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zoom RSS 韓国映画『良い奴、悪い奴、変な奴 (グッド・バッド・ウィアード)』- その不評の理由

<<   作成日時 : 2009/06/01 00:02   >>

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画像 韓国昨年夏のボックスオフィス1位を記録し、イ・ビョンホン、ソン・ガンホ、チョン・ウソンという韓国最高の人気スターを取りそろえたにも拘わらず、日本人の中で本作を見た人が書いたブログ評を見ても評価がさっぱりの、韓国期待のブロックバスター映画『良い奴、悪い奴、変な奴』(略称「ノムノムノム」、公開邦題は「グッド・バッド・ウィアード」に決定)。一体どれ程ダメな作品か見てやろうと韓国版DVDで鑑賞してみたが... なるほど。

 1930年代末、日本がでっち上げた満州国の時代。正体不明の1枚の地図が朝鮮人・中国人馬賊、朝鮮独立運動軍、日本軍らを翻弄する。朝鮮人馬賊のパク・チャンイ(イ・ビョンホン)は親日派朝鮮人キムより、満州の銀行家金丸より地図の回収を依頼され、間島線列車を襲う。その一方、懸賞金稼ぎのパク・トウォン(チョン・ウソン)は抗日独立運動ゲリラより、やはりその地図の回収を依頼され、その列車に乗り合わせる。強盗のユン・テグ(ソン・ガンホ)は地図のことは知らなかったが、金持の金品を奪おうとやはり同じ列車に乗っている。パク・チャンイに襲われた際、ユン・テグは日本人銀行家一行の金品と共にその地図を偶然に盗んでしまう。字の読めないユン・テグは相棒に何の地図かと読んで貰うと、昔の王族の宝物の隠し場所を記した地図ではないかという。
 ここにその三人と、日本軍、中国人馬賊を含めた地図の争奪戦が始まる...

 監督は本作の製作意図について、付加映像のインタビューで本来SFか西部劇をやりたかったのだが、韓国映像資料院で1970年代前半にイ・マニ監督がすでに同様な試みをしているのを発見して、韓国版西部劇を作るということを決意したという。マカロニウェスタンならぬキムチウェスタンを狙ったわけだ。

 実はこの映画のお話、よく考えてみるとすじが破綻している。なぜか最後に地図に記された場所に3人と日本軍、中国人馬賊が皆全員集合するのだが、そもそも地図を持っている人しかたどり着けないようにしなければ、何のために地図の争奪をしたのか意味が分からない。全くナンセンス。
 その辺りは監督も自覚があるようで、付加映像のインタビューでは、映画はストーリーだという人には不満があると思う、と自ら語っている。ただ本作はヴィジュアルや雰囲気を(監督はアクションデザインやキャラクターという言い方をしていた)見せることを中心に考え、ストーリーはシンプルに、人物はステレオタイプ(典型的)にしたのだという。つまり映画の原点に戻って、何が写っているか、というレベルで見て欲しいと言うことなのだろう。

 そう考えると不評の理由が見えてくる。映画のヴィジュアル的側面を見ようとするとどうしても最低100〜120インチ程度の画面が必要である。それ以下では映像のスケール感が出ない(この辺りは最近の張藝謀作品も同じ。最近の張藝謀作品はヴィジュアル面での比重が高まっているので、小画面で見ると最近の作品のダメさ加減だけが感じられる結果となる)。おそらく韓国版DVDで見ている人の大半は30〜40インチ程度のTV画面で鑑賞していると思うが、それでは勢いストーリーや内容(心理描写、キャラクター造形、意味等)で映画を評することになる。ただパンパン撃ってる映画ではないかと言われれば確かにそれまで。反論の余地なし。
 確かにストーリーはお粗末な映画であるが、カメラワークは様々な斬新な試みを行っている映画であり、劇場の大画面であればそのカメラワークだけで見せる力を発揮できる映画なのだ。実際付加映像のメーキングを見ると、様々な装置を工夫して新しいカメラワークを生み出そうと工夫している様が見える。ドキュメンタリー映画『俺たちはアクション俳優だ』で、本映画の製作現場の取材統制が厳しく、現場取材が断られたのもこのカメラワークのノウハウ面で公開前に知られたくなかったという点が大きいのではないかと思わされた。映画製作を志す人などが、どのような画面作りをしているのかという観点から見れば、本作品も十分興味深く見られるのではないか。
 ま、西部劇の韓国版というよりは、あくまでもマカロニ・ウェスタンの韓国版なのであって、本作品の持つ「パチもん」臭もあくまでもパロディ的演出の内ということなのだろう(そもそも題名ももじりだし)。オーソドックスな作劇を求めるべき作品ではない。

 なおメーキング映像の中で監督が、アメリカの西部劇のメーキング映像を見ると落馬する場面も演出で落馬させているのだが、自分たちは意図せずスタッフが落馬する実際状況をそのまま撮っているのが実情だった、というのを語るのを見て、『俺たちはアクション俳優だ』を見たことも併せて、韓国映画界の問題点はやはりノウハウの蓄積が十分なされていない点ではないかと強く感じさせられた。

 とにかく少なくとも本作品に関して言えることは、本作品を大画面で見るのと小画面で見るのでは全く別物であって、決して本作品は小画面のビデオで見るべき映画ではない、ということだけははっきり言えるであろう。
 穿った見方をすれば、ネットでのタダ見が横行している韓国に於いて、映画制作側の防衛策として、劇場などの大画面で見れば迫力満点だが、パソコンなどの小画面で見ればつまらないという映画作りをわざわざ狙っているのではとも思える。そうだとすればまさに狙い通りの仕上がり。へたに脚本が素晴らしかったりすると、皆ネットでのタダ見で済まされてしまう... だがこれもあながち冗談では済まされないようだ。『D-Wars』の韓国におけるヒットもこの路線上にあるのだろう。

原題『좋은 놈, 나쁜 놈, 이상한 놈』 英題『The Good, The Bad, The Weird』 監督:김지운
2008年 韓国映画

DVD(韓国版)情報
発行: BEAR Entertainment 画面: NTSC/16:9(1:2.35) 音声: Dolby6.1/DTS 韓国語 本編: 139分(韓国版)
リージョン3 字幕: 韓/英 片面ニ層(韓国版本編、インターナショナル版本編、付加映像の3枚組) 2009年2月発行 希望価格W27500

『良い奴、悪い奴、変な奴』の撮影現場を取材しようとした
ドキュメンタリー映画『俺たちはアクション俳優だ』映画評
http://yohnishi.at.webry.info/200903/article_13.html

『Good, Bad, Weird』日本公式ホームページ
http://www.gbw.jp/

映画生活「グッド・バッド・ウィアード」
http://www.eigaseikatu.com/title/26575/






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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
こんにちは!
ここの記事を読んでこの前、
グッド・バッド・ウィアードを一般試写会にて観てきました。
大画面でみて大正解!
ありがとうございます♪
http://www.gbw.jp/
なる
2009/07/30 17:16
記事を読んで頂きありがとうございます。多少でもお役に立てて良かったです。
yohnishi
2009/07/31 15:42

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