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zoom RSS 1970年代韓国青少年映画の代表作『高校ヤルゲ』

<<   作成日時 : 2009/09/29 00:20   >>

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画像 1970年代後半、韓国映画界でハイティーンを対象とした青少年映画ブームが起こったという。本作品はこの青少年映画ブームの嚆矢にして、代表作と言うべき歴史的作品である。

 舞台はキリスト教系私立男子高校。そこに二人の落第生問題児がいた。一人はドゥス(イ・スンヒョン)、もう一人はヨンホ(ジン・ユヨン)。二人とも父親が大学教授と病院長と苦労知らずの金持ちのボンボンで、そのせいか録に勉強もせず、教室でいたずらばかり繰り返していた。そんな二人にクラスの優等生ホチョル(キム・ジョンフン)は困り顔。
 そんなある日、ペク・サンド(ハ・ミョンジュン)という国語の新任教師が赴任。じつは彼はドゥスの父の教え子で、ドゥスを何とかしようと、父がハドソン校長に推薦して押し込んだのだ。さらに父はサンドにドゥスの家庭教師まで頼む。一方サンドの使いで彼の下宿に行ったドゥスは、下宿の大家でよろず屋(クモンカゲ)の店番を任されているその家の娘のインスク(カン・ジュヒ)に一目ぼれ。おかげで家庭教師を受けるため、先生の下宿へ通うのもインスク会いたさに大喜びで通うのだが、インスクになかなか気持ちを伝えられない。それでも何とか画策して友人たちとグループで一緒にサイクリングに出かけたりして徐々に親しくなっていった。
 そんなある日、ドゥスは生意気なホチョルにいっぱい食わせてやろうと、悪戯し、彼のメガネを壊してしまう。弁償してくれと言うホチョルの要求にも応じない。だがやがてホチョルは突然学校を休む。罪悪感に駆られてホチョルの家を訪れたドゥスは、ドゥスがメガネを壊したことが原因で、ホチョルが牛乳配達途中の事故で足を折った事実を知る。しかも彼の家は姉と二人暮しで、自分とは異なり、生活が苦しい事実を知って衝撃を受ける。そしてドゥスはある決意をする...

 今の日本の我々から見ると、本作品の雰囲気は1950年代末〜60年代前半にかけての、石坂洋二郎あたりが原作日活青春ドラマ映画とかなり似ている。本作品が製作された1976年(公開は1977年正月)は、漢江の奇跡の初期であり、日本の高度経済成長に入り始めた1950年代末とやはり時代雰囲気に共通するものがあるのかもしれない。ただしDVD付属解説書によると、本作品の原作となった小説「ヤルゲ伝」は1954年に発表されており、映画に映し出された世相は1970年代を反映しているものの、描かれた学校の雰囲気は原作に引きづられて時代遅れで1950年代の状況を反映しているという。なお、原作小説は1965年に『ヤルゲ伝』(チョン・スンムン監督)として既に1度映画化されており、本作はリメーク。
 確かに、問題児と言っても、今の基準では不良と言うほどではなく、むしろ小学生の悪戯小僧といった風情でごく単純。1970年代後半と言えば大学で反政府学生運動やデモの嵐が吹き荒れていた時代で、どう見てももう2、3年たつと大学でデモをするような高校生にはとても見えない。勿論当時は検閲が厳しくて政治意識に目覚めた高校生なんてとても描けなかったろうが。
 ただ世間知らずの金持ちが、改めて貧富格差に気づき、自分の恵まれた立場に気づいたり、社会性を獲得して改心していくというストーリーには、プログラムピクチャーらしく深みはないとしても、一定の社会性が見られる(そのあたりもかつての日活青春映画に共通しているか)。そのあたりが一時とは言え、当時のティーンエイジャーに圧倒的に支持された(と言っても当時の観客動員数で25万人強)原因なのかもしれない。

 ともあれ、当時の韓国の世相に関心のある方、韓国映画史に関心のある方、あるいは日本の古典映画に関心があって日韓古典映画の比較に関心がある方にはぜひお勧めしたい。それなりに楽しく見られる映画であるといえよう。

 監督のソク・ネミョン(石来明)は、DVD解説書によると1936年生まれ。1950年代末〜60年代にかけて助監督として経歴を積み、1971年『憎くてもさよなら』にて映画デビュー。しかし興行的に振るわず次回作(本作)まで苦節5年を味わうことに。ようやく第2作(本作)を作る機会を得た彼は、ハイティーン映画は絶対当たらないと言われていた当時、思い切った大博打を打ち、それが見事に大当たり。しばらくヤルゲシリーズの続編を製作。青春映画ブーム終了後も1990年まで何作が製作するが、これらはヤルゲシリーズとは対照的に暗い内容で、映画史的にも特に言及を受けるような作品は作れなかった。64歳で肝臓癌のため死去。
 なお、俳優に関してはホチョル役のキム・ジョンフンは1960年代末大ヒットした『憎くてももう一度』シリーズで活躍して観客の涙を誘った名子役。サンド役のハ・ミョンチュンも名俳優として数々の映画に出演した。

 また映画の題名になっている「ヤルゲ」とは生意気者というような意味。

 DVDは韓国映像資料院製作で、充実した韓/英対訳ブックレット付き。映像のリストア状況も制作年代を考えれば良好。

原題『고교 얄개』英題『Yalkae, A Joker in High School』監督:석래명
1976年 韓国映画

DVD(韓国版)情報
発行:韓国映像資料院・BLUEKINO 販売:トクスンメディア 画面: NTSC/16:9(1:2.35) 音声: Dolby2 韓国語
本編: 97分 リージョンALL 字幕: 韓/英 片面ニ層 2009 年 9月発行 希望価格W15400

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