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zoom RSS ペ・チャンホ版「西便制」『道』 -韓国映画-

<<   作成日時 : 2009/01/07 00:59   >>

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画像 2004年に製作されたペ・チャンホ監督の映画『道』。インディペンデント映画として製作されたが配給が付かず、2006年に韓国映画振興委員会の封切り支援援助を受けて、「スポンジ」の配給でようやく公開された様だ。内容は一言で言うとある男が20年掛かって「恨」を解くという映画で、言うならばペ・チャンホ版『西便制(ソピョンジェ)』というところか。時代背景もイム・グォンテクの『西便制』とほぼ重なる。今は失われた古き良き韓国を懐古するという色彩の濃い映画。

 1970年代後半の韓国、全羅道。テソクは市場から市場を渡り歩く鍛冶屋。機械作りの刃物が横行する中、かたくなに手作りの刃物作りにこだわっている。一人渡り歩く彼にもかつて20年前(1956年)、妻子がいた。旅の暮らしから全羅道の田舎の山深い自宅に戻っては、妻子の顔を見て旅の疲れを癒し、妻を子供の様に背中に負ぶって愛情を示すのが彼の楽しみだった。
 その彼に親友トクスがいた。彼は染物屋でやはり染め物を染めては市場で売り歩いていたが、ある日もっと商売を大きくしたいと彼に借金を申し込む。大きな現金の持ち合わせがなかったテソクは、彼に家の権利証を渡し、それで金を借りる様に言う。しかしトクスは木浦において賭博ですってんてんになってしまい、テソクの家の権利証はヤクザの手に渡ってしまった。テソクは家の権利証を取り返そうとヤクザに面会に行くが、彼は逆に警察に逮捕され4年の刑に服すことになる。
 4年の刑を経て家に帰ると、トクスが彼の愛妻に手を出している現場であった。彼はいたたまれず家を飛び出した。そして20年...
 ある日、テソクはてんかん持ちのソウルの女工、シニョンに会う。まだ物心ついていない様な彼女は父親の葬儀のため故郷に戻るのだというのだが、大雪のためバスが出ない。話を聞いているうちに、実は彼女はテソクを裏切ったトクスの娘だと言うことが分かる...

 先に述べた様にこの映画の時代背景は1956〜1976年。映画における「現在」は1970年代末ということになる。従って今は失われてしまった韓国の様々な風俗が見られる。それとともに1970年代末、シニョンに象徴されるものは、近代化された都市生活であり(と言っても現代より1時代前なのだが)、シニョンとテソクの出会いは、古き良き韓国の気風が現代的な気風に移り変わり失われていく、その転換を象徴している。
 かつてのコーリアンニューウェーブ代表する一人であったペ・チャンホの最近の作風は『情』でもそうだったが、失われたセマウル運動以前の古き良き韓国の姿(それは真実の姿、というよりは多分に監督のイマジネーションの世界の中の姿なのではないかと思われるが)を懐古する姿勢が強い様に思う。とりわけ『情』においては、一応時代背景が植民地時代から、戦後・現代(といっても70,80年代ぐらいの想定?)という想定だが、支配者である日本の影も出てこないし、まさにイマジナリーなおとぎの国の中の古き良き韓国、という感じであった。本作品では、男が親友によって与えられた、彼と妻に対する「恨」を解くまでの20年間がよりリアルな歴史的経過、そして、古き世界が新しい世界に取って代わられていく変化の瞬間がより明確に描かれている。
 この変化の期間はちょうどイム・グォンテク監督の『西便制』とほぼぴったり重なるし、美意識的にも共通するものがあるので、あの映画で描かれたかつての韓国の姿に打たれた方には、本作品にも十分満足できるだろう。

 とはいえ、韓国ではイム・グォンテク監督の『千年鶴』が興行的に失敗した様に、この時期を懐古する映画は余り人気が得られない様だ。それが封切りまで2年を要した原因になったのだろう。


 因みに、主人公のテソクは監督自身が演じている。


原題『』英題『The Road』監督:배창호
2004年韓国映画

DVD(韓国版)情報
発行: テウォン エンタテインメント 販売: テギョンDVD 画面: NTSC/4:3(LB) 音声: Dolby2 韓国語 本編: 95分
リージョン3 字幕: 韓/英 片面二層 2007年2月発行 希望価格W

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