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zoom RSS 1969年当時の韓国の暮らしぶりの貴重な証言映画 『修学旅行』

<<   作成日時 : 2008/12/18 21:39   >>

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画像 セマウル運動開始前夜の1969年度製作の韓国映画。監督は『誤発弾』のユ・ヒョンモク。内容は韓国の島の子供たちが苦労してソウルに修学旅行に行き、見るのも聞くのも初めての様々なものに触れ驚く様が描かれたコメディ映画。主演は「韓国のフランキー堺」、ク・ボンソ。

 映画の舞台は全羅北道、群山沖にある離島、仙遊(ソンユ)島。景色はよいが、暮らすのは大変な島で、船は2週間に一度通うのみ。島には田はなく、灰貝などを取って生活している。この島の暮らしぶりは朝鮮朝末期さながらで、島には荷車一台、自転車一台ない。本土を往復する旅費は、島の人たちの現金収入の半年分なので、島の人たちの半数以上は本土に行ったこともない。
 そんな島の国民学校にソウルからキム先生が妻子をソウルに置いて単身赴任する。しかし、自転車一台ない島での教育に苦労し、子供たちに是非一度本土を見せてやるために修学旅行に連れて行ってやりたいと切望し、あれこれ画策するが、現金収入の乏しい島の人たちからは、ソウルに帰って妻子の顔を見たいからそんなことを画策するのだと総スカン。キム先生は責任を感じて本土に転任するという話になって、ようやく教育熱心なキム先生を島から追い出してはいけないと、島の人たちが子供たちを修学旅行にやることを前向きに考えるようになり、子供たちの修学旅行が実現する。
 しかし列車はおろか車と名のつくものさえ見たことのない子供たちは、ソウルに着くまでてんやわんやの大騒ぎ。ソウルに着いたら着いたでまた大騒ぎ。この修学旅行果たしてどうなる事やら...

 今日の我々が見て興味深いのは1969年当時の韓国の人たちの暮らしぶり。ソウルの上流階級の生活状況はおそらく日本の10年遅れといった感じなのだが、ソウルと地方(離島)の格差のすさまじさに圧倒される(それでコメディが成立する訳だが....)。映画に描かれる仙遊島の暮らしぶりとソウルの暮らしぶりにはおそらく50年程度の格差が存在し、朴正煕政権がこの直後セマウル運動を始めるバックグラウンドはこういうことかと強く納得させられる。
 また1969年当時のソウルの暮らしぶりも興味深い。この映画には1969年に廃止されたソウル市電の最後の姿もしっかり記録されているので鉄道趣味的見地からも貴重な映画。
 なお、語学的な関心から興味深いのは、韓国人が頻繁に使う言葉、빨리, 빨리という台詞がこの映画では一度も出てこない。その代わり頻繁に出てくるのは、싸게, 싸게という台詞。ひょっとして昔は빨리の代わりに싸게と良く言っていたのかと、更に昔の映画を調べてみると、そんなことはない。50年代の映画でも빨리という言葉が頻繁に使われているケースある。どうやら빨리の代わりに싸게を頻繁に使うのは、全羅道方言の特徴のようだ。なお、싸게は싸다の副詞形で、싸다自体はどの韓日辞典にも出ている。

 主人公のキム先生役にク・ボンソ。彼の雰囲気は先にも書いたようにフランキー堺を彷彿とさせるものがある。1960年代から70年代にかけて主にコメディなどで活躍した。またキム先生夫人役に当時韓国人気ナンバーワン女優、ムン・ヒ。彼女は当時大ヒットしたメロドラマ『憎くてももう一度』などに出演している。

 因みに舞台となった仙遊島は、北朝鮮に拉致された横田めぐみさんの夫だった金英男(キム・ヨンナム)氏が拉致された場所である。

 なお、本作品はフィルムセンターのユ・ヒョンモク特集(2005年12月)をはじめとして韓国映画の特集上映等で国内上映されている。

原題『修学旅行(수학여행)』監督:유현목(兪賢穆)
1969年韓国映画

DVD(韓国版)情報
販売: BITWIN 画面: NTSC/4:3(LB1:2.35) 音声: Dolby1 韓国語 本編: 115分
リージョンALL 字幕: 韓/英 片面一層 2002年3月発行 希望価格W23000 (現在品切)

韓国リアリズム映画の開拓者 兪賢穆監督特集(フィルムセンター)
http://www.momat.go.jp/FC/NFC_Calendar/2005-12/nittei.html

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