yohnishi's blog (韓国語 映画他)

アクセスカウンタ

zoom RSS 時代劇より完璧な(?)時代劇的現代劇『ベートーベン・ウィルス』 -韓国ドラマ-

<<   作成日時 : 2009/10/30 22:32   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 0

 内容が感動的だと評判を呼んでいる韓国ドラマ『ベートーベン・ウィルス』。遅ればせながら見てみた。本ドラマのドラマ構造的特徴は、現代劇にも拘わらず、韓国時代劇的構造を持っていることにあると思われた。
 韓国の時代劇ドラマの特徴として第一に挙げられるのは、主人公の栄枯盛衰の波が激しいこと。どん底から出発して努力してかなり上まで上がったと思ったら、何か失敗して再び没落、そこから更に這い上がるために努力して頂点に上り詰めたと思ったら、君主の逆鱗に触れたり、何らかの陰謀に巻き込まれて、再びどん底に...更に...というように、登って、落ちて、登って、落ちてという波が延々と続いていくというのが、韓国時代ドラマの基本構造である。

 で、『ベートーベン・ウィルス』は、現代劇にも拘わらず、まさにこの時代劇の基本構造を踏襲していることが明らかである。ここで上り下りを繰り返すのは、主人公のトゥ・ルミもしくは市民オーケストラのメンバーたちである。
 トゥ・ルミは元々音楽大学出身。しかし演奏者になるためには海外留学が必須という韓国のクラシック音楽状況の中、経済的事情でそこまでできなかった彼女はソンナン市の一般職員としての地位に甘んずるほかなかった。だが何か新しい提案が求められる中で、彼女が提案した「市を音楽の町にしよう」という企画が通りプロジェクト・オーケストラの結成が任される(最初の上昇)。ところがオーケストラのマネージメントを任せた業者が実は詐欺師で、市の資金を横領されてしまい、最初に選定した団員にも去られてしまう(最初の転落)。そこで再起を果たすべく、市民の中のアマチュア音楽家を募ってオーケストラの員数を何とかそろえ、さらに、指揮者には韓国人指揮者最高水準の実力と知名度をそろえるカン・マエのスカウトにも成功(再び上昇)。ところがカン・マエは「オーケストラ・キラー」の別名を持つように、カン・マエは団員を罵倒、団員と指揮者の対立は決定的になり状況は絶望的に...(再び転落)。....
 というように、物語は上昇、転落、上昇、転落の波をたどっていく。

 さらに、時代劇以上に時代劇的な側面もある。それは君主とのロマンスである。歴代の朝鮮王朝の王妃は恋愛で選ばれたのではないというのは、厳然たる歴史的事実。したがって、時代劇において君主との恋愛は、側室はともかく、描きたくても描けないテーマである。
 その不満を解消したのがドラマ『宮』であった。大体、何で現代韓国に、忌み嫌っているはずの日本をまねたような皇室があるという設定!?と思ってしまうところだが、要は歴史的事実に基づけば君主との恋愛は描きたくても描きようがない、というところから来た設定であろう。
 で、『ベートーベン・ウィルス』だが、カン・マエとトゥ・ルミとの恋愛、これはまさに君主とのロマンスという、正統時代劇では描きたかったが、描けないテーマをまさに描いているわけである。そういう意味では時代劇より完璧な時代劇的ファクターを兼ね備えたドラマといえる。最終的にカン・マエとトゥ・ルミの恋愛が易易と成就しないのも、それが君主とのロマンスであるからに他ならない。

 もう一つ、本ドラマの特徴として指摘しておくべきことはまともな三角関係が描かれていること。なぜか韓国ドラマの恋愛劇は、冬ソナほかユン・ソクホ4部作にしろ何にしろ、なぜか三角関係ではなく、変な四角関係になってしまう。私はこれは、実際の社会関係においては女性一人 vs. 男性二人の三角関係が発生しやすいところを(特に女性から告白するのははしたないという伝統的なモラルがある一方、男性は「10回伐って倒れない木はない」という諺がある程だから当然であろう)、やはり家父長的な男の面子を優先して、余計な女性を一人登場させるというパターンではないかと推測している。
 それが本ドラマではまともな三角関係になっている。これは君主のロマンスを描いたからこそ、余計な女性を登場させて家父長的心理バランスを取る必要がなかったのか、はたまた、現実の恋愛状況を直視しようという、家父長的機制の緩和を示すものなのかは分からないが、いずれにせよ注目すべき特長であろう。

 しかし時代劇が描けなかったものを描いたとはいえ、やはり現代劇。時代劇のように単純に上がった落ちたのパターンを継続させるだけでは、リアリティにどうしても欠ける。どう考えても素人の寄せ集めのオーケストラが常設のプロオーケストラになる、というお話では白けてしまう...というところで後半、上った、落ちたのパターンの歯切れが悪くなってしまう。そのあたりは現代劇の限界であろう。

 ともあれ、『ベートーベン・ウィルス』のヒットは、単に題材やドラマの設定が良かった、という部分だけではなく、韓国時代劇ドラマの、無意識下のヒットの方程式をうまく現代劇に取り入れた、という側面があったのは間違いないのではないだろうか。




ベートーベン・ウィルス~愛と情熱のシンフォニー~ DVD BOX I
アミューズソフトエンタテインメント
2009-09-02

ユーザレビュー:
クラシック嫌いな方も ...
おもしろいです☆この ...
amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by ウェブリブログ



ベートーベン・ウィルス~愛と情熱のシンフォニー~ DVD BOX II
アミューズソフトエンタテインメント
2009-10-07

ユーザレビュー:
え?終わり?最終回の ...
amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by ウェブリブログ


テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
URL(任意)
本 文
時代劇より完璧な(?)時代劇的現代劇『ベートーベン・ウィルス』 -韓国ドラマ- yohnishi's blog (韓国語 映画他)/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる