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zoom RSS ポン・ジュノ監督最新作『マザー(母なる証明)』

<<   作成日時 : 2009/11/22 11:50   >>

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画像 『フランダースの犬(吠える犬は噛まない)』『殺人の追憶』『怪物(グエムル)』のポン・ジュノ監督の最新作。

あらすじ紹介は、下記の公式サイトを参照されたい。
http://www.hahanaru.jp/top.html

 ポン・ジュノ監督作品の特徴は常に映画のステレオタイプを打ち破る部分。『フランダースの犬』は基本的にはブラックユーモア映画でありながらもどのようなジャンルに位置付けたらいいのか悩まされる様な映画であったし、『殺人の追憶』は刑事ドラマの醍醐味はいかに刑事が事件を解決するかにあるところを、事件が未解決のまま迷宮入りしてしまうというおよそ刑事ドラマの前提を突き崩しながらも、非常に心揺さぶられる映画に仕上げるという離れ業を見せた。
 『怪物[ケムル]』は、一見怪獣映画に見せかけながら、社会風刺てんこ盛りのおよそ全く怪獣映画らしくない映画。そのあまりの破格ぶりに怪獣映画元祖の日本の観客たちは理解不能、思考停止状態に陥って(「おい、なぜ自衛隊は出てこないんだ?」...って、自衛隊、出てきませんって、韓国だもの)、日本ではさんざんな興行成績。

 その破格ぶりは今回の作品も全く変わっていない。基本ジャンルは韓国風「母もの」映画であると同時に殺人事件をめぐる「冤罪」映画でもある。しかし「母もの」映画で描かれる母親の愛情は思わぬ方向へと流れていく。そして殺人(と言うか「冤罪」)事件としては、あらすじだけを追っていけば『殺人の追憶』とは対照的に解決に向かう。しかし「解決」は、一見解決に見えて、実は全く解決ではなく観客はますます混迷へと投げ込まれてしまう。いや混迷の果ての判断停止(エポケー)の先に一種の開放感を見い出すと言うべきか。そのあたりは『殺人の追憶』と共通しているとも言える。

 そして韓国の観客にとって何よりの「破格」は主演にキム・ヘジャを起用した点であろう。韓国盤DVDに付属の監督インタビュー映像によると、本作品はまずキム・ヘジャありきの映画だそうだ。監督が、幼い頃から韓国のドラマで典型的な韓国の「オモニ(お母さん)」を演じてきた彼女で是非映画を撮ってみたいと思って着想したのが本作品だそうで、基本的なアイディアはその際に殆ど瞬間的に思いついたという。韓国映画で母親(母性)の狂気を描いた作品としては例えばキム・ソンホン監督の『オルガミ - 罠』が、息子を巡る嫁・姑の三角関係を描いた作品として思い浮かぶが、しかしそれはどうやら例外的で、韓国人の大多数(特に男性)にとって母親は無条件に「善きもの」であるというのが前提のようだ。
 実際、キム・ヘジャは300-400本程のドラマで母親役として出演してきて、今まで殴られる役をやったことが一度もないという1)。しかも誰かを殴る役をやったのも一度だけ。その彼女が本作品では殴られ、さらにはあんなことまでしてしまうのであるから、恐らく本作品を見た韓国の観客には相当衝撃的であろう。しかも、他の役割ではなく、紛れもない、彼女が長年演じてきた「母親」「母性」の延長線で思いも寄らない行為に出るのであるから、文字通り韓国人にとってのいわゆる「母親」のステレオタイプを粉砕し尽くしている(にもかかわらず紛れもなく母親を描いている)のが本作品なのである。だから映画の題名も「オモニ」や「オンマ」ではなく「マザー」なのだ。

 なお、援助交際をやっていた中学生が殺されるという殺人事件の設定も、何年か前に、モデルになる殺人事件があったそうである。

 私は韓国の映画監督の中で、天才と呼べる映画監督はポン・ジュノをおいて他にはいないと確信しているが、皆さんには彼の破格ぶりが見えるだろうか?

 なお、本作品は韓国では2009.5.28封切りで7月下旬までに約300万の観客動員を記録した2)。

1)やはり韓国版DVD付加映像のキム・ヘジャ インタビューより。

2) Max Movie
http://www.maxmovie.com/movie_info/boxoffice_detail.asp?oid=5954&page=&key=&svalue=

原題『마더』 英題『Mother』 監督: 봉준호
2009年 韓国映画

DVD(韓国版)情報
発行・販売:BEAR Entertainment 画面: NTSC/16:9(1:2.35) 音声: Dolby5.1 韓国語
本編: 128分 リージョン3 字幕: 韓/英 片面ニ層(2枚組) 2009 年 11月発行 希望価格W25300

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http://yohnishi.at.webry.info/theme/fc194a0a1f.html




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映画『母なる証明』
あまりの重苦しさに、息が詰まりそうになってしまいそうになる、映画『母なる証明』。 閉鎖的な田舎町で起こった殺人事件の真相を追う被害者の母の姿…。 ...続きを見る
Viva La Vida!
2009/11/22 23:56

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