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zoom RSS チェ・ジンシル主演『マヨネーズ』-韓国映画-

<<   作成日時 : 2008/10/04 08:14   >>

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画像 女優のチェ・ジンシルが10/2自殺で亡くなった。今回はチェ・ジンシル追悼ということで彼女の主演作品を紹介。本人は経済的にかなり苦労した子供時代を送ったと聞く。かつて韓国でお嫁さんにしたい女優ナンバーワンだった彼女が、このような形で亡くなって大変残念だ。

 本作品は、娘と母親の愛憎入り交じった葛藤関係を描く1999年の韓国映画。チェ・ジンシルは2000年の『燃える月』が最後の映画出演なので、最後から2番目の映画と言うことになる。監督は『僕が9歳だった頃』のユン・イノ。本作品はインドのケララ国際映画祭でグランプリを取っている(1999年)。

 アジョン(チェ・ジンシル)は慶尚北道の田舎出身。現在はソウルで会社員の夫と二人の子供に恵まれ、主婦の傍らライターとしても活躍している。既に母は亡い。ふとタンスの底から出てきた赤いスカーフを見て生前の母の姿が記憶に蘇る。
 その数年前、アジョンは2番目の子供を身ごもり、ライターとしての仕事も忙しかったので、家事を手伝ってくれるように田舎から母(キム・ヘジャ)を呼んだ。しかし、母はアジョンのやることなすことにけちをつけ、娘が自分をちゃんと構ってくれないと不平不満たらたら。娘を自分勝手だと非難しながらも、自分も勝手なことばかり....
 そんな中でアジョンは田舎にいた頃少女時代を回想する。かつてアジョンの実家は薬局をやっていた。父は朝鮮戦争当時、38度線以北から逃げてきた失郷民であり、しかも父自身は薬剤師の免許を持っていなかったので、流れの薬剤師を雇い、時には取締りを逃れるために警官を接待したりしていた。父と母の間の愛情は薄く、母は父の目を盗んで遊びに行っては喧嘩になり、父は父でストレスから大酒を飲んでは家族に暴力をふるっていた。父は最後は高血圧から倒れ、そんな父に対しておざなりの看護しかしない母。そんな母の姿に愛想を尽かしてアジョンは上京し大学、大学院と進んだのだった....
 そして、ソウルで母との葛藤に疲れたアジョンは、最後に母親に対して自分の思いをぶつけてしまうアジョン...そして...

 因みに題名の「マヨネーズ」とは、娘にとっては食べ物であるマヨネーズを母が整髪剤の代わりに使っていたことから。つまり母親に対する違和感の象徴として使われている。
 考えてみると母娘関係を扱った韓国映画の数は少ない様な気がする。そんな中で愛憎入り交じる中、本音をぶつけ合ってぶつかり合う母娘関係を描いた作品として貴重。憎しみというのは愛情の裏返しでもある。この映画の登場人物は全員複雑だ。皆相手に対し愛情と同時に憎しみの感情を抱いている。父から暴力をふるわれ、父に対する愛情の薄かった母親にしてもそうである。父の目を盗み、他の男や女友達とグループ交際・デートをする一方で、娘に対しては父親のために薬剤師になれと言う(本人に薬剤師資格がなく、半ばモグリに近い状態で薬局を経営していたため)。父親の晩年の介護をおろそかにしながらも、父の死後、夢で父の若いときの姿を見たとうれしそうに語る母親。愛憎矛盾する存在であるが、それはアジョンの母に対する思いも全く同じだ。その中で最後まで母親に対する自分の愛情を素直に吐露できなかった娘の気持ち、後悔の念に共感できるかどうかが、本作品の評価のポイントであろう。

 なお、本作品はアジアフォーカス・福岡国際映画祭(1999年)に出品されると共に、日本語字幕版プリントが福岡市立総合図書館に収蔵されているので、同図書館で企画される収蔵作品上映会で見る機会があるかも知れない(最も最近では2008年4月に上映されたようだ)。それ以外には、配給はついていないので国内の劇場、ビデオ等で見る機会はない(おそらく韓国文化院でも日本語字幕付きプリントは所蔵していないと思われる)。
 なお、韓国版のDVDは2002年にSpectrum DVDより発売され、その後2005年にテギョンDVDより会社を代えて廉価版として再発されたようだ(筆者はSpecturum版を入手)。通販会社によってはまだ在庫があるかもしれない。しかしこのDVDには字幕が一切ない上に(テギョン版も同様のようだ)、特に母親の慶尚北道方言が甚だしいので、例えDVDを入手しても一般の日本人にとって視聴のハードルは極めて高い。特にこの映画では台詞がわからないと二人が何やっているのかさっぱり分からないので、この点でも苦しい。福岡市立総合図書館の上映会に期待するしかないだろう。但しシナリオについてはインターネット上で探すことができる。この映画に出てくる慶尚北道方言については別途解説を書きたいと思う。
 なお、上記DVDの表紙画像のキャプションには「今日、母はまたけんかを仕掛けてきた!! 目さえ合わせればいがみ合う母と娘の休戦なき戦争」とある。

原題『마요네즈』 英題『Mayonnaise』監督:윤인호
1999年 韓国映画

DVD(韓国SpectrumDVD版)情報
販売: Spectrum DVD 画面: NTSC/16:9(1:1.85) 音声: Dolby2 韓国語 本編: 103分
リージョン3 字幕: なし 片面二層 2002年11月発行 希望価格W -現在廃盤-

『マヨネーズ』に見る辞書にない韓国語1,2
http://yohnishi.at.webry.info/200810/article_12.html
http://yohnishi.at.webry.info/200811/article_13.html

福岡市立総合図書館映像ホール「シネラ」案内Webページ
http://www.cinela.com/

チェ・ジンシル映画デビュー作『南部軍』
http://yohnishi.at.webry.info/200810/article_7.html
チェ・ジンシル主演作『ミスターマンマ』
http://yohnishi.at.webry.info/200811/article_15.html

チェ・ジンシル出演 国内版DVD

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