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zoom RSS 松竹全面支援で作成された朝鮮映画『漁火』

<<   作成日時 : 2008/11/11 00:19   >>

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画像 「発掘された過去」第2弾の最後は、『漁火(어화)』。極光映画製作所第1回作品とあるが、これはどうも松竹の子会社らしく、監修は島津保次郎、音楽は松竹管弦楽団、編集はなんと吉村公三郎、とポストプロダクションの技術スタッフは松竹大船の面々で固めている。監督はアン・チョルヨン(安哲永)、原作/脚本はソ・ビョンカク(徐丙珏)。本作品も2004年に中国映像資料館から収集されたもの。

 朝鮮の漁村に住む未婚の娘インスンは、友人オクブンがソウルで仕事をしていて彼女のようにソウルで仕事をしたいと思っていた。それは彼女が憧れているチョンソクがやはりソウルに出ているためでもあった。しかし、母親は馬鹿なことを考えず、早く嫁に行けと言うのであった。
 彼女の父は多額の借金があり、そのため、ある荒天が予想される日に、インスンが止めるのも聞かず、漁に出て不帰の客となった。彼に金を貸していたチャン老人は、金を返す代わりにインスンを妾に貰いたいと言ってきた。悩むインスン。そこへチャン老人の息子チョルスが、インスンをソウルに連れて行き仕事も探してあげようと申し出た。渡りに船と彼の申し出に乗るインスン。しかしチョルスはソウルへ連れて行きインスンの純潔を奪った。悩んだインスンはオクブンの元へ逃げるが、ずっとオクブンの厄介になっている訳にもいかず、悩んだ末、自発的にキーセンに身を落とす。しかし自分の身の上を悲観し結局自殺を試みる。しかし、インスンは何とか一命を取り留め、彼女を救ったチョンソクと共に故郷に帰っていくのであった。

 おそらく元々は90分近い尺があったと思われるが、現存する部分は52分。同じディスクにやはり『漁火』の断片フィルムで1998年にロシアのゴスフィルムから収集された部分が収録されているが、それを見ると、中国収集版には欠落している部分があったり、場面のつながりが逆転している部分がある。せっかく吉村公三郎が編集したフィルムであるが、やはり部分部分が欠落したり、つなぎが異なっていることから、心情描写が途切れてしまう部分があり、今ひとつ感情移入が出来ないが、一応一通りのあらすじをたどることは出来る。なお画質はゴスフィルム収集盤の方がベター。

 お話としては田舎の女性があこがれの都会に出たが、だまされて身売りに追い込まれ、失望して再び田舎に戻るという、今から考えれば類型的な物語。
 この映画を見ると当時のソウルや朝鮮の漁村の模様も興味深いが、当時使われていた言語という観点からも興味深い。「お土産」といった日本語の単語が朝鮮語に入り込んでいるほか、「発掘された過去」の第1弾でも明らかなように、当時の「京城」のことを既に「ソウル(서울)」と言っている点も興味深い。つまり当時の人々は日本語で「けいじょう」と言うか、それとも朝鮮語で「ソウル」と言うかのどちらかで、「京城」を朝鮮語読みした「경성(キョンソン)」という言い方は存在しなかったのではないかと思われる。この辺りは最近作られている植民地時代ソウルを描いた映画の多くは「キョンソン」と言わせているのと大きな違いである。
 更に言うと、韓国語では訓読みが存在していないと思われているが、「ソウル」という言葉は「京城」の朝鮮語訓読みとして意識されていたのではないかという気がする。これは植民地時代に旧陸軍陸地測量部が作成した地形図に出てくる地名に時々訓読み式地名が散見されることからも推測できる。これは日本の影響かも知れないが...
 更に言うと朝鮮朝時代ソウルは「漢陽(ハニャン/한양)」と呼ばれていたとされるが、それも文字としては漢陽であるが、呼ぶ時はソウルと言われていたのではないだろうか...この辺りは最早当時実際にどう呼ばれていたかを示す資料がないだろうから、推測でしか過ぎないが、そうだとすれば、朝鮮語にも地名に関してはやはり訓読みがあったと言うことになる。

 監督のアン・チョルヨンは東京の専修大学予科を卒業後、ドイツ、ベルリン大学写真科学科に留学。帰国後極光映画を設立。解放後は米軍軍政庁で芸術課長として活動したという。

原題『漁火(어화)』 監督:안철영
1939年 日本(植民地下朝鮮)映画

『発掘された過去』第2弾 DVD紹介
http://yohnishi.at.webry.info/200810/article_14.html

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