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zoom RSS フランスのアルジェリア移民文化摩擦を描く映画 『インシャラー・ディマンシュ』

<<   作成日時 : 2008/11/30 00:02   >>

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画像 先日紹介した『大いなる旅』と同様フランスとアラブの国との共同製作映画で、こちらはアルジェリア。アルジェリアのフランスからの独立後、1960年代のフランスは経済成長により足りなくなった労働力を補うため、外国となったアルジェリアを含む旧植民地であった北アフリカからの労働者を受け入れることを決定。しかしあくまで受け入れは労働者本人のみで家族は受け入れないという政策を採ってきた。しかし1974年、さすがにそれは非人道的であるので、その政策は転換され、ようやく外国人労働者家族にもヴィザを出すようになった。この映画はその政策転換から間もない頃、まだまだ外国人労働者や移民に違和感の多かった時代の物語である。

 アーメッドは、アルジェリアから外国人労働者としてフランス北部にやってきて既に10年。妻のズニアとは3人の子供はいるものの、その間短期の休暇で故郷に帰る時顔を合わせるだけで、結婚以来ほとんど顔を合わせていない。しかし1974年にフランスの法改正で、妻子と自分の母アイシャをフランスに連れてくることに。
 アーメッドはコーポラディブハウスに住んでいるが、アルジェリアから家族が来ることで、アルジェリアの家族もフランスの生活様式に戸惑い、お隣も彼らとの生活習慣の違いから早速トラブルに。それだけではなくズニアは姑のアイシャと不仲で、姑から全く信用されておらず、何の権限もなく奴隷のように扱われている。
 ズニアが夫と姑から要求されることはただ子育てを行うことと、近所のフランス人と付き合ったり、外出することなく、ひたすら家族のために尽くすこと。自由に買い物に行くことも、唯一の楽しみであるラジオを自由に聞くことさえままならない。それでも彼女をサポートしてくれる同じコーポラディブハウスに住む若い女性や、お金が足りない時はつけで売ってくれる食料品店の中年女性、そしてアルジェリア戦争で夫を亡くした戦争未亡人などと知り合ううちに、何とか自由に人間らしく生きたいと願うようになる。
 そうこうするうちに同じ町の中にやはりアルジェリアからやってきた家族がいると聞き出し、その家族と友達になろうと、日曜日ごと夫と姑が不在になる度に、ひそかに子供を連れ、フランス人の友人のサポートを受けながら、その家族を探し回る。ようやくその家族を捜し当て、相手の夫がいない間にその妻と出会うことが叶うのだが、ズニアが自由に行動したり、自分の性的欲望を肯定するフランス人女性への共感を露わにすると、彼女は、ズニアを「穢らわしい」と家から追い出してしまう。
 そのことを契機にズニアは自立した一人の人間として生きることを自己選択として決意していく...

 この映画に描かれるのは、移民が入って来ることに因る文化摩擦・衝突の問題である。その一つは異文化を持つ移民に対して既存社会の周辺が彼らをどう受け入れていくのか、という問題(寛容−トレランスの問題)であり、もう一つは移民する側が、異文化社会に入っていくことに因る、自文化の相対化、対自的視点の発生の問題である。ズニアはフランス社会や文化と触れることで、自身の境遇に対する不満を単なる私憤から、家父長的・男尊女卑的文化に対する根本的疑問へと昇華させていった。そのような文化衝突に伴う文化変容の過程を複眼的な視線で提示する映画となっている。
 ただ一点気になるのは、本映画の立脚点は西欧的な個人の自己選択が無条件に良い、という所にあるのではないかという点。最近フランス社会は公立学校におけるスカーフ着用論争に見るように、イスラム文化に対し批判的な傾向が強まっているように思われる。それはグローバリゼーションに伴う失業率の上昇等の要因により、フランス社会全体が異文化に対するトレランスを失っているためだと思われるが、その非寛容を肯定する理由として、西欧的な個人主義、個人の選択の尊重があるように思われる。従って、イスラム文化を擁護する立場から見れば本作品はイスラム文化に対する批判もしくは冒涜と捉える向きもあるのではないだろうか。もっとも本作品の監督自身アルジェリア系フランス人ということで、決してイスラム文化に対する外在的批判ではないのだが...

 なお、監督のベンギギは1957年北フランスのリールで、アルジェリア系移民の娘として生まれた。元々ドキュメンタリー映画作家で本作品は自伝的要素の強い最初の劇映画だということである。


原題『Inch' Allah Dimanche』監督: Yamina Benguigui
2001年 フランス=アルジェリア映画

DVD(US版)情報
販売: Film Movement 画面: NTSC/16:9 音声: Dolby21 仏・アラビア語 本編: 98分
リージョン: 1 字幕: 英語(On/Off可) 片面一層 2006年7月発行 希望価格$19.95

Yamina Benguigui監督紹介 UniFrance日本サイト(日本語)
http://japan.unifrance.org/%E6%98%A0%E7%94%BB%E9%96%A2%E4%BF%82%E8%80%85%E5%90%8D%E9%91%91/%E4%BA%BA%E7%89%A9/141958/yamina-benguigui

Yamina Benguigui監督インタビュー レイバーネット
http://www.labornetjp.org/news/2007/1169694283128staff01/


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