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zoom RSS 韓国映画『楽しい人生』 -中年男性にも、チャン・グンソクファンにも-

<<   作成日時 : 2008/10/08 00:01   >>

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画像 『王の男』『ラジオスター』のイ・ジュニク監督+チェ・ソックァン脚本コンビの2007年公開作品。韓国映画には珍しく劇場公開からDVD販売まで1年弱かかっているが、期待に違わない傑作。386世代の中年男性への応援歌でもあるし、おそらく日本でも厳しい境遇にある同世代の人々にも広く共感して貰えるのではないだろうか。また現代韓国の社会事情を学ぶための教材としても好適。

 ギヨン(チョン・ジニョン)、ソンウク(キム・ユンソク)、ヒョスク(キム・サンホ)、サンウの4名は大学時代(1980年代)にロックバンド「活火山」を組んでいた仲。だが今日、ギヨンは勤務していた信用金庫をリストラされ失業者、学校教師の妻の収入に頼って暮らす日々、ソンウクはやはりリストラされ、子供の教育費を稼ぐために退職金を取り崩すと共に、昼は宅配、夜は代行運転のアルバイトしている。しかし妻には一時的にレイオフされているだけでじき復職できると嘘をついている。ヒョスクは中古自動車販売会社を運営。経営は順調だが、妻子は子供の留学のため既に10年間カナダおり、韓国で一人暮らして妻子に送金をする典型的な「キロギ・アッパ」。
 そんなある日、元リーダーだったサンウが亡くなったとの知らせを受けて3人は葬儀場で集まったのだった。そこで離婚されたサンウの残した一人息子ヒョンジュン(チャン・グンソク)に出会う。ヒョンジュンがサンウの遺品であるギターを焼こうとしてギヨンは必死に止める。それがきっかけで失業してやることのないギヨンは再び「活火山」をやろうと話を出すが、残りの二人は生活に忙しく相手にしない。しかしソンウクは子供の教育方針を巡り妻と対立、ヒョスクは、妻子が夏休みに韓国に戻らないと聞いて、考えを変える。
 3人は練習しているうちに、舞台に立ちたいと思い、ヒョンジュンの案内で亡くなったサンウが演奏していたナイトクラブにオーディションを受けに行くが、ボーカルが話にならないとけんもほろろ。ところがヒョンジュンの歌が上手くしかもギターも弾けることが分かって、急遽彼をメンバーに加える。
 こうして「活火山」は20代の若者のバンドに混じってナイトクラブの舞台に立つことが出来、ファンもついた。こうして彼らは段々バンド活動に熱中していくが、それが更なる波紋を広げる。夫がバンド活動をしているのを知らないギヨンの妻は夫が浮気しているのではないかと疑う。ソンウクは、子供の教育費をもっと掛けたいという妻にNoを言い、もう復職の見込みがないことを告げ、そして自分は自分のやりたいバンド活動をやると宣言し、妻と正面衝突。ヒョスクはカナダにいる妻から離婚して欲しいと切り出される。
 果たして「活火山」の行方は如何に....?

 本作品は、四五定(サオジョン=沙悟浄のしゃれで多くの会社員はリストラで45歳が事実上の定年であること状況を指す)三八線(サンパルソン=38度線のしゃれで、38歳で能力がないと判定された人々がリストラになること)といった中年を取り巻く厳しい雇用環境や、自分の失業を妻に告げられないお父さん(日本も事情は同様だ)、更には「キロギ・アッパ(雁お父さん)」と言われる、妻子が受験環境の厳しくない海外に行き、父親が一人で韓国で稼ぎ送金する状況など、今日韓国の中年が置かれている厳しい社会環境がリアルに活写されている。日本は、現在交通事故死の4倍にも上る数多くの自殺者が出ている自殺大国となっているが、韓国の自殺率はそれを上回る高い率である。その背景の一端を見事に見せている。またそれが引き起こす家庭問題や、韓国の厳しい教育事情も見事に活写されている。
 そのような厳しい環境の中で、自分たちのやりたいバンド活動を通して自己解放を図っていく中年男性たちの姿を見ることは、中年男性にとってのおとぎ話であると分かっても、世知辛い世相の中で一服の清涼剤となるだろう。中年男性を取り巻く韓国の社会環境の厳しさを理解し共感出来れば出来るほどより感動することができるだろう。もっともこんな不良亭主を持ったら堪らないと思う女性はいるかも知れないが...
 なお、中年男性ならずとも、女性の方にはチャン・グンソクが美味しいアクセント的な役割を果たしているので、彼の姿を目当てに見て頂くのも良い。彼は『待ちくたびれて』でも活躍していたが、日本でのブレークも近い様に思われる。もっともこの監督の『王の男』がイ・ジュンギの主演にも拘わらず日本では予想ほどの興行成績を上げられなかったため、本作が果たして日本公開されるかどうか微妙なところではある。しかも受けそうな層が韓流とはほど遠い中年男性だということはますます日本公開に向けて条件が厳しくなる。あとはチャン・グンソクをどれ程組織的に日本で売り出すかどうかだが...
 日本での興行成績はともかく、イ・ジュニク監督+チェ・ソックァン脚本コンビの次回作にも期待したい。

原題『즐거운 인생』英題『The Happy Life』監督: 이준익
2007年 韓国映画

DVD(韓国版)情報
販売: Bear Entertainment 画面: NTSC/16:9(1:1.85) 音声: Dolby5.1/DTS 韓国語 本編: 112分
リージョン3 字幕: なし 片面二層(2枚組) 2008年8月発行 希望価格W23300

『楽しい人生』に見る辞書にない韓国語
http://yohnishi.at.webry.info/200811/article_7.html


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チャン・グンソクの出演した『待ちくたびれて』の映画評は以下
http://yohnishi.at.webry.info/200809/article_11.html

キム・ユンソク主演『追撃者』の映画評は
http://yohnishi.at.webry.info/200808/article_3.html

本作品は『楽しき人生』の邦題で韓流シネマフェスティバル2008上映作品として上映
http://www.cinemart.co.jp/han-fes2008/au_movie/20080701002165.html

映画生活『楽しき人生』
http://www.eigaseikatu.com/title/24438/

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『楽しい人生』に見る辞書にない韓国語 - 映画の中の韓国語 No. 7
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