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zoom RSS ディスコミュニケーションの果ての恋愛幻想『ラジャ』 -仏映画-

<<   作成日時 : 2009/03/02 12:11   >>

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画像 2003年ジャック・ドワイヨン監督のフランス=モロッコ映画。片言でしかコミュニケーションのとれないモロッコ人の19歳の女性とフランス人の中年男性との、ディスコミュニケーションとオリエンタリズムの果てにある恋愛とも呼べない恋愛幻想の顛末を皮肉を込めて描くブラック・コメディ作品。

 舞台はモロッコのマラケシュ。ラジャ(ナジャ・ベンサレム)は8歳の時に親と死別した孤児。現在は仲間のナディラ(イラーム・アブデルワヘド)のに家に居候している。二人は元々立ちんぼをやっていて危ない目にも遭ってきたが、ラジャが2年程前に用心棒謙ヒモのユセフ(ハッサン・キッサル)と出会ったことで、以来彼の紹介する客を取っては、売り上げを彼に渡している。ナディラの親からは街で客を取らずにまともな職業に就く様に忠告されているが、実入りも少なくユセフの手前もあり、なかなか耳を貸そうとしない。しかしある日さすがに根負けして、紹介されたフランス人屋敷の庭仕事にナディラの姉たちに従ってアルバイトに出かける。画像
 その屋敷の主は若干性格破綻気味の独身中年男性フレッド(パスカル・グレゴリー)。アルバイトに来たラジャに一目惚れしてしまう。しかし屋敷に長年勤めてきた家政婦たちは、彼女はさほど美人でもないし一目見てあばずれだと分かると警告するのだが、オリエンタリズム幻想に目のくらんだフレッドは一向に意に介さない。ラジャ自身もフレッドから秋波を送られているのに気付いて、しばらくしたらお屋敷の奥様に収まるかも、とナディラと冗談を叩く。しかしナディラは、ユセフはろくでなしだし、泥沼を抜け出すには行動を起こすべきだと忠告する。
 アルバイト期間が終わると、ラジャだけがフレッドの要望で引き続き1週間働くことになる。屋敷では毎日フレッドから微妙なアプローチが。そして家に帰るとユーセフがやってくるが、彼も面白くなさそう。しかし、フレッドにキスまでは許してもプロポーズは断ると、フレッドは街で探してきた娼婦を家に連れてくる。その女たちに嫉妬を感じるラジャ。
 そんな経緯もあって、ラジャ自身改めてユセフとこのままで良いのか、別れるべきなのではないかと迷い始め、そして金づるとしか考えていなかったフレッドの存在が気がかりになる。そしてフレッドとの仲を取り持ってくれる様、家政婦に助力を頼むが、彼女はあんたたちみたいな若いあばずれ女は信じないとにべもなく断り、逆にフレッドにラジャは金しか頭にない女だから何を言っても信じるなと忠告する。
画像 そして、ラジャとフレッドの仲を気にしたユセフが屋敷に来るに及び、フレッドはラジャにユセフとの関係を問い詰めると、ラジャの片言のフランス語では彼女の気持ちを伝えることが出来ず、ラジャを良く思わない家政婦の通訳を介して説明した結果、フレッドはラジャとユセフは婚約者同士だと判断、ラジャを解雇する。
 屋敷を出る時にフレッドを蹴りつけて出てきたラジャだったが、家に帰ると、皆が働きたがっているフランス人屋敷の仕事をどうして辞めたのかと非難轟々。仕方なく翌日屋敷に戻るとフレッドはラジャの体と引き替えにユセフを雇ってやると提案。片言のフランス語しか分からないラジャはフレッドの話の意味をよく分からずに承諾すると、フレッドはユセフを屋敷の運転手に採用、彼女と一緒に屋敷に住む様手配する。ここからディスコミニケーションによるお互いお互いに対し勝手な期待と揺れる思いを持った二人の思惑はどんどん離れ、こじれて訳が分からなくなっていく...

 フレッドは早い話セクハラ。主従関係を利用して使用人にアプローチしていく。とは言えラジャに対し体を求めているのか、心を求めているのか自分でもラジャに翻弄されつつ訳が分からなくなってくる。
 ラジャの方もラジャの方で、そんなことはあり得ないと思いつつも、あわよくば彼を今の情況から抜け出す手段に使おうと冗談半分に思っている。とは言えフレッドに会い始めた当初、彼女は自分自身の現在の情況をそんなに惨めだとの自覚はなかったのだが、フレッドの優しさに触れることで、その惨めさに気付いていく。とはいえ片言のフランス語しか分からないこともあってフレッドの気持ちが遊びなのか、本気なのか判断がつかず、どう対処したらいいか分からない。自分の体を武器に使って良いのか悪いのか... それが本人はフレッドを翻弄している自覚のないまま(むしろフレッドに翻弄されていると思っている)、ディスコミュニケーションとオリエンタリズム幻想の相乗効果で、図らずもフレッドを翻弄する。画像
 全く異なる社会的・文化的、経済的背景の下、お互いに別々の思惑、幻想を相手に求めつつどこまでもかみ合わない二人の「恋愛」は事態が進行して行くに従いどんどん訳が分からなくなくなっていく。

 ジャック・ドワイヨンの人物造形は個人的には余り共感のできないケースが多く、この映画の登場人物についてもそうなのだが、お互い相手に対し勝手な「恋愛幻想」を抱き、その自分で膨らませた幻想に振り回されてしまう二人に笑えてしまう。その一方で私たちが信じている「恋愛」「愛情」って何、ひょっとして所詮共同幻想なのでは、私たちもラジャとフレッドと50歩100歩なのでは、と改めて考えさせられてしまう映画。
 そこの外国人との結婚&恋愛幻想を持っているあなた、あなたにもこの映画、お薦めですよ。

 なお、本作品で主演のナジャ・ベンサレムはウィーン国際映画祭で新人女優賞、マラケシュ国際映画祭で主演女優賞を受賞。

 本作品は2008年9月日仏学院「ジャック・ドワイヨン特集:女に愛されたかった少年」で英語字幕付きフィルムが国内上映された。

原題『Raja』監督:Jacques Doillon
2003年 フランス=モロッコ映画

DVD(US版)情報
販売: Film Movement 画面: NTSC/16:9(1:2.35) 音声: Dolby2 仏・アラビア語 本編: 112分
リージョン: 1 字幕: 英語(On/Off可) 片面一層 2005年1月発行 希望価格$19.95

他にフランス盤あり(字幕はフランス語のみ)







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