/wiki/%EC%B5%9C%ED%9D%A5%EC%B2%A0

キム・ヒョンギ (同上)
http://ko.wikipedia.org/wiki/%EA%B9%80%ED%98%84%EA%B8%B0_%281983%EB%85%84%29

他の韓国映画に関する記事
http://yohnishi.at.webry.info/theme/fc194a0a1f.html

追記
『国家代表!?』日本公式サイト
http://www.kokka-daihyo.com/

国内版DVDはこちら▼(2011.2発売)

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