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zoom RSS キム・ギヨン式文芸映画 『異魚島』

<<   作成日時 : 2008/11/22 21:07   >>

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画像 奇才キム・ギヨン監督の1977年作品。この頃の韓国の映画市場は国産映画に人気がなく洋画ばかりに人気が集まる状況であった。この状況に対し韓国政府は反共映画もしくは社会的視線の欠落した優秀な芸術映画を製作した映画会社に対し映画輸入枠を割り当てる映画政策を実施した。その結果韓国の映画会社は洋画の輸入枠獲得のため競って、市場性を考えない反共映画や芸術映画製作に精を出した。この政策の影響は両義的であり、一方で上映されても短期間でお蔵入りになる独りよがりな映画を排出させた反面、イム・グォンテクらに単なるプログラムピクチャー製作者から、その後大きく脱皮させる修練の場を与える効果もあった1)。
 キム・ギヨンにおいてはこの頃の作品は、本人の意志に拘わらず「文芸作品」の製作を押しつけらた結果だという2)。この『異魚島』もその1本である。本作品の原作はイ・チョンジュンの同名の小説で、この作品の映画化の選択は映画会社の意志だったようだ。しかしキム・ギヨンは原作の雰囲気を引き継ぎながらも、換骨奪胎してキム・ギヨンワールドに仕上げたという。ただ、原作小説の効果か、それとも優秀文芸映画を作るという会社側の意図の反映か、キム・ギヨンワールドの強烈なアクは少し薄まっている様な印象を受ける。
 物語の構成は入れ子状に組み合わさっており、多少複雑であるが、ストーリーラインをきちんと整理すればさほど難解ではない。

 サン・ウヒョンはソウルの観光会社に勤める会社員。彼にはかつて妻がいたが、かつて妻は子を望んだにも拘わらず、忙しさにかまけて子を成すことのないまま亡くなった。その彼は、済州道に異魚島ホテルという名のホテル建設を記念してプレスを招待し、行き先を隠したまま異魚島を探しに行くクルージングを企画する。異魚島とは済州道の波浪島に伝わる伝説の島で、海に遭難した漁師の男は異魚島に行き永遠の生を得るという。
 ところがそのクルージングの船上でチョン・ナムソクという地元紙の記者が異魚島クルージングなんてとんでもないと抗議しサン・ウヒョンを面罵する。その晩嵐が来て、チョン・ナムソクは行方不明となり、サン・ウヒョンは彼を船から突き落とした殺人容疑で地元警察に拘束される。
 嫌疑不十分で釈放されたサン・ウヒョンは彼の容疑を晴らすため、チョン・ナムソクの足跡をたどるため彼の出身地である波浪島に渡る。波浪島には島で唯一新聞を読む酒場の酌婦、ムーダン、そしてチョン・ナムソクの妻であるパクという女性に出会う。そこで分かったことはチョン・ナムソクの家は代々漁師で、その家の男はいつかムルキシン(海の悪霊)に海に連れ去られてしまうという言い伝えがあった。そして彼の父もその言い伝えの通り海で亡くなったのであった。若きチョン・ナムソクにはミンジャという恋人がいた。しかしナムソクは島から逃げ出すことを決意し、自分も島から連れて行って欲しいと叫ぶミンジャを岩に縄で縛り付け、島を逃げ出したのであった。
 そして、ソウルで学んだナムソクは貧しい島の経済状況を改善しようと島でアワビの養殖事業を興すべく再び島に戻る。そこでナムソクはパクに出会い、自分がミンジャだというパクと結婚する。養殖実験は成功し、島の人たちから出資を募って大規模な養殖に取りかかった矢先、公害の汚水により全滅する。失意のナムソクは再び島を出て本土に渡り、地元新聞の記者になったのであった。そしてサン・ウヒョンの企画したクルージングに乗り合わせたのであった。画像
 チョン・ナムソクの足跡をたどっていたサン・ウヒョンに酒場の酌婦が、自分こそはナムソクの恋人であり、ナムソクは亡くなる前に、万一自分が亡くなる時は必ず自分の身代わりになる男を連れてくると約束したと言い、その男はまさにウヒョンだと言って、彼女はウヒョンと交合する。そしてその酌婦は自分こそが実はナムソクが捨てたミンジャなのだと言う。
 その直後、ナムソクの遺体が岸に上がる。それを受けてムーダンがナムソクのクッ(お祓い)を行うが、ムーダンは人は死んでも精子はしばらく生きていると言い、その場で酌婦はナムソクを屍姦する。そしてウヒョンは島を離れるのであった。
 そして数年後、ウヒョンは再び島を訪れる。海女の島であった波浪島は今は大半の島民が本土や済州島に移り、殆ど住民が残っていない。かつての酒場に立ち寄るとかつて酒場をやっていた老婆が残り、彼女は海岸に行っているという。そしてウヒョンは女の子を連れた彼女と再会するのであるが、彼女はその子はナムソクの遺児だと言うのであった....
 この映画にはキム・ギヨンが強く拘った、人間のたね、繁殖というコンセプトが繰り返し描かれる(ウヒョンと亡くなった妻、そしてナムソク、ウヒョンと酌婦の関係)。さらに近代化への対抗的、批判的な視線(ソウル vs. 波浪島、公害による養殖の失敗)、シャーマニズムといった、彼が好んで描いた題材も盛り込まれ、文芸的な香りの中にキム・ギヨンワールドが接ぎ木された映画に仕上がっている。

原題『이어도』監督:김기영
1977年韓国映画

1)Korean Film Director Series: Im Kwon-taikより。
2)DVDキム・ギヨンコレクション解説パンフレットより。

DVD情報はこちら
http://yohnishi.at.webry.info/200808/article_1.html

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