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zoom RSS アラブ系移民親子のメッカ巡礼の旅を描いた映画『大いなる旅(le Grand Voyage)』

<<   作成日時 : 2008/11/14 23:58   >>

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画像 フランスのモロッコ系移民の親子の、メッカへの巡礼の旅を描いたロードムービー。ロードムービーは数多いが、おそらく西欧で制作されたロードムービー中、メッカ巡礼を題材にしたものはほとんどないだろう。ひょっとすると初めてかも知れない。それを宗教的な立場にとらわれない姿勢で描くことによって、メッカ巡礼の旅を普遍的な誰でも共感出来る形で描き出すことに成功した映画である。監督はやはりモロッコ系フランス人イスマエル・フェルーキ。ベネチア国際映画祭の新人監督賞受賞作。

 モロッコ系移民2世のレダはフランスの高校生。リザというフランス人のガールフレンドもいるし、彼自身もムスリムではない。彼の父は移民1世で忠実で頑固なムスリム。アルファベットの読み書きは出来ないが苦労してフランスで暮らしてきた。死ぬまでに一度メッカに巡礼に行きたいと願っていたが、年齢や健康を考えると今年が最後の機会であると考え、レダの兄に運転させて車でメッカまで巡礼に行く予定にしていた。ところがその兄が信号無視で免許取り消しとなり、運転の役回りがレダに。レダは高校の試験で赤点を取り、追試を受けなければ落第になってしまうので、父に飛行機で行く様に頼んでも頑として言うことを聞かない。
 泣く泣く父を乗せてフランスを出発するレダ。運転を始めても彼女と連絡するため携帯電話を始終気にするレダ。その様子を見て、レダが寝ている隙に父は携帯電話を捨ててしまう。ミラノやベネチアを通っても、見物していきたいというレダに、時間がないの一点張りでそのまま通過させる父にレダの不満は頂点に達してしまう....父親にとってはあくまで巡礼が旅の目的であって、観光旅行では決してないのである。
 東欧圏に入ると言葉の通じない不思議な老女を乗せたり、言葉が通じないため入出国手続きで苦労したり... ブルガリア−トルコ間の国境では、言葉が通じず途方に暮れていたところをフランス語を話せるトルコ人が現れ窮地を救ってくれるが、レダは彼に心を許したところで、彼に金を盗まれてしまったり...そしてダマスカスでは父子の葛藤でレダだけフランスに帰る寸前まで行くのだが....

 世代の違い、移民1世と2世の意識の違い、ムスリムと非ムスリム、文盲者と教育のある者...父子とはいえかくも立場が違い、喧嘩し合っていた二人が、巡礼の旅の苦労を共にすることを通して、世代の違いや考え方の違いを越え、お互いの立場を理解しあっていく。そのような彼らのメッカへの巡礼の旅を、画面を通して見つめる非ムスリムである私たちも、普遍的な人間の情、親子の情を通じながら、巡礼の旅を特殊宗教的な哲学としてではなく、普遍的な人間的な行為としての理解に導いてくれる。
 設定として厳格なムスリムの父親の息子が、非ムスリムであり得るのか、とかメッカの市内とはいえ、非ムスリムが入れるのか(確か本多勝一がメッカ市内取材のため形式的にイスラムに入信したというような話を以前読んだ記憶がある)と言う点はある。しかしこの場合、息子の立場は言うならば西洋人の視線を代行しているのであり(だから父親が実践するいかなる宗教的行為も彼は傍観するだけである)、その息子が厳格なムスリムの父親と親子関係であるという設定を通じて、宗教的ではない、人間普遍の感情を通じたムスリムの行動理解につなげていこうという意図からこのような人物設定がなされていると考えられる。

 9.11以来、イスラムを、特殊な訳の分からない存在として見る見方が横行している今日、本作品が日本でも多くの人の目に触れることを願いたい。
 なお、本作品は2006.3 アラブ映画祭2006および2007.5 第29回ぎふアジア映画祭にて『長い旅』の題名で国内上映された。

原題『le Grand Voyage』監督: Ismaël Ferroukhi
2004年 フランス=モロッコ映画

DVD(US版)情報
販売: Film Movement 画面: NTSC/16:9(1:1.85) 音声: Dolby5.1 仏語 本編: 113分
リージョン: 1 字幕: 英語(On/Off可) 片面二層 2006年7月発行 希望価格$19.95

▼ところで下のAmazon.comの標記間違っています。Voyageは男性名詞なので Grandeのeは不要ですね。

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