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zoom RSS 27年ぶりにオリジナルが復元された韓国映画『最後の証人』

<<   作成日時 : 2009/02/12 20:29   >>

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画像 本作品は『桑の葉』『女人残酷史 糸車よ糸車』などで知られるイ・ドゥヨン監督の1980年度作品。本来は2時間37分の上映時間だったものが、公開時、当時の検閲のため時間半余りに短縮されてしまっていたものが、一昨年、27年ぶりに韓国映像資料院によってオリジナルに近い2時間34分のフィルムが発見され、復元されたもの。復元された映画を見ると、おそらく本作品が今後イ・ドゥヨン監督の代表作として後世に伝えられるであろうと思わされるだけの力作。
 ちなみに2001年に製作され、日本でも公開されたペ・チャンホ監督の『黒水仙』は、本作品のリメーク作。

 大卒だが、仕事上の失敗で窓際族となっている刑事オ・ビョンホ(ハ・ミョンジュン)。しかしキム署長の指示で醸造場社長ヤン・ダルス(イ・テグン)殺人事件の担当に任命される。オ刑事はヤン・ダルスの周辺人物を洗っている内に、この事件の根が朝鮮戦争当時、智異山パルチザン投降事件にあることが分かってくる。
 パルチザン抵抗の末期、パルチザンの小隊長で指導者の腹心だったカン・マンホ(ヒョン・ギルス)は、指導者戦死の直前、彼の娘であるソン・ジヘ(チョン・ユニ)の行く先を頼まれる。最後まで残ったパルチザンたちは気が荒立ってソン・ジヘを輪姦するに及び(監督コメンタリーによると、2時間34分版から、3分切られているのはこの場面の一部のようだ)、その模様を見ていたカン・マンホは投降を決意し、地元の小学校長の仲介で青年団長だったヤン・ダルスと会い、一行全員の安全な投降を保障する様取引して、パルチザンたちの隠れ場所を教える。
 しかし、国軍はいざパルチザンを包囲すると、約束を違えて発砲し、パルチザンの一行の中生き残ったのは、カン・マンホ、ソン・ジヘ、彼の腹心ファン・バウ(チェ・ブラム)そしてハン・ドンジュ(テ・イル)の4名だけだった。
 投降した4人の内、カン・マンホは妊娠していたソン・ジヘの行く先をファン・バウに託し、ファン・バウはソン・ジヘと夫婦になり、ジヘの父が智異山に残した金塊をヤン・ダルスの案内で探しに行き、金塊を掘り出す。しかしヤン・ダルスはジヘの金塊を狙おうとファン・バウを陥れる事を計画したのだった...

 映画は2時間34分と長大で、登場人物も多く話も複雑だが、話のテンポは速くてその長さ、退屈さは全く感じさせず、一気に見せてしまう力がある。朝鮮戦争当時の不条理な事情の果ての現代(といっても70年代末)の殺人事件の話を描くことで、朝鮮戦争当時の不条理、不正およびその後に渡り長くその後遺症に苛まされてきた人々の苦痛、さらには戦争に対する批判を代理的・間接的に込めている。また当時人々が被ってきた不条理をエピソードの中に暗喩的にシンボライズしている。撮影されたのは1979年、朴正煕政権の最後の年であり、これが朝鮮戦争批判のぎりぎりの表現だろうというラインを狙ったと思われるが、実際には公開当時検閲により無残にも40%近くカットされてしまった計算である。
 すでに『南部軍』『太白山脈』の公開を経て、朝鮮戦争批判を暗喩的に込める必然性が無くなった時代に、本作をリメークした『黒水仙』が、本作の持つ緊迫感にはるかに及ばなかったのも当然であろう。
 また本作品はごく一部の場面(学校の床下にパルチザンが潜む場面)を除いて全てロケによって撮影されている1)。そのため今日では失われてしまった30年近く前の韓国の各地の姿や空気感がそのままフィルムに焼き付けられているのも貴重である。室内の対話場面も長玉やワイドレンズを自在に切り替え、前衛的とも思えるカメラ−ワークになっているのも、セットを使わず実際の狭い部屋の中でカメラを回す必要から苦肉の策として生まれたものだという。また学校が燃える部分も、廃校になった学校を買い切り実際に燃やしたもので、今日の様なCGを使った特殊効果等もなく、事故が起きないか非常に心配しながら撮影に及んだという。因みに撮影はイム・グォンテク監督との名コンビで知られるチョン・イルソン。
 なお韓国版DVDには有り難いことに日本語字幕が含まれている。また画像のクオリティも、30年近く忘れ去られていたにしてはまずまず良好である。是非多くの日本の人がこのDVDを通して27年ぶりに復元されたこの名作に接する機会を持つことを期待したい。「韓流」ではない、韓国映画ファンの方に強くお勧めする。

原題『最後의 證人(최후의 증인)』 英題『The Last Witness』 監督: 이두용
1980年 韓国映画

DVD(韓国版)情報
発行: 韓国映像資料院 販売: テウォンエンタテインメント 画面: NTSC/16:9(1:2.35) 音声: Dolby2 韓国語 本編: 154分
リージョンALL 字幕: 韓/英/日(但しコメンタリーは日本語字幕なし) 片面二層 2008年12月発行 希望価格W12100

1)以下に紹介するエピソードはDVDに含まれる監督コメンタリーより。

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